(18)鳥爺DJ奮闘記「窮鼠猫を嚙む」
いつもありがとうございます。鳥爺です。
カワダさんは私の質問には答えず
「見せたいものがある」
と言って、セカンドバックの中から何かを探し始めました。
そういえば先週屋上で、見せたいものがある、と言ったことを思い出しました。
そして、カバンから2つの細長い冊子のようなもを取り出し、私の目の前に突き付けてきました。
「何ですか? それは?」
「見たまんまだよ」とカワダさん。
カワダさんが私に見せてくれたのは、小切手帳と手形帳でした。
しかも1枚という単位ではありません。それぞれ一冊ずつです。
嫌な予感がしました。
2冊ともほとんど未使用品です。
金額も日付も書いてありません。
ただ、代表者印は全ページに押印されています。
「俺がここに好きな金額を書いたらどうする?」
と、カワダさんが小切手と手形を指差しました。
すでに銀行取引停止処分を受けていたので、小切手や手形が有効なのかどうかわかりません。
「何とか言えよ」
私が何も答えられなくて黙っていたので、痺れを切らしたようです。
ここは喫茶店です。
ここでまさか大声で怒鳴ったり、暴力を振るったりはしないと思います。
「あれ」を言うなら今しかない。
しかし「あれ」を言ったらどうなるかわかりません。
でも、「あれ」を言うしかありません。
「一体いくら借りているんですか? その根拠がなければ警察に相談しますよ」と。
言ってしまいました。心臓バクバクです(汗)。(「あれ」とは警察のことです)
さて、どんな反応をされるのかと思いましたら、小さなドスの効いた声で、
「そんなことは想定済みだ」
とビクリともしませんでした(汗)。
それよりも
「おまえの家族のこと、会社のこと、全部調べているぞ」
と言われました。
そして私の家族や会社のことを詳しく話してくれました。すごいですね。よく調べている。感心している場合ではありませんが、、、(苦笑)。
これはあきらかに脅しです。録音機を持っていれば、と後悔しました。
そうなったらしかたがありません。私も言ったついでです。かなり自棄っぱちになっていました。
「窮鼠猫を嚙む、って知っていますか? もし、家族や会社に手を出したら、自分も何するかわからないですよ」
本気でカワダさんと刺し違える気持ちでした。
後先のことを考えずに、勢いでよくこんなこと言えた、と自分でも思いました。
カワダさんは私を睨みつけていますが、私は睨み返せないので、カワダさんの手ばかりを見ていました。カワダさんの手は「グー」になっていました。
しばらく沈黙が続きました。
ほんの数分かもしれませんが、私には1時間以上の膠着状態だったような気がしました。
またまたカワダさんのほうが痺れを切らし、
「借用書を見せてやるよ」
とカバンの中から1枚の紙を取り出して見せてくれました。
この紙が借用書がでした。
こんな紙切れ一枚で、これからの人生が大きく変わるとは、、、!?
(つづく)
今日も素敵な一日になりますように(^o^)/
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