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#16 マウス

これは中毒である。
村田沙耶香さんの作品と出会って以降、狂うように作品を手にしてきたが、恐らく文庫はこれで全部読み切ったと思う。それくらいハマっている。今回のマウスは、他の作品よりは刺激は強くなかったが、読み応えのある作品だった。

1.あらすじ

小学5年生の律は大人しい性格で、周りに迷惑をかけないように生きていた。一方、同じクラスの瀬里奈はどこか力のないような様子だったが、事あるごとに泣いて周りを困惑させた。
ある日、泣いていた瀬里奈に律が腹を立て「くるみ割り人形」の話を読み聞かせることから話が始まる。

2.価値は時代の流れや権力者によって変わる

瀬里奈はクラスのみんなから嫌われていた。それもそのはず、何も話さないし、と思えばいきなり泣いて授業を中断するからだ。
しかし、律の影響で明るくなって以降、女子のリーダー格の早野に好かれ、周りも受け入れるようになる。
大人になると、長い手足で注目を集め、見た目だけで好かれるようになる。
価値は目の前の人たちが決めるので、自分ではコントロールしづらいものだと思った。

3.何気ない行動が人生を変える

律と瀬里奈が一緒にいたのは、5年生の1学期のみ。その短い間で、瀬里奈は急激に変わった。
それも律が物語を読み聞かせただけでだ。
人生何が人を変えるかわからないなと思い、自分の行動にも責任が伴っていることを改めて知った。

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