死んでしまうことについて

小さい頃から、急に死が怖くなることがあった。大体それは寝る前だった。

普段は何ともないのに、布団の中で死を感じた途端に体がかっと熱くなり、目の前にブラックホールが出現してその中を落下していくように真っ暗闇な気持ちになる。とてもとても悲しくなって、泣きながら母に助けを求めていた。

そんなとき、母はきまって「私も昔はとっても怖くなるときがあったけど、大人になって子供が産まれたらそれがなくなったよ」と言っていたので、大きくなったら子供を産もうとひそかに決意していた。


しかしいまだに子供はいないので、今でもやっぱりとても怖い。

しばらく忘れていた気持ちだったのだけれど、この1、2年の間に再発するようになった。

そこで友達に話してみると、「大丈夫…?」「病院に行った方が良いかもよ」と言う反応が返ってきた。

我が家で母はこの気持ちがわかる人で、父はわからない人だった。だから勿論そういう気持ちにならない人もいるとはわかっていたけれど、こんなにまで理解してもらえないとは思わなくてちょっと驚いた。

ある日自分自身が無くなる。今はこの世に確かに存在しているのに、それが消えてしまう。一生懸命積み上げてきた知識や思い出がなくなってしまう。

なんて恐ろしいことなんだろう。


夜だけじゃなくて、例えば朝の通勤電車の中でもこの気持ちは突然沸き起こるので、そんなときは涙を拭きながら恐怖が通りすぎるのを待つしかない。そして、なんで皆平気な顔して電車なんか乗っているんだろう、いつか死んじゃうのに!と考えている。

不思議なもので、通りすぎてしまうといくら想像してもブラックホールに落ちるあの感覚はもどってこない。例えるなら、酷い腹痛も収まってしまうとどんな痛みだったかなかなか説明できないような、冬の凍えるような寒さを真夏には思い出せないような、そんな感じである。

世の中でどれくらいの人とこの気持ちを共有出来るんだろう。誰か調査してくれないだろうか。


でも、いずれにしろ、人生が一度きりな事は確かなので、色々考えず、やりたい事は全部やってみないとな、と思っています。



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