白菜のクートゥ

沼尻さんが「ケララの風」を始める前、とにかく南インド料理、ミールスを、1人でも多くの人に知って欲しいと始めた食事会「グルジリ」。今では伝説となってしまったそのイベントで、とらさんもわたしも初めて「ミールス」を体験しました。

当時は、スーパーに野菜を買いに行って、調理室で作った料理を皆で食べる、経費は頭割りというスタイルでした。スパイス代など、沼尻さんの持ち出しも多かったのでは、と推察します。

そこで知った南インド料理を、サラリーマンをやりながら同じスタイルで作って食べていただいていた私たちに、ちょっとした転機がありました。

『とにかく知ってもらう』という段階をクリアした方達が、ご自分達のホームで食事会を開催してくださるようになったのです。その輪は瞬く間に広がっていきました。

そのひとつに「ヨガして南インド料理を食べよう」という企画がありました。参加してくださる方は皆さん美意識も高く、そして食いしん坊さんで食べることに貪欲でした。ちょっと面白い食材があると全力で食いついて来られます。

そこで言われたのが「ちょっとくらい経費がかかっても構わないので、食材もこだわってもらいたい」おかげさまで、「金目鯛のビリヤニ」などもこのグループをきっかけに誕生しました。ただ、正直、こだわり始めると野菜の方がコストはかかります。

スパイスを使うんだから、食材はあまり関係ないのでは、という話を聞いたこともありますが、ミールスの場合、良い素材を使えば当然その分美味しくなります。

それを痛感したのが、白菜のクートゥでした。クートゥは豆ペーストがベースになっているシンプルな料理です。シンプルなだけに素材の持つパワーがそのままお料理に出ます。

ヨガが終わって調理室に入ってきた皆さん、いい感じにお腹が空いています。おまけに好奇心旺盛な方ばかりですから、配膳のお手伝いの傍ら、お鍋をのぞいたり写真を撮ったり、忙しいのです。

その皆さんの鼻を釘付けにしたのが、白菜のクートゥでした。そう、八百屋さんイチオシの「ちょっといい」白菜だったのです。たっぷり作ったはずなのに、きれいにお鍋は空になっていました。

それを機に、食材へのこだわりも強くなり、心強いアドバイザーも加わって、食事会も新しい段階に入ったような気がします。

趣味の延長のような食事会で、唯一、主催者さんや私の悩みのタネは、とらさんがいつもいつも「作り過ぎる」問題でした。そこで、私は一計を案じました。それはまた明日のお楽しみ(^^)

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