【社会科の言葉】 領域・領土・領空・領海・排他的経済水域
どこからどこまでが、私たちの国、日本の領域(日本国の主権の及ぶ範囲、領土・領海・領空の3つで構成される)なのでしょうか?
★領土
日本国の主権が及ぶ土地を領土といいます。
「主権が及ぶ」とは、日本国の土地であり、日本国の法律だけが完全に適用され、例えば、外国の人が無断で入ってきたら軍事力か警察力を使って追い出すことができるという意味です。
領土の境界は、日本と外国との条約で確定しています。
太平洋戦争で日本の敵国であった連合国との間で1951年に結ばれたサンフランシスコ平和条約などで、日本の領土の範囲はほぼ確定しており、外国もその領域を日本の領土として認めています。
(「ほぼ確定」と述べたのは、いわゆる北方領土、竹島、尖閣諸島の3つは、外国との間で領有権を争っているからです。)
★領海
古くから、領土から一定の距離までの海は、その国だけの主権が及ぶ領域だと認められていました。
これを領海といいます。
領土と同じで、完全にその国だけが支配できる領域です。
ただし、領土からの距離を各国が勝手に主張していました。
そこで、1982年に国際連合で『海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)』が採択され、「12海里を超えない範囲で各国が決める」ことが決まりました。
わが国は、『領海及び接続水域に関する法律』で、海岸線から12海里の距離の海を領海とすると宣言しました(ほぼすべての国が、海岸線から12海里を領海としています)。
海里・・・船や航空機で使われる単位です。
地球の緯度の1分(1度の60分の1)の長さが1海里です。
メートル法になおすと、1852mにあたります。
12海里は、約22kmです。
どの国の領海でもない海を公海といいます。
公海は、どの国の船も自由に航行することができます。
★領空
領土と領海をあわせた領域の、上空の空間を領空といいます。
領土、領海と同様に、その国の主権が独占的に及びます。
この領域を侵すと「領空侵犯」となります(1983年、韓国の大韓航空機の旅客機が誤ってソビエト連邦(現在のロシア)の領空に入ってしまい、ソ連軍の戦闘機に撃墜されて269名の人が亡くなったことがありました)。
以前は、領空の範囲は無限だとされていましたが、人工衛星が宇宙空間を飛びはじめた現在は、1967年の『月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(宇宙条約)』で、宇宙空間はどの国のものでもないことになっています(そうしないと、人工衛星の打ち上げができなくなってしまうから)。
ただし、どこまでが領空で、どこからが宇宙空間かは未確定のままです。
★排他的経済水域
以前は、領海以外の海は公海とされ、沿岸国の主権が及ばない領域でした。そのため、他国の船舶などが勝手に漁業資源や鉱産資源を手に入れることができたため、沿岸国との間に紛争が多発しました。
そこで、1982年の『海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)』で、海岸線から200海里(約370km)の距離内の海が排他的経済水域とされて、沿岸国が、魚などの「水産資源」と、鉱物資源などの「非生物資源」については、調査と開発を認められることになりました。
つまり、排他的経済水域内では、沿岸国だけが魚などを採ったり、石油などの地下資源を採掘できたりする権利を持つことになったわけです。
領海とは違って、排他的経済水域は、それ以外の面では公海としての性格を残しています。どの国も船舶も自由に航行できます。
日本国は、領土の面積は38万平方kmで世界で60番目くらいの小さい国ですが、排他的経済水域の面積は447万平方kmで世界で6番目の広さになります。
(参考)海上保安庁のHPから借用したものです。
南鳥島や沖ノ鳥島があるので排他的経済水域が一気に拡大していること、北方領土、尖閣諸島、竹島がわが国の領土であるかどうかが大きな問題であることなどがよくわかります。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。