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(28)鳥爺DJ奮闘記「DJデビュー」

いつもありがとうございます。鳥爺です。

新生ディスコは、大久保くんと、新人の平くん、そして、ど素人の私の3人で営業をすることになりました。
しかしたった3人で100坪もあるディスコを、どうやって回せばいいのか、いろいろ悩みました。

まず最初に行ったことは料理を作ることはやめました。ドリンクとスナック系のつまみだけにしました。
そのため私が担当しようと思っていた厨房に逃げる(?)ことができなくなりました。
ドリンクとつまみ、そしてホールだけでしたら新人の平くんが適任です。

そしてDJが大久保くん。
結局私は大久保くんの隣で照明をやることになりました。照明のこともわかっていないので、適当にボタンを押していました。

DJの仕事は、レコードを探してターンテーブルに乗せるだけのように見えましたが、なんだかいろいろと複雑な操作が必要のようです。
上下にスライドさせる機械(ミキサーというのでしょうか)を操作しながら、右と左のレコードを切り替えたりしていました。
でも、なんとなくできそうな気がしました。

実はこの考えが甘っかたのです。
後でとんでもないしっぺ返しが、、、!?

4時間の営業が終わったら、大久保くんが疲れた表情で、こう言いました。

「DJは1時間で交代させてください」

たしかに休憩もなく4時間ずっとDJをしてもらいました。

でも、それがどうしたの? と、いうのが私の感想でした。
なぜなら私が経営していたロムテックの作業は、4時間連続なんて普通です。
今なら労働基準監督署で指導が入りそうですが、、、、(汗)。

もちろん、今はそんなことはないですが、DJの仕事ぶりを見ていると、レコードをかけて、次のレコードをかける間、時間があります。
その間にタバコを吸っていたり、飲み物を飲んだりしています。
1秒でも短縮しなくてならない製造業のロムテックの仕事からすれば、楽に見えたのです。
もし1時間で2人交代したら、4時間の営業で実質仕事をするのは2時間だけです。
しかも料理がなくなったので、仕込みもなく営業前の準備も楽でした。
もちろん終わってからの厨房の片付けもありません。結構、楽な仕事、とそのときは思いました。
すると大久保くんが非常に険しい表情で聞いてきました。

「キミコから聞きました。DJやるんですよね?」

たしかにDJをやる、と言いました。
あの優しくて、頼もしい大久保くんはどこにいってしまったのでしょうか。
やっぱり逃げられません。やるしかないようです。

「やるよ。やるつもり。でも、ひとつだけ教えてもらえる?」

「なんですか?」と大久保くん。

「どのレコードを、どの順番で流せばいいか、教えてもらえる?」

どの音楽がいいのか、レコードのジャケットを見ただけではチンプンカンプンでした。せめて、かけるレコードとその順番さえわかれば、何とかなるだろうと思ったわけです。

大久保くんは私の返事に答えないまま、複雑な表情で棚からレコードを15枚くらい集めて私に差し出しました。

「今日、最後の1時間にかけたレコードです。この順番でお願いします」

そして、

「この順番でかければ、踊ってくれるはずです」と念を押された。

たしかに最後の1時間は、皆楽しそうに踊っていました。

「なるほど、ちゃんと踊らせる方法があるんだ」と心の中で呟いた。

早速、大久保くんと平くんが帰ってから、DJの練習を始めました。
大久保くんのDJの見よう見まねですが、朝までにはなんとかできるようになったつもりです。
それこそ一夜漬けですね(苦笑)。

そして、一番お客様が入る週末を迎えました。
私にとっては、DJデビュー戦です。

「見てろよ。皆踊らせてやるから、、、」

と、心の中で闘志を燃やしました。

(つづく)

今日も素敵な一日になりますように(^o^)/

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