【詩】『私の目は貴方だけを見つめる。』


愛しい愛しいアナタ、
一体何処に行って仕舞われたの?
アナタが居なくなってから
毎日毎日、窓の外に
見知らぬ人を見掛けるようになりました。
まるで蜃気楼のように
ゆらゆらと、
黒い人影が此方に向かって手を振っているのです。
笑っているのか
泣いているのか、
みえません。
ただ不思議に思うだけです。

此処から出してください。

朝日がとても眩しいです。
アナタの笑顔にとても良く似た、
今にも無邪気な笑い声が聞こえてくるような
暴力的で頭が溶けてしまいそうな喜色です。
そういえば
アナタの最期の言葉は
何だったのでしょうか?

真夏の花が咲きました。

アナタは結局、此処から
出ては行きませんでした。
あれから嘘のように優しくなったアナタは
今日までずっと一緒に居てくれました。
一年に一度のこの季節、
アナタはワタシに笑いかけてくれます。
もっともっとアナタのお顔をみせてください。
アナタが顔を出す季節が
楽しみで楽しみで仕方ありません。
ワタシはアナタの笑った顔が大好きでした。

もう何度目の夏でしょう。

気が付けば家の周りは
ぐるり、
アナタの満開の笑顔で囲まれていました。
未だ窓の外には人影、
手招きをしているのです。
見えない知らない判らない。
誰ですか?
だってアナタは確かに此処に居るというのに何故。
この花はアナタこの花はアナタこの花はアナタ。
どうか待っていて下さい。
きっと来年の今頃には
アナタの隣で、ワタシも
風に揺られている事でしょう。



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久々の投稿ですがしれっと昔に書いたものを載せます。
タイトルは素敵な花言葉から。

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