伸び続ける人の勉強法(守・破・離)
小学校のときはよくできる子だったのに、中学生になると定期テストで期待したほどの点がとれなくなる子がいます。
逆に、小学生のときは見劣りがしていたのに、中学校では高得点を維持する子も珍しくありません。
なぜだろうと?とずっと不思議に思ってきました。
最近やっとたどりついた結論が、小学校の勉強は自由演技、フリースタイルであり、中学校の勉強は規定演技だから、小学校の成績がそのまま中学生になったとき反映しないのではないか、というものです。
小学校での学習内容は、いわば身の回りで体験していることに毛が生えた程度のやさしいレベルです。
ませた子や雑学的知識のある子や生まれつき能力の高い子は、きちんとした勉強のフォームを身につけていなくても無手勝流、フリースタイルでなんとでもなります。
逆に、そういう子のほうが、正しいやり方でなくても苦労しないで正解にたどりつけたりするので、はたから見ると賢い子に見える。
それに対して、中学校の勉強レベルになると、もう身の回りの出来事から乖離していきます。今までまったく見たことも聞いたこともないことも習得していかなければならない。
そうなると、自己流、フリー演技は通用しなくなります。
最初に正しい解き方のルールを素直にのみこんで、そのルールを守って忠実に解き進められる人でないと、すぐに行きづまります。
つまり、あらかじめ決められた規定にそった演技、勉強ができる子でないと、いくら才能があっても得点には結びつきません。
昨日は新中1の授業を担当する曜日でした。
授業中、
「式を書く」、
「漢字で書く」、
「姿勢を正す」、
「大事なことはメモをとる」、
「イコールを揃えて書く」、
「両手は机の上、片手で勉強してはいけない」、
「いちいち消さない、消してもよいのは誤答だけ」、
「図を描いてから、解く」、
「マーカーを文に引いても意味がない、重要語にだけ引く」、
「絶対に答えを写さない、もう一度自力でやりなおす」、
「思い出そうとしないと覚えられないから、まず考えぬく」
・・・
と、規定演技の『規定』にあたるルールを口うるさく言い続けました(もちろん、口調はもっとずっとやさしく、ですが)。
物事は最初が肝心、悪い癖がついてからの矯正は困難です。
まず、最初によいフォームさえ身につけたら、あとはほとんど苦労をしないで伸び続けることができます。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。