0をふくむかけ算と、割り算
算数を教えていて何年も前から気づいていたのですが、小学校で最近はそう教えているのでまあいいか、と思って見逃してきて、やっぱりこれはよくない!と思っていることが一つあります。
★かけ算
18×30を筆算でするとします。
今の子どもたちは以前と違って次のような書き方をします。
0も他の数字と同じようにいちいち0×8=0、0×1=0とやって、記入していくわけです。
だから、180×3000なんて問題になったら、筆算の中に無駄な0がいくつも並ぶということになります。
塾での授業中、次のようにしたら?と書いて説明したら、
「そんなやり方もあるんだ」と子どもたちはびっくりします。
0は横においといて、あとでおいといた0の数だけつけ加えたらいいということを、学校ではちゃんと習っていないようなのです。
180×3000=18×10×3×1000=18×3×10×1000=18×3×10000という考え方は、小学生にとってそれほど難しいとは思えません。
★割り算
6年生の『縮図・拡大図』で、縮尺を教えていて気づいたのですが、割り算も同様です。
実際には3kmの距離が50000分の1の地図では何cmになりますかという問題で、3km=300000cm、300000÷50000を計算するのに、そのまま300000と50000を書いて筆算しようとします。
すごい遠回りで、それでよくできるねと逆に感心してしまいます。
割り算のときは同じ数だけ0を消すことができるから、0を4つずつ消してから計算したらいい
と教えると、おお!と驚嘆する声があがったりします。
300000÷50000=30×10000÷(5×10000)=30÷5×(10000÷10000)=30÷5×1=30÷5は、小学生にも十分理解可能です。
なぜ、以前の記述法をやめて手間のかかる書き方しか教えないのか、大変疑問です。
★発展学習に移行
かつて、誰もが習った、0を横にはみ出させてするかけ算の仕方、0を消してからする割り算の仕方は、今の教科書にも「発展学習」のような形で載っていることは載っています。
アリバイだけはちゃんと用意されている。
しかし実際の子どもたちが使いこなせなかったら何の意味もない。
塾では、ちゃんと教えて徹底しないといけません。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。