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着床前診断 - 結果#3

10月に採卵し、培養中だった5個の受精卵は、2個が胚盤胞まで育ってくれて凍結。
そこから6週かかってやっとPGT-Aの結果が届いた。

B:準適が1個、C:不適が1個

厳しい。
せめて1個はA:適(正常胚)であって欲しかった。

そして、今回はB:準適の詳細を説明するからとクリニックに呼び出され、昨日その面談を終えてきた。
こちらからも質問を用意して臨んだので、その回答も併せて記していく。

とても長く、記録と割り切って書き殴っているので、ものすごく読みにくいと思う。
それでも読んでやろうという方、ありがとうございます。
一応目次を作りました。

PGT-A判定方法

今回はじめてきちんと理解できたのが、正常・異常・モザイクを分ける判定方法。
染色体は23対あるのに対し、検査のために採取する細胞は5-6個で、特定の染色体について異常(の有無や程度)が分かる仕組みを改めて教えてもらった。

まず、どの細胞にも全染色体(1〜22番と性別)の情報が入っていて、

採取した細胞すべてが、全染色体について正数(2本)を示していたら【正常:A:適】

一種類以上の染色体について、採取したすべての細胞が異数(1本または3本)を示していたら【異常:C:不適】

一種類以上の染色体について、採取した細胞のうち1個以上全個未満で異数を示していたら【モザイク:B:準適】

…となるらしい。
”混じっている”以上の理解に及んでいなかったものがクリアになりスッキリした。

そして本題、私の場合。

異常胚は、22番モノソミー(9月採卵分)と、9番トリソミー(10月採卵分)。
9月採卵分は、採取したすべての細胞で22番染色体が1本となっており、10月採卵分は、同じくすべての細胞で9番染色体が3本だったということ。ふむ。

そして今回詳しい説明を要したモザイク胚は、8番モノソミー寄りであり、他にも13・14・17番あたりがややトリソミーに振れているように見えなくもないものだった。

また、モザイク胚には低頻度と高頻度があり、正常→低頻度→高頻度→異常の順で移植に適しているとされ、渡された報告書には”低頻度”と記されてはいたが、口頭で確認するとギリギリ高頻度でないレベルの低頻度とのことだった。
仮に採取した細胞が5個なら、そのうち3個が異数だったくらいのイメージらしい。ややこしい。


このモザイク胚を移植したらどうなるの?

一番に考えられるのは流産。
次に考えられるのは、指の数が違ったり、脳の形が歪だったり、心臓に穴が空いていたり…という子になること。

妊娠が継続した場合、児の形状についてはエコーで注意深く観察を続け、後に羊水検査をして最終判断をする。

羊水検査は妊娠16-17w頃に受けることができ、結果が出るのに3週間ほどを要すが、日本の法律では堕胎できるのは22wまでと定められているので、結果を受けてから2週間ほどで産むか堕すかの重大な決断をしなくてはならない。

その頃には腹部はふっくらし、人によっては胎動を感じるようにもなっており、堕胎となった場合の肉体的・精神的負担は相当なものだという。
説明を聞きながら想像してしまい涙が溢れた。
かといって、障がいを持つ子を産み育てる勇気も(少なくとも現時点では)持てない。

それに、そもそもこの検査はリスクがあるものとされていて、その時の状態によっては受けられなかったり、検査したことで流産になることもあるというもの。

"モザイク"。
B:準適だなんてちょっと期待してしまう文言で知らされるけれど、実情はかなり厳しいというのが率直な感想。

「治療を辞める段になったら、最後の可能性として考えるのがいい」という医師の言葉に納得した。

なお、”モザイク胚の中には後に正常になったものもある”という症例については、上記のようなリスクを覚悟して移植したら偶々そういう結果になったということなので、現段階でその可能性を探ることはできない。

また、このような事情により移植されないことが多いため、”モザイク胚全体のうち何%が…”という議論もできない。


異常胚は廃棄するしかないの?

初期胚や低グレード胚盤胞などの移植で用いられる二段階移植。
これを異常胚で行ってもやはり成功率が上がるようだ…としている他院の説について尋ねた。
やっとの思いで得た胚盤胞。異常だったとはいえ、活かせるなら活かしたい。

しかし、結論としては「できない」ということだった。

理由としては、
⚫︎1つ着床した場合、どちらの胚かわからない
⚫︎2つ着床した場合、異常胚は流産となる可能性が高く、その際、正常胚も一緒に流れてしまう可能性が高い

着床する前提で話しているのは、私に複数回の妊娠経験があることによる。
着床自体が難しい人に関しては、また違う考え方をするかもしれないと言っていた。

そもそも、正常・モザイク・異常の判定も施設毎に行っているため、その判断基準も微妙に異なるらしく、私が情報を目にした施設ともそういう違いがあるかもしれない、とも。

判定まで検査機関が行なっているものと思っていた。
知らないことだらけだ。

帰宅後、廃棄申請と、廃棄胚を研究利用することを了承する書類に、夫婦でサインをした。


いまある正常胚での生児獲得率は?

現時点で有している移植可能胚は8月採卵分の2個。
クリニック独自の五段階評価はCとE(ガードナー分類ではCBとBC)で、いずれも6日目の胚盤胞。
近い治療ステージにいる人なら、心許ないという見方に共感してもらえるのではないかと思う。

我々夫婦はできれば子どもは二人欲しいと考えていて、早々にこの2個を得てはいたものの、今後の展開を考えて採卵を続けていた。
しかし、その結果はここまで書いてきたとおり。

採卵すれば移植可能胚を得られる、というものではないことを思い知らされた今、また数十万円〜数百万円を泡にする覚悟で採卵を続けるのか。
もしくはいったんこの2個に賭けてみるのか。

39歳。
いまこれだけ苦戦を強いられている状況で、今後、出産を終えて育児をしながらの治療・再採卵は現実的ではないように思える。

実際この2個で出産に至れる可能性はどのくらいあるのだろうか。
医師に聞いてみた。

以前、外来の医師から「当クリニックではPGT-A正常胚の成功率は9割」と聞かされたのですが本当ですか?

件数が増えて数字に変動が出てきているが、それでも8〜9割くらいで推移している。

それは、CやEでも同等の確率と思っていいのでしょうか?

グレードが低いとPGT-Aでも異常となることが多く、同じ条件の症例自体が少ないので一概には言えない。
特にEで正常だったのは他に一例しかなく、その方は成功しクリニックを卒業したが、1/1で100%となってしまうので信頼できる数字とはいえない。

では、この2個の成功率について、先生はどのようにお考えになりますか?

Eについては厳しいかもしれない。グレードは、言い換えるなら卵の元気度。染色体が正常でも、元気でなければ着床も成長も難しい。凍結・融解のダメージに耐えられない可能性もある。
Cについては、いけるのではないか。

移植か採卵かについてはどのようなご意見ですか?

移植の順序としては、可能性の高い順にC→E→モザイクが妥当。
採卵をするなら、期間や回数を先に決めておいた方がいい。
「正常胚が得られるまで」としてしまうと、数ヶ月〜数年を費やしてしまう人も多い。
出産後の採卵が今より厳しい条件になるのはその通り。夫婦でよく話し合って。

ふむ。


その他、「ほう」と思ったこと

⚫︎PGT-Aの判定は施設毎に行われていた、というのは先述のとおりだが、このクリニックでは複数の医師による話し合いで決めているとのことで、「Aのときは結果が早かった。時間がかかっているのは悪い予感」と感じていたのは強ち的外れではなかった。特にモザイクは医師も頭を抱えるところであり、時間がかかるらしい。微妙な判定になる場合には、患者の背景まで考慮することもあるそう。

⚫︎不妊治療クリニックでは妊娠10w前後で卒業となることが多いため、クリニックが公開している様々なデータは「着床率」「妊娠率」で語られることになる。
流産を繰り返している身としては、知りたいのは妊娠継続率や生児獲得率なのに!とやきもきしていたが、そういう事情か。考えてみればそりゃそうか。

⚫︎9月採卵の異常胚は最高グレードの5AAで、10月採卵の異常胚とモザイク胚は、グレードこそ聞きそびれたものの、異常胚=5日目胚盤胞、モザイク胚=未成熟卵から育った6日目胚盤胞だった。
正常胚については先述のとおりで、グレードと染色体は相関関係にあると言われているが、私たちの場合はあまり当てはまっていない。


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さて、これらのことを踏まえて夫と話し合わなくては。
まずは翌周期をどうするか、一週間で答えを出さなきゃな…


ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございます。

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