夜中

夜中、ソファでハッと目覚める。
今が、朝なのか夜なのか分からずドキッとする。慌てて携帯を見る。

3:23

まどろみの中で、寝る前の記憶を取り戻そうとするが、一体いつ頃自分が眠ったのかは、はっきりと思い出せない。

最近読み終えたSF小説では、登場人物が幾度となく冷凍保存され、人類を救うために時を越えて目覚める。
このぼんやりとした感覚は、冷凍保存から目覚める登場人物の擬似体験に近い?自家製V R??無料の4D?タダ?!ラッキー☆
まだフワフワしている脳みそで考えなくても良いことを考える。


明日の仕事のためには、今すぐもう一度寝てしまうのがベストなのは分かっている。
しかし、このまま眠ってしまうのは勿体ない。
だって、今日は夕方から夜のゴールデンタイムを「寝落ち」という過失で失ったのだから。

目覚めた私に気づいて、犬も起きてくる。ショボショボした目のまま、尻尾を振っている。
どうやら、こいつも脳みそがフワフワのままらしい。
愛おしくて健気な、世界一かわいい犬。

何とか有意義な時間を過ごしたい。失った時間を取り戻したい。その使命感だけで、紅茶を入れる(リプトン)。カップをもって庭に出る。犬も健気についてくる。暗闇の中で、枯れて種ができたアサガオが目に入る。
秋ですね。

鈴虫も鳴いている。この上ない“秋”の演出。ありがとう鈴虫。鈴虫が鳴いているか、鳴いていないかで、この夜の有意義さは違ってくるような気がする。

犬と鈴虫に感謝する夜。
まだ、当分寝られる気配はない。

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