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特定外来生物ツヤハダゴマダラカミキリについて

ToriDoriみどりです。
ToriDoriみどりでは多肉植物の生産の他、造園業、樹木医業も行っております。
今回は特定外来生物のツヤハダゴマダラカミキリのご紹介をいたします。
私のいる愛媛県ではまだ未確認。いつ遭遇してもいいようにメモがてらまとめさせていただきます!



特定外来生物ってなに?

実はウメも外来生物

外来生物、外来種とは日本に生息していなかった動植物をいいますが、ウメは中国原産。外来種とされています。他にも身近な樹木では、イチョウ、キンモクセイなどもこれに当たります。しかしながら、国内に入ってきたのは万葉集の短歌にもウメが出てくるように、日本人の文化に馴染みきっており、今更、外来種感はないですね。実際に日本の生態系を脅かすこともないので単に「外来種」として、特段、規制の対象になっていたりはしません。

問題は生態系を脅かすかどうか

特定外来生物に指定される基準は日本在来の生態系を脅かす存在かどうか。外来生物法という法律で取り締まられています。
ちなみに法律では
海外起源の外来種(外来生物)のうち、生態系や人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼすもの、または及ぼすおそれがあるもの
と定義されています。
また、特定外来生物を意図的に放したりすると罰則の対象となりますのでご注意を。

ツヤハダゴマダラカミキリとは?

兵庫県で捕獲されたツヤハダゴマダラカミキリ

ツヤハダゴマダラカミキリは中国〜朝鮮半島に自生するカミキリムシでその被害は「世界の侵略的外来種ワースト100」に入るほど。世界中で猛威を振るっているようです。
日本でも広く確認されており、街路樹にも大きな被害をもたらしたことから特定外来生物に指定されました。


日本のゴマダラカミキリとそっくり?!

上記の写真を見て、見たことある!と思った方も多いのではないでしょうか。在来種のゴマダラカミキリとそっくりなんです。

ゴマダラカミキリ(在来種)


ツヤハダゴマダラカミキリ(特定外来生物)

見分け方はズバリ、羽の付け根の白い斑点

すごく似ていますが多少違います。最もわかりやすいのは羽の付け根(人間でいうウナジあたり?)の白い斑点の有無。あと、名前の通り、肩の部分のザラつきがなかったりもします。

在来種と自然交配されないのか?

今のところ、交配種は確認されていないようです。人工的に交配をしても交配種は作れていないとのこと。同じ東アジアの種ですが、進化の分岐は意外と古いのかもしれません。

樹木にどのような被害が??

被害木には小指〜人指指ほどの穴が無数に。

成虫の脱出したあとの孔(ヤナギ)
※提供写真

秋の間に樹幹内に産卵し、5月末ころから成虫の脱出痕が見られます。
在来種のカミキリムシも同様な脱出痕を残しますが、その量が違います。流石にここまで開けられたら、、、樹もたまったもんじゃないですね。
また、幼虫は幹の中を食害するため、フラス(フン)が見られます。

幼虫のフラス(ヤナギ)
※提供写真

ちなみに脱出痕やフロスは在来種のカミキリムシにも見られますので早とちりにご注意ください。

狙いの樹は広葉樹?

食害する樹木は西日本ではアキニレやヤナギ、東日本ではトチノキなど、食性があまりにも広く、広葉樹としか言えないようです。

見つけたらどうすればいいの?

見つけたら県や市の担当部署に連絡しましょう。
また持ち帰ると前述のよう罰則の対象となる可能性がありますのでその場で捕殺がもっとも間違い無いです。

最後に。

その外来種が侵入してきたのは人の手によるものです。
捕殺とはいわゆる殺すことですが、特に昆虫を含む動物は捕らえた後は必死に逃げようとしたり威嚇したりします。殺した後の後味のなんと悪いことか・・・。
しかしながらそれを許すと日本の恵まれた絶妙な生態系のバランスが崩れてしまいます。頭では分かってます。頭では分かっていますが、難しいところです。まさに心を鬼にして。
植物を輸入することを仕事としていますが、きちんと検疫を通しているのはこういったこと理由からです。
ぜひ周りの生物たちを観察してみてください!


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