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ジェイムズ・ジョイス(高松雄一訳)『ダブリンの市民』、お買い上げ有難う御座いました!

🐤鳥の事務所PASSAGE店通信🐤
◎総特集=「ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』100年!」
ジェイムズ・ジョイス(高松雄一訳)『ダブリンの市民』、お買い上げ有難う御座いました! 
 
皆さん、今日は。「鳥の事務所」です。ついに4(!)冊目お買い上げ頂きました。誠に有難う御座いました。開棚後2ヶ月にして、まだ4冊なので、価格設定も含めて要検討なのですが、まあ、とにかく頑張ります。3月まではやたらと暇だったのですが、4月に入って時間的制約が加わって、なかなか動きが取れなくなってしまったのですが、まあ、気長にやっていきます。売上優先ではなくて、あくまでも「布教活動」の一環なのですが、読まれなければ意味がないので、要改善ではありますね。たは。
お買い上げ頂いたのはジェイムズ・ジョイス(高松雄一訳)『ダブリンの市民』(福武文庫)でした。有難う御座いました。


ジョイス唯一の短篇連作集です。畢生の大作『ユリシーズ』の鼎訳(丸谷・永松・高松)で知られる高松雄一の名訳。『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』で「挫折」した方は、通常のモダニズムの小説の枠で書かれた本書がお勧めです。今は亡き「福武文庫」の、さらに今は亡き(( ノД`))菊地信義の手になる瀟洒なブック・デザインが目を引きます。美しいですね。
ジョイスと言えば奇を衒った(と思われている)『ユリシーズ』や『フィネガンズ・ウェイク』で知られていますが、よくよく読むとそれらの作品の根柢には、いわゆる文学的な抒情性、ポエジーが潜められています。『ダブリンの市民』を読むと、もともとジョイスもそのような詩的/私的・世界から自身の文学活動/文学制作を始めたのだなあと、いささか感慨に浸ります。
『ダブリンの市民』つまり、Dubliners は複数の翻訳が出ています。当棚でも以下の書目をご用意しておりますので是非お手に取って御覧下さい。
 
① ジョイス『ダブリンの市民』結城英雄訳・岩波文庫。
ジョイス唯一の短篇連作集。集英社版『ユリシーズ』の鼎訳(丸谷・永松・高松)の解説者にして、サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞作『「ユリシーズ」の謎を歩く』(1999年・集英社)で名高いジョイス学者(前・日本ジェイムズ・ジョイス協会会長)による希少の翻訳。各章扉に付されたダブリンの写真が楽しい。420円。
 
② ジェイムズ・ジョイス『ダブリナーズ』柳瀬尚紀訳・新潮文庫。ジョイス唯一の短篇連作集。かの翻訳不可能と言われた『フィネガンズ・ウェイク』の完訳を成し遂げ、惜しくも『ユリシーズ』は途中までの翻訳で鬼籍に入られた、まさに天才翻訳家の奇跡の名訳。旧新潮文庫版『ダブリン市民』の新訳版となる。360円。
 
③ ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの人びと』米本義孝訳・ちくま文庫。ジョイス唯一の短篇連作集。『言葉の芸術家ジェイムズ・ジョイス――『ダブリンの人びと』研究』(2003年・南雲堂)、『読解『ユリシーズ』』(上下・2004年・研究社)で高名なジョイス学者による翻訳。ビニルカヴァー貼り付け、謹呈箋も内側に貼り付け。中身は綺麗。720円。
 
④ ジェイムズ・ジョイス『ダブリン市民』安藤一郎訳・新潮文庫。ジョイス唯一の短篇連作集。往年の読者はこの安藤一郎訳でまずジョイスの洗礼を受けた。新潮文庫は今柳瀬訳に改版されているので新刊では手に入らない。それにしてもこのリアリズムで書かれた瀟洒な短篇集から、誰が一体あの『ユリシーズ』を想像できたであろう。いや『ユリシーズ』を読むとよく、この『ダブリン市民』の情景が浮ぶのだ。520円。
 
という訳で、いよいよ6月が近づいてきました。『ユリシーズ』を読むなら今しかありません(そんなことはないか?)!
是非、『ユリシーズ』をお手に取ってみてください。
それでも、開巻1ページ目から挫折してしまった方には、とても優秀な水先(チチェ)案内人(ローネ)がいらっしゃいます。それも複数。かく言うわたしもこの方々がいなければ、とっくのとうに読むのをやめていたことでしょう。つまり、なんらかの縛りは必要だということです。あとは無理に全部読もうとせず、各挿話を比較的念入りに読むということですね。以下敬称略です。
①「22Ulyssesージェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』への招待」全22回開催・2022年2月2日から12月16日までon lineにて実施・発起人:田多良俊樹、河原真也、桃尾美佳、小野瀬宗一郎、南谷奉良、小林広直、田中恵理、平繁佳織、永嶋友、今関裕太、宮原駿、湯田かよこ、新井智也。
②「2022年の『ユリシーズ』―スティーヴンズの読書会」全18回(?)開催・2019年6月16日から・現在はon lineにて実施・主催者: 南谷奉良・小林広直・平繁佳織。
On lineによる読書会ですが、どちらかというと公開講義に近いのですが、毎回、驚天動地の講義と、そして質問を通じて、専門家、素人、合い交えて、相当熱い論戦が繰り広げられています。是非アクセスしてみてください。
①は月に2回、隔週の金曜日の20時から22時まで、②は隔月の日曜日の13時半から17時半まで開講されます(と言っても、②はあと1回しかありませんが)。次回の予定は以下の通りです。
① 5月20日(金)20:00~22:00 第7挿話を扱います。こちらをご覧ください。☛ 出版100周年特別企画:2022年×全22回のオンラインイベント - 日本ジェイムズ・ジョイス協会 (joyce-society-japan.com)
② 6月26日〔? 多分そうだったと思う。事前に予告があります〕(日)13:30~17:30 第18挿話を扱います。こちらをご覧ください。☛ ジェイムズ・ジョイス研究 - STEPHENS WORKSHOP (stephens-workshop.com)
 


 
 
 
 
 

 
 
ところで、最近、今更、凝っているのが、あるイギリス貴族とその従者(?)たちの人間ドラマを描いた『ダウントン・アビー』です。イギリスの文化や習俗の勉強になります。英語の勉強にもちょっとなります。ちょっとだけですが。
かなり無理槍感のあるストーリー展開ですが、ここ2週間ぐらいでシーズン1~3までけっこうぶっ通しで見てきました。芸術的にどうこうということはないのでしょうが、ついつい見てしまうのは日本のNHKの大河ドラマと同じなんでしょうね。
と、思ってたんですが、これは単なる推測ですが、大河ドラマというよりも、かの橋田壽賀子描くところの『渡る世間は鬼ばかり』と、物語の展開は同じなのではないか、と思った次第です。推測というのは『渡鬼』を見たことがないからです(笑)。
恐らく、様々な事件が起こるにも関わらず、結局何も変わらず、時は過ぎていく、という「歴史不変」観が現れている気がしますが、庶民の歴史感覚は洋の東西が違えども、普遍性があるのでしょうか?
すいません。適当なことを書きました。
 

 
「PASSAGE by ALL REVIEWS」
https://passage.allreviews.jp/
東京都千代田区神田神保町1-15-3
サンサイド神保町ビル1F
 
当面の特集は
「ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』100年!」ということで、ジョイス関係の本になります。
皆さま、どうか宜しくお願いいたします。
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20220508 2201

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