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鳥爺寺子屋「鳥たちが愛した人」

1月26日は忘れられない重要な日です。
2001年1月26日に衝撃的な事故がありました。
 
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26日午後7時20分ごろ、東京都新宿区百人町1のJR新大久保駅で、男性がホームから転落し、この男性を助けようとして線路に降りた男性2人の計3人が、山手線内回り電車にはねられた。3人は間もなく死亡した。
警視庁新宿署と東京消防庁が、3人の身元を調べている。調べによると、最初に転落した男性は50歳代とみられ、酒に酔っていたらしい。助けようとした男性2人は電車とホームの間にはさまれたという。この事故で、同内回りと埼京線の恵比寿―大宮間で一時、運転を見合わせた。<毎日Interractiveより>
 
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この事故を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
韓国人留学生のイ・スヒョンさんのことは報道されることが多いです。
しかし、一緒に救出しようとして亡くなられたカメラマンの関根史郎さんのことは、ご家族の意向で、ほとんど報道されませんでした。
 
実は関根さんは池袋のCAP!、埼玉県三芳町に移転したCAP!によく取材に来られました。
 
関根さんは「アニファ」というペット雑誌のカメラマンです。
当時の「アニファ」の表紙などに、CAP!にいた犬、猫、鳥の写真を掲載していただきました。
 
三芳町時代のCAP!のときは、鳥が放し飼いになっている中庭での撮影がほとんどです。
私は関根さんが来られると、その一挙手一投足を見逃さない気持ちで撮影様子を見学していました。
 
それは撮影技術ではなく関根さんが来られると、なぜか鳥たちが好意を持って群がるのかを知りたかったからです。
 
鳥たちは我先に、といった感じで関根さんの頭や肩に止まろうとします。
関根さんのどこが鳥たちを魅了するのか、全然わかりませんでした。
 
そこで関根さんに聞きました。
 
「関根さんは鳥が好きですか?」
 
「好きですが、皆さん(私たち)ほどではありませんよ」
と笑顔で答えてくれたのが印象的でした。
 
何度も関根さんと鳥たちの行動を観察(失礼な表現でしたらご容赦を)しましたが、結局わからないままでした。
 
そして、あの事故が起こったのです。
とてもショックで、悲しかったです。
 
ニュースを見たとき、もし自分が同じ状況だったら、足がすくんで動けなかったでしょう。
 でも関根さんだったからこそ、落ちた人を救うためにとっさに行動に移したんだろうと思いました。
関根さんしかできない勇気ある行動だったと思います。
 
そしてそのとき、関根さんがなぜ鳥たちに好かれるのかが、ちょっとだけわかったような気がします。
 
関根史郎さんのご冥福を、鳥たちとともにお祈り致します。

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