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T家の日常 頭が爆発する日

ある日、家に帰ると、一番下の子、Sが珍しく漢字の勉強をしていた。
明日、学校で漢字の再テストがあるそうだ。
前回、散々な点数だったSは先生に言われた範囲のドリルに取り組んでいたようだ。

父「ただいま。お、勉強してるのか。えらいじゃん」
S「ねぇ、もうやらなくてもいいかなぁ」
いきなりか。
S「今日は、くも〇にも行ったし、がんばったんだよなぁ」
父「うんうん、Sが頑張っているのは、よーくわかっている」
S「明日、漢字のテストがあるんだって。 こんなにあるんだよ」
Sは、ドリルの数ページをつまみ、私に見せた。
確かに、厚い。
だったら、毎日、少しずつやったらよかったじゃないのよ。
父「そんなにあるの?いつそれ分かったの?前から言われてなかったの」
S「いや、ムリムリムリムリ、もうームリ」
聞いちゃいない。DIOの無駄無駄高速ラッシュの勢いだ。
父「いやいや、だから…」
S「ムリムリ、こんなにできないよ、もう頭が爆発するー」
父「…先生は何て言ってたの、本当にそんなに宿題なの」
S「はっ…そうだ、全部やれとは言ってなかった気がするな。がんばってって言ってた」
ホントかよ。
父「そうなの?それなら、覚えてない漢字だけやれば…」
S「そうだ!うん、がんばった。もう、がんばった」

聞いちゃいない。そして、片付け始める。
早い。光速のごとく片付ける彼に、私の音速の声はもはや届かない。
やれやれ、しゃーないと思いつつ、キッチンに向かう。

やがて、カミさんが帰ってくる。
妻「ただいまぁ~。あー、づかれた」
どうやら、疲れたを通り越すと、づかれたになるらしい。
父「お帰り。今日はカレーだよ」
妻「今日もがんばったよ」
父「君が頑張っていることは分かっている」
さっきも同じような事を言った気がする。
いや、俺もナチュラルに頑張ってるんですけど。あと、カレーに少しは反応してくれよ。
妻「なんかさ、急にやったことないことやれって言われてね」
父「うんうん」
妻「前から言ってただろって、絶対聞いてないんだけど」
ホントかよ。テスト前の子供か、って、あれ?
妻「でも、強く言えないじゃん。で、急にやらなきゃじゃん。でもやったことないじゃん」
父「うんうん、」
妻「もうホントに、頭が爆発するって感じだったのよ」
父「…………、ん?」
妻「…ん?なに?」
父「いや、実はね…」

ここにも、いたか。
いやぁ、親子だなと思いつつ、不発でよかった、我が家は今日も平和を保つ事ができたと、胸をなでおろすのでありました。

P.S. 漢字のテストは無事、100点とれてました。
人間、やれば、できる!

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