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なるべく明るい乳がん日記23副作用生活は続く

〜前回のあらすじ〜
2回目の抗がん剤投与を終え、副作用を薬、メンタルをゲームで癒すことによってどうにか乗り切ろうとしていた私。とにかく暇さえあればコントローラーを握り牧場経営に精を出した。両手に持ったコントローラーを時々高く掲げて腕を伸ばしストレッチも欠かさない。しかし副作用の波は訪れる。

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【投与5日目】
今回はロキソプロフェンのおかげで毎晩横たわって眠れている。布団の上に丸まり長い夜を耐え忍んだ前回に比べれば、かなり楽。それでも朝から身体がダル重い。今起きたばかりなのにもう疲れている。熱は37.7度。薬で抑えてもまだ首、あご、肩、背中、腰辺りがズキズキと痛い。骨が痛い。

なんとか朝ごはんを食べて『らんまん』を見て眠る。お昼にどうにか起きて少し食べながら再放送の『らんまん』を見る。『らんまん』は治療中の私の支えのひとつだ。登場人物たちを毎日顔を合わせる友人のように近しく感じ、共に泣き笑う。
夜には熱も下がった。尿はそろそろ通常の色に戻りつつある。

【投与6日目】
術後100日になった。
まだまだ右胸、右わきから右二の腕辺りは麻痺している。

眠れてはいるが、朝から疲れている。身体がダル重い。酸化マグネシウムで便通を調節出来るのは本当にありがたい。毎日いいペースでリリース出来ているのでそろそろ薬に頼らなくても自力でやっていけそうな気がする。

髪の残りが少ないからか寝ている間にヘアキャップがずれるようになった。起きたらすぐ夫に見られないようにヘアキャップを深く被り直す。
すぐ全部抜けるかと思ったのに意外と抜けずにちょっとだけ残り続けている。悲しき落ち武者スタイル。
髪が全部なくなったら夫に見せて笑いのひとつにでもしてやろうと思っていたが落ち武者状態では見せる方も見せられる方もただ気まずいだけである。

なんとなくヘアキャップの上に医療用帽子を被って眠るようになった。
夫に気を遣わせたくないのだ。

【投与7日目】
薬のおかげで前回より抗がん剤と上手く付き合えている。
夜は眠れているし、お通じもいい感じ。それでも身体は重く、疲れている。内側から身体がやられている。やっぱり強い薬なんだなと思う。

【投与8日目】
なぜか全然眠れなかった。そんな日もある。
体温は高めだが37度もない。今回も抗菌薬のお世話にならずに済みそう。

薬に頼らずに自然なお通じがあって嬉しい。味覚はまだちょっと変。食べる量が減ってる割に体重の変化はないということはちょっとむくんでるということか。まだ少しダル重いけどロキソプロフェンを飲まなくてもどうにか過ごせるようになった。

抜け毛のピークは過ぎて現状維持の日々。鏡を見るたびに『絵心ない芸人』でマエケンが描く ”落ち武者ガール” を思い出す。

【投与9日目】
身体の重さやダルさはかなりマシになった!
失われた味覚がだいぶ戻ってきた。おかえりなさい!私の味覚!

腕を回したり伸ばしたり、腕の感覚や可動域が少しでも元に戻るよう、毎日ストレッチするようにしている。右わき辺りが時々ピリピリ痛む。神経が回復している兆候かもしれないと期待が膨らむ。

両手の指を組んで上に伸ばす。先月は全く出来なかったこれが今は出来る。
わきの下に出ていた筋もいつのまにかなくなっていた。回復を実感できると嬉しい。

【投与10日目】
疲れやすいけどまぁまぁ動けるようになった。
味覚のためにも、より丁寧に歯を磨くようになった。舌磨きも欠かさない。
37.4度。微妙な発熱。
飲まなくてもいいかとも思ったけどカロナールを飲んで眠った。

【投与11日目】
今年は災害級に暑いという。エアコンなしでは生きていけない。いつまで地球に住めるだろうかと半ば本気で心配になる。まだ少し身体がダルい。
夫が休みだったので録り溜めた『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』を一緒に見た。
甘露寺蜜璃が好きだ。強くて優しくて美味しそうにもりもり食べる。

【投与12日目】
まだ落ち武者状態。抜けそうで抜け切らない。現状維持。

【投与13日目】
料理があまり好きではない上に味もよくわからなくて全く作る気になれず、しばらく夫にアウトソーシングしていた晩ご飯を久しぶりに作ってみた。
味覚が戻ったつもりでいたけどまだ塩味に自信が持てない。ものすごく濃くしてしまいそうで怖い。

【投与14日目】
なぜか全然眠れず。久しぶりの長い夜。もちろん朝から疲れている。

日課のようにSwitchで牧場物語をやっている。
ゲームの中で私は毎朝6時に起き、畑に水をやり、収穫し、牛に餌を与え、放牧し、ブラッシングし、釣りをし、住民の頼みを聞き、料理の腕を上げ、卵やミルクを出荷し、発掘の手伝いまでしている。忙し過ぎる。
この世界では1分が1秒で進むので一日中忙しなく走り回っている。もっとのんびりしたゲームだと思っていた。全くの誤算である。

【投与15日目】
なかなか寝付けなかったり眠りが浅かったり、そんな日が増えた。毎日暑いからダルいのか副作用なのか更年期なのかその全てによってダルいのかわからない。両目が少しゴロゴロする。

【投与16日目】
もうそろそろいいかと思い、長らく被り続けたヘアキャップを卒業し医療用帽子だけにしてみた。微妙に頭を締め付けていたヘアキャップのゴムともついにサヨナラした。私は自由だ。

【投与17日目】
体調が悪い時は一日に何度も何度も体温を測って不調を数字で確認するくせに投与3週目ともなると1回測ってハイ終わりになってしまう。それくらい回復してきている。

【投与18日目】
暑いのでひとりの時に、医療用帽子を脱いでみた。
涼しいーーー!!!
頭皮でダイレクトに風を感じるという奇妙な感覚を味わった。髪がないとこんなに冷えるのか。

【投与19日目】
最初に買った医療用帽子は生地のしっかりした綿のもので髪がほぼなくなってくると大き過ぎてちょっと動くとすぐ目にかぶさってくるようになった。2個目に買ったものはニットのオーガニックコットンで縫い目もなく柔らかくて被りやすかったのでそれをもう1つ追加で買うことにした。

【投与20日目】
エアコンを切って過ごしてみるものの、室温31度になるとさすがに限界でつけてしまう。節電を諦めた私は相変わらず牧場物語の中で日夜走り回っている。それにしてもカオリハーブはなぜ背景と同系色なのか。全然見えん。

同系色過ぎる

【投与21日目】
なかなか寝付けず眠りも浅い。運動をしなくてはと思うものの、外は猛暑。髪も薄いし外へはなるべく出たくない。やらないよりはいいので狭い家の中を何往復もしてウォーキングしたことにする。(なるのか?)

21日かけて回復したらまた次の投与がやってくる。
私は全4回の投与なので、これをあと2回繰り返すのだ。

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