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6月7日 Appleのアレ……いいなぁ。でも50万円か……。

Introducing Apple Vision Pro

 6月6日の開発者向けカンファレンス「WWDC23」において発表された「Appleのあれ」こと「vision pro」
 これ………………いいなぁ。
 欲しいな……。
 でも……50万円か……。
 50万円か……。

 いや、本当に欲しい。こういうのをずっと待ってた。
 私はいまだにVRとか持っていなくて、体験もしたことないのだけど、横で見ながら「ちょっと違うなぁ」と思っていた。私が理想として考えていたのは、「現実空間」が見えること。オブジェクトが空間上に浮かび上がるような仕様だ。
 そういうものはすでに存在していて、Microsoftの「HoliLens」がそれ。あれも「いいなぁ、欲しいなぁ」と見ていたのだけど、なにかのニュース番組で実際に装着している様子を見てガッカリ。というのも、解像度が低い上に、レスポンスがやたらと悪い。30年以上前のPCレベルの画像でしかなかった。あれじゃ、仕事に使えないか。

 そこでAppleの「vision pro」は「そうそう、これ!」というものをだいたい備えている。現実空間が常に見えている状態で、空間上にオブジェクトが浮かび上がっている。私がずっと欲しいと思っていたのは、まさにこれ。これだと「モニターのサイズ」とか気にせず、自分が座った場所全体がワークスペースになる。モニターだとプラウザを2つ開くと画面一杯だったが……もうそんなこと気にする必要がない。
 ただ気になっているのはデザイン。あともう二回りくらいスリムになれば言うことはない。装着していないからなんともいえないけども、あれは長時間使用すると疲れるんじゃないかな。大きさはVRゴーグルの永久の課題だけど。
 そこはやっぱりVR自体スタンドアローンで動かそう……という前提があるから。私の考えでは、そういう複雑な機械は外に出しちゃっていいんじゃないか。VRは「受像機」ということにして、メインはデスクトップPCで動かす。VR機器は徹底的に軽くする。
 でもまだメーカーとはVR自体で動かしたい……という意識があるんだろうな。

 紹介映像を見てみましょう。

 vision proは装着者の「視線」を検知していて、基本操作はその対象に視線を合わせて、指先で摘まむ仕草をすること。視線を向けるとそのアイコンがちょっと大きくなるという仕様になっている。
 私はXRグラスをかけたことがないのだけど、体験した人の話を聞くと、空間上オブジェクトは距離感が掴みづらいものらしい。そのオブジェクトが10センチ向こうなのか、30センチ向こうなのか……。10センチと1メートルの区別もつけられないそうだ。「影」とかも出ないと、思いのほか距離感が掴みづらいものらしい。
 そこでvision proは視線を合わせて、摘まむ仕草をするだけ……という仕様になっている。スクロールも指先のジェスチャーだけで動くようになっている。「空間上オブジェクトは距離感が掴みづらい」というのを意識した仕様だ。

 体験レポートを一杯読んだのだけど、隣に人が現れ、その人に視線を向けると、空間オブジェクトが半透明になったという。
 なぜそんなことができるのか? おそらくは「視線」を検知しているのだから、その視線の焦点が外の誰かに向けた……ということを検知しているのだろう。
 視線の検知は未知数だが、瞳孔からその人が緊張やストレスを感じているかどうかも検知できるのだという。この視線を検知する仕組みにはまだまだ秘密がありそうだ。

 ゲームで遊んでいる姿。どう見てもPS5だけど……。ゲーム機と繋げられる、という意味なのだろうか? Nintendo Switchは繋げられるかな……。

 Appleはvision proについて「VR」と表現せず、「空間コンピューター」と表現していた。従来のVRとは違って、視界を隠さない。「電脳世界に入っていく」ということをコンセプトにしていない。そういうわけで「メタバース」という言葉も使用していない。つまり流行りのバズワードは一切使ってない。
 でもダイヤルを捻ると、視界を隠すことはできるように作られている。ただ、「ダイヤルを捻る」という一手間があることから、そこは重要視していない。「好きな人はどうぞ」という感じなのでしょう。

 これも隔世の感というか……。みんな憶えているだろうか? Nintendo Switchが発表されたとき、「トレンドワードであるVRもメタバースも入っていない。これは売れないだろう」……と一般マスコミが語っていた。今はその逆で、VRもメタバースもワードとして忌避されちゃっている。私は常々「一般マスコミが「これからはこれが流行る! この流行に乗り遅れるな!」というやつは1年以内に衰退する」……と言い続けているけど、これもその通りになった。「一般マスコミが大騒ぎをしたときが引き時」……これは大事な心得だ。
 というか、既存のバズワードに頼った商品は新しくない。そのバズワードの範疇でしか物事を考えていないって話だから。新しい商品を作るときは、世にあるバズワードからあえて外す、越える……という発想がなきゃダメ。この発想がないと、「性能」だけがアピールポイントになっちゃう。そういう、「ドングリの背較べ」をやりたいだったら話は別だけど。

 自分の顔をスキャンしている様子。ゴーグルをかぶった後でも表情や上半身の動きを検知してくれているらしく、自分の姿をスキャンして、その姿をZooMなどに映し出すことができる……という説明場面。
 ここでもメタバースが回避されている。アバターを出すのではなく、自分自身を出す……を基本コンセプトにしている。
 それはそうと、メタ社の出しているアバターってクソダサだよね。メタ社のデザイナーはどうしてあれで行けると思ったのやら……。あのアバターは使いたくはない。
 vision proのこの仕様だけど……じゃあガチガチにメイクして、思いっきり決めまくった顔を作った後、メイク落としてゴーグルかぶっても、メイク顔のほうがZoomに出るってことかな。もしそうだったら、オオカミや馬のマスクをかぶってスキャンしてみたい。きっと相手も驚くだろう。そういうイタズラを積極的にやっていきたい。

 他にもvision proは装着者の周囲も検知しているらしく、オブジェクトが机や椅子の向こうに行くと、ちゃんと机に向こう側に隠れるらしい。これはいったいどういうテクノロジーなのだろう……?

 自分が立っている周囲全体がワークスペースになっている。「モニターのサイズ」も気にしなくていい。私は机の上にモニターを3台も並べているけど(うち1台は液晶ペンタブレット)、全部必要なくなる。ゴーグル1つでモニター3台分以上まかなえる。こういうものが欲しかったんだ……。

 vision proのコンセプト映像を見た後、私はあまりにも感激して、すぐにMacPCのサイトを見に行っていた。どうせなら、次のデスクトップPCはMacにしようかと……。絵描き作業のIpad proをベースにするなら、全部Apple社で揃えたほうが良かろう、と。
 WindowsPCとIpadを連携して動かす場合、非公式のアプリを入れて繋がるようにしなければならない。たぶんWindowsPCとvision proも同じようになるのだろう。だったらすべてApple社で揃えた方が話は早い。
 今までMacは「よくわからないから」……となんとなくWindowsを選んできたけど、とうとうMacを選ぶときが来たかも知れない。
 ただ、私はパソコンのスペックってよくわからなくて……。いま私が使っているPCと同等以上のスペックがあれば合格ライン、と思っているのだけど、見方がわからない。どうやらCPUの性能は最新のMacPCのほうが上らしいけど、問題はGPU。Appleの独自設計なので、どこを見れば比較になるのやら……。3DCGも作る……ということを前提にした場合、MacPCはそういうものに強いのかどうかもよくわからない。最新のAppleGPUは、NVIDIAやAMDのGPUと比較すると、どのくらいのクラスなのか……誰かそういうわかりやすい図を作ってないだろうか。

 vision proが発表された後、いろんなメディア情報を見ていたけど、多くの記者が「これはゲームチェンジャーになる」「時代を変える」と書いていたけど……。
 いや、そんなに売れんだろう。
 だって50万円だぜ?
 これ買えるのって、限られた人だけだよ。
 ただ……「固定ファンは付くだろう」と見ている。
 50万円という値段は、そもそも1機作るのにそれくらい金がかかるから……ということなのだけど、この値段だと買おうという人はそうとうに金を持っている人か、はっきりと「仕事に使いたい」という意思を持った人に限られる。「ちょっとVRゲームで遊びたい」……というユーザーは手を出さない。
 はっきりいって、「ちょっとVRゲームで遊びたい」……というだけの動機で買う人は3日で飽きる。
 仕事なんかで毎日、長時間、長期間使用したい……という人が残されていく。要するに「上客」がユーザーの中心層になっていく。50万円という値段だから、まず「買えるかどうか」ということでふるい分けができてしまう(まあ50万円も出した時点で、Appleにとって上客ですけど)。
 vision proを切っ掛けにVRゲームが流行る……とも思わない。そういうゲームで遊ぶ……というユーザーも少なかろう。やはり仕事が中心で、仕事が中心だから、vision pro専用のアプリを山ほど出す必要はないし、そういうアプリを慌てて買う必要もない。ゲーム機じゃないから、急いでvision proユーザーを増やしてアプリを売らないと……というものでもない。
 そういう上客を中心に、濃い固定ファン層を作り出していく。そういう狙いだから、「爆発的に売れる!」ということはまずない。たぶん発売後、vision proに関する話題は特になく、一般メディアは「人気失速!」と書き立てるだろう。競合他社製品ほど売れないだろう(だってMetaのMeta Quest3は7万4800円。ライトユーザーはこっちを選ぶでしょ)。でもじわじわと使い続ける固定ファンは増えていく。
 vision proが数百万台売れる……という未来は見えないけれど、着実に利益を上げるくらいにはじわじわと売れ続けるだろう。そういう商品として育っていくんじゃないか……というのが私の予想だ。

 あとははやり長時間使用したときに、どれだけの疲労が来るのか。装着感、重さ、眼精疲労……いろいろ気になる要素はある。
 vision proの仕様上の欠陥は、バッテリーがたったの2時間しか持たないこと。Apple社は「バッテリーが長持ちします」をアピールポイントにしがちなのに、珍しい。ということはvision proはバッテリー消費量がめちゃくちゃに高く、それをゴーグル内に格納できなかった……ということだろう。
 まあ私は家でしか使用しないつもりだから、普通にコンセントに繋げるつもりだから別にいいけど。
 紹介映像であったように、vision proを装着しながら日常生活……は無理だろう。ましてや、装着したまま外出……は想定していないだろう。
 それと、「vision pro」ということは「mini」とか「air」もライトユーザー向けにあり得るんじゃないかな。そっちのほうは画像は2Kくらい。
 vision proを手に入れたら、リクライニング全倒しで体をゆったりさせた状態で、脳だけを動かして仕事をする。そういう未来を想像するが……。
 でも50万円なんだよね。
 夢一杯のマシンだけど、こりゃ買えないわ。

 私はAppleの上客にはなれそうにない。


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