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進歩


転職することにした。思い立ってからはもう半年くらい経った。


前職は大きな括りで言うと営業職で、内定をもらってすぐそこに決めた。1年目はほぼ毎週出張のハードワークで、体力的にも精神的にもやられていた。営業成績が思わしくないとピリつく社内が怖すぎて、上司に電話しながら泣いてしまったこともある。でもそういう仕事だし、仕方なかった。1年目にきつい仕事を経験しておいてよかったな、と今は思う。

必ず守ってくれる人がいたし、2年目はめちゃくちゃ暇になったので(それはそれでしんどい)、仕事にものすごい不満があるわけでもなかったけれど、この先もここにいてもなあ、と思ってしまった。安定志向だと思っていたけど、そうでもなかった。

転職しようと思ったはいいものの、なかなか辞めるところまでいかなかった。でもある時期をきっかけにとんとん拍子で事が進み、円満に退社した。次に進んでいいんだなと思った。

次に何がやりたいというのがあるわけでもなく、なんとなくまた営業はやだなぁとだけ思っていた。大人と対等に話せるようになったのはかなり大きいし、大学を卒業して他の職業に就いていたらめちゃくちゃ騙されやすい大人になっていたと思うので、確かに必要な経験ではあった。

そもそもわたしの性格で営業職に就いていたのも不思議だ。素直なことだけが取り柄だったのにそれがあまり通用しないし、正しいことだけが正しいとは限らないのだとわかった。経験を重ねると営業トークみたいなものも身に付いて、思ってもいないようなことをすらすら喋れるようになった。祖父と父の営業向きが若干受け継がれたらしい。始めは正直でない自分に嫌悪感を抱いたが、すぐに忘れた。仕事ってこういうものなのかと思った。

あまりに世間知らずだったので、社会に出たら大変だと散々言われていた。確かに、大変だった。でも人に恵まれていたのでなんとかやってこれた。どこか甘やかされるようなところはあるけれど、それに甘んじるとたぶん痛い目を見ますので、感謝して受けとめ、精進しましょう。

結局次の仕事は渉外職(というらしい)、これも内定をもらったのですぐそこに決めた。出来るかはわからないけれど、やってみる。今まで自分のためだけに力をつけた分、人のためになにかできるようになりたい。

知らないという状態は、安心する。すごく誤解を招く言い回しなのはわかる。まだまだ先があると思うと、安心するのだ。知れば知るほど怖くなっていくので、深く踏み込んで突き詰められた分野がわたしにはまだない。でも、知りたいとは思っている。


次も人と話す仕事ではあるので、いろいろな話を聞いて自分の中に蓄えよう。なにも知らない一番楽しい時期を存分にだらけて、健康なからだで来月を迎えたい。





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