鳥――批評と創造の試み

現代日本の文学と思想についてつぶやきます。

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一筋縄ではいかない ガブリエル・ガルシア゠マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』

一筋縄ではいかない   ガブリエル・ガルシア゠マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』   ■Gabriel José de la Concordia García Márquez, Memoria de mis putas tristes,2004/ガブリエル・ガルシア゠マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』2004年/『ガルシア゠マルケス全小説』木村榮一訳・2006年9月30日・新潮社。 ■中篇小説。 ■全5章・141頁。 ■2024年6月25日読了。 ■採

    • セゾングループは何故崩壊したのか? 辻井喬・上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』

      6     沈める城 辻井喬/堤清二 その6   セゾングループは何故崩壊したのか? 辻井喬・上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』   ■辻井喬・上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』2008年5月20日。 ■対談(流通産業・消費社会・現代史・現代文学)。 ■全4章・324頁。 ■2024年5月31日読了。 ■採点 ★★★★★。   ※    「セゾングループ」なる名称は1990年から使用されている。したがって、それ以前については「西武百貨店」なり

      • まさに「沈める城」ではないか――辻井喬ではなく、堤清二を追い詰める 御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一編『わが記憶、わが記録――堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』

        ~~沈める城――辻井喬/堤清二~~   ※これ以後、辻井喬=堤清二に関する一連の文章の通しタイトルを「沈める城――辻井喬/堤清二」と致します。 まさに「沈める城」ではないか――辻井喬ではなく、堤清二を追い詰める 御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一編『わが記憶、わが記録――堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』   ■御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一編『わが記憶、わが記録――堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』2015年11月25日。中央公論新社。 ■インタヴュー・座談(流通産業・消

        • 三浦雅士――人間の遠い彼方へ その5第4章 起源の方へ㊤

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その5                   鳥の事務所         第4章 起源の方へ㊤   1 「自分が死ぬということ」――中島敦「狼疾記」    皆さん、こんにちは。今回も宜しくお願いします。中島敦って皆さん、ご存じですか。教科書で読みませんでしたか。  中島 敦(1909年~1942年)は、例の、虎に変身する話「山月記」が高校の教科書に載ってて、超有名な小説家ですが、33歳であっけなく死んでしまいました。喘息だそ

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        • 読書ノート
          67本
        • 辻井喬/堤清二を読む
          6本
        • 木村敏を読む
          3本
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        • BOOKOFF巡礼記
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        • 加藤典洋を読む
          4本

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          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その4第3章 生命の方へ――三浦雅士『身体の零度』を読む

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その4   鳥の事務所         第3章 生命の方へ――三浦雅士『身体の零度』を読む   1 はじめに  さて、今回も前回と同様に、以前書いた文章を読ませていただきます。恐縮ですがよろしくお願いします。1994年に刊行された『身体の零度』についてお話しいたします。   2 生命の方へ――三浦雅士試論Ⅱ 【コラム 10 『身体の零度』】 コラム ☕tea for one ~『身体の零度』~ ■三浦雅士『身体の零

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その4第3章 生命の方へ――三浦雅士『身体の零度』を読む

          「無印良品」は消費社会打開の切り札になり得るか? 堤清二・三浦展『無印ニッポン』

          ~~辻井喬=堤清二を読む~~ 「無印良品」は消費社会打開の切り札になり得るか? 堤清二・三浦展『無印ニッポン』   ■堤清二・三浦展『無印ニッポン――20世紀消費社会の終焉』2009年7月25日・中公新書。 ■対談(消費社会・現代史)。 ■210頁。 ■2024年5月15日読了。 ■採点 ★★★☆☆。 目次 1 「無印良品」の思想... 2 2 「ファスト風土化」... 6 3 ノン・ブランドというブランド化... 9 4 「消費」という闇... 1

          「無印良品」は消費社会打開の切り札になり得るか? 堤清二・三浦展『無印ニッポン』

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その3第2章 人間の方へ――『この本がいい』を読む

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その3   鳥の事務所       第2章 人間の方へ――『この本がいい』を読む                                        1 前置き その①――いささか苦言を……    それでは第2章です。  本章では、相当以前に、1993年ですね、わたしが書きました書評のようなものをお読み頂きます。  『この本がいい』、これですね。やたら分厚いですね。こちらは1989年から92年まで、足掛け4年

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          鈴あらば 鈴鳴らせ りん凛と――再び評価の火を 辻井喬『叙情と闘争』

          ~~辻井喬=堤清二を読む~~ 鈴あらば 鈴鳴らせ りん凛と――再び評価の火を 辻井喬『叙情と闘争』   ■辻井喬『叙情と闘争――辻井喬+堤清二回顧録』2009年5月25日・中央公論新社。 ■回顧録(自伝)。 ■352頁。 ■2024年5月12日読了。 ■採点 ★★★☆☆。    今は亡き、詩人・小説家辻井喬、実業家堤清二の、――本人は否定しています*[1]が、「自叙伝」、それの苦肉(?)の言い換えの――「回顧録」です。 辻井さんが亡くなったのが、2013

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          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その1、その2

          三浦雅士――人間の遠い彼方へ その1   鳥の事務所   三浦雅士――人間の遠い彼方へ 鳥の事務所         第Ⅰ部 批評家としての三浦雅士       α篇 三浦雅士 ――批評的散文詩の発明             そもそものはじめに   本稿は以前、突発的に、前の会社を辞めて、次の仕事が全く見つからなかったときに、半年ほどかけて書いた、一種の殴り書きです。テーマとなっている三浦さんには全く申し訳ないが、自らの能力的な

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          『ティファニー』旅立つ!

          🐤鳥の事務所PASSAGE店通信🐤 ◎総特集=叶えられなかった祈り――トルーマン・カポーティ歿後40年 『ティファニー』旅立つ!   皆さん、お元気ですか? 今日は。鳥の事務所です。 いよいよGWも終わりですが皆様、いかがお過ごしですか? 本日、早速1冊お買い上げ頂きました。誠に有難う御座いました。 これで開棚以来48冊お買い上げいただいたことになります。誠に有難う御座いました。 お買い上げ頂いたのはこちらです。 ◎トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』村上春樹訳・

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          およそ半年振りの復活です(笑)!

          🐤鳥の事務所PASSAGE店通信🐤 ◎総特集=叶えられなかった祈り――トルーマン・カポーティ歿後40年 およそ半年振りの復活です(笑)!   皆さん、お元気ですか? 今日は。鳥の事務所です。 いやー、前回の更新が9月でしたから、およそ半年ぶりの更新です。どうも仕事柄、秋から冬にかけては繁忙期となり、休みもへったくれもなくなってしまうので、やむを得ない仕儀とはなりますが、あったかい時期に頑張るしかないようです。 という訳で、先日、ジェイムズ・ジョイス『さまよえる人たち』を最後に

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          カズオ・イシグロ、羊文学、ヒグチアイなど

          遍 歴 カズオ・イシグロ、羊文学、ヒグチアイなど 2023年11月19日(日曜日) 晴れ☀ 休み  イスラエル軍のガザ地区への攻撃の停止を心より祈ります。     本日休み。 先月の終わりぐらいから、SGで妙なPJを任されて、なおかつ我が意に染まず苦しい局面になって来た。そもそも時間がないのに、更に謎のSGが増えて困る。 SGが間に合わないので、出社時間も大体2時間ぐらい早く行くが、全くどうにもこうにもだ。 そのためか、疲労が蓄積して、休みはとにかく眠い。とりあえず朝起きるの

          カズオ・イシグロ、羊文学、ヒグチアイなど

          「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む

          Jジェイムズ・ジョイスを読むJ 4 Eveline 謎々『ダブリナーズ』その4「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む  【凡例】 ・『ダブリナーズ』からの引用は原則として新潮文庫版を使用し、適宜他の訳書も参考にした。また、英語原文はwebサイト『Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルク)』(Dubliners by James Joyce - Free Ebook (gutenberg.org))によった。 ・『新英和中辞典

          「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む

          現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

          Ⅸ ~~過渡期の人間――カズオ・イシグロを読む そのⅨ~~ 現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』  ■Kazuo Ishiguro, Klara And The Sun,2021, Faber & Faber, Knopf, Hayakawa Publishing/カズオ・イシグロ『クララとお日さま』2021年3月15日・英Faber & Faber社、米Knopf社、土屋政雄訳・早川書房。 ■長篇小説。 ■2023年10月8日読了

          現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

          「過渡期の人間――カズオ・イシグロを読む」進行表 20231021

          「過渡期の人間――カズオ・イシグロを読む」進行表 20231021

          現在の状況

          遍 歴 現在の状況   2023年10月20日(金曜日) 晴れ☀ 休み  イスラエル・パレスティナ紛争の早期停戦を心より祈ります。      本日休み。 矢鱈とSGが忙しくなってきた。困ったものだ。面白いからいいんだけど。   現在の状況。   ①  「トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り」……中断中、早期の再開を期す。 ②  『恋するアダム』感想……途中 ③  『ダブリナーズ』「イーヴリン」感想……途中 ④  『クララとお日さま』感想……途中 ⑤  『遠い山なみの