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ブログ:アニメの話

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私の個人ブログの中から、アニメに関する話題のみをピックアップしました。
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#漫画

7月20日 ロボットが人間の代わりに働く時代……『PLUTO』に描かれる崩壊した労働環境

前回  ここからは『PLUTO』から離れるので、章を改めましょう。作品の感想文、というより「雑感」です。  『PLUTO』の時代、労働環境は崩壊している。ロボット技術が進歩し、人間が働く必要はなくなった。人間が働くよりも、はるかに低いコストでロボットを働かせられるようになったからだ。それどころかロボットは仕事の不平は言わないし、ミスをすることもない。人間を雇い続けているのが馬鹿らしくなるくらいだ。普通の経営者だったら、人間よりもロボットを仕事に入れようと思うはずだろう。

7月19日 『PLUTO』 漫画をいかにアニメへ翻訳するか?

 アニメ版『PLUTO』を今さら観たよ!  いや、そうじゃなく、いつの間に配信されてたんだろう? 2023年10月? 半年間、ぜんぜん配信されていることに気付かなかった……。オススメにも1回も出てこなかった。  ネット発信作品の問題だね。ユーザー側が能動的に検索をしないと出てこない。どこかに告知があったかも知れないけど、それを見逃すと知ることができない。場合によってはまったく存在を知らないまま、時間が過ぎてしまう……。つい先月、配信されていることにやっと気付いたけれども、気付

メイドインアビス第2期 第12話の度し難感想 成れ果て村の終わり~それは愛ゆえに…

 いよいよ最終回。2話分一挙放送ということで、尺も2倍。恨み恨まれの呪われた物語のその先に何があるのか。行く末を見ていきましょう。  がおー! と登場のジュロイモー。  胸より取り出したるは熱く燃えあがった業物!  たぶんジュロイモーは体内で熱をためることができるんでしょう。それで業物もホットにすることもできる……と。ヘンな生き物だなぁ……。  ファプタ、再び襲われるけど……。  噛みついた方の歯が欠けちゃった! ……ではなく、ファプタを包むヌメヌメが獣の牙を喰っちゃ

メイドインアビス第2期 第4話の度し難感想 ファプタ登場ぞす

前回  第3話ラストシーンからの続き。謎の少女「ファプタ」に押し倒されてしまうレグ。レグの喪われた記憶の中に、ファプタの残像が浮かぶぞす……。どうやらレグはこのファプタと呼ばれる少女を知っているらしいぞす……。  振り向くと、成れ果て村の住人達が押し寄せようとしている。そうか、あのロボットは住人達を牽制するために撃ったのか。しかし住人達は撃たれる恐怖をものともせず、迫ろうとしている。ファプタは「王女」と呼ばれているけれど、村人達は「臣下」ではないようだ。  一方のナナチ

2022年春アニメ感想 阿波連さんははかれない

 水あさと原作による『阿波連さんははかれない』は「少年ジャンプ+」にて連載している作品である。水あさと作品といえば2014年に『デンキ街の本屋さん』がアニメ化され、私としてもpixivを中心にお馴染んでいる作家である。『阿波連さんははかれない』が始まったごく初期の頃も、pixivに一部掲載されていて、そこで作品を読んでいた。水あさとは代えがたい感性の持ち主ではあるが、しかしその才能はニッチなパロディに向けられ、なかなかオリジナリティある作品で能力が発揮されることは少なかった。

2022年冬期アニメ感想 鬼滅の刃 遊郭編

 『鬼滅の刃 無限列車編』にて日本映画史上に残る興行収入400億円をド派手に達成し、その興奮も冷めないうちに新シリーズがテレビ放送される。今や「現在進行中の伝説」となっている『鬼滅の刃』。その放送はやはり凄まじいもので、放送される度にTwitterトレンドワードに上がってくるし、『鬼滅の刃』関連ニュースはド派手に毎回大盛り上がり。やはり注目度が高いゆえに「メディアの玩具」にされがちだった……という側面もあったが、それはさておき、いま国内最強コンテンツは間違いなくこの作品。

2022年冬期アニメ感想 進撃の巨人 ファイナルシーズン

!ネタバレ注意!  『進撃の巨人』の原作が始まったのが2009年。原作が発表された時点で『進撃の巨人』は話題作だったし大ヒット作だった。それが完結したのは2021年。およそ12年に及ぶ長い旅路であった。  アニメ版『進撃の巨人』は2013年から。原作はあまり絵が上手いとはいえなかったが、一流のアニメーター達の手によって、原作者が本来めざしていたであろう美麗な画に刷新され、このアニメシリーズは原作と並んで当時のアニメ愛好者たち話題の作品に育っていった。  昨今はアニメ化しても

2022年冬期アニメ感想 明日ちゃんのセーラー服【原作版】

 実は「アニメ化」の情報が出た時から放送日を心待ちにし、珍しく原作本を買い(残念ながら貧乏なため、3巻までしか買えなかった)、しっかり熟読した上でアニメ視聴に臨んだ作品だった。  なぜ私がこの作品に心惹かれたのか――それは主人公の女の子がセーラー服を着ていたから。ただ単にセーラー服を着ていた……というだけではなく、セーラー服の描写が正確だったから。最初はネットで絵を1枚発見した、というところから始まったのだが、ザッと勢いのある線を走らせたような絵なのに、セーラー服特有の皺の流

映画感想 鬼滅の刃は語りづらい

 『鬼滅の刃』テレビシリーズの特別編集版が地上波放送!!  というわけで、全部録画しましたとも! すべてCMカットしてからまとめて視聴! CMなどという余計なものはいらん! あんなものがあるから集中力をなくすのだ!  CMカットしてから視聴……と一見すると一手間のような気がするけど、レグザはCMのだいたいの位置をチャプター分けしてくれている。本当はもっと正確にCM位置を把握してチャプター分けできるはずなのだけど、それができないのは「大人の都合」。あらかじめだいたいの位置でチャ

読書感想文 エロマンガ・スタディーズ/永山薫

 エロ漫画の歴史はどこから始まったのか。誰から始まったのか。そのミームを遡っていけば江戸期の春画文化まで辿ることができるだろうし、さらにその以前の文化を探ろうとすると出てくるはずだ。だが、“現代エロ漫画におけるゲノムキング”というくくりで見ると、あの巨匠の名前を挙げなければならない。  手塚治虫だ。  漫画文化のなにもかもが手塚が最初だった……という神格化をするつもりはない。だが、エロに関して言えば、手塚治虫が巨大なノード(結節点)であることは間違いない。  手塚治虫の実

読書感想文 漫画の歴史/清水勲

 漫画の御先祖は「鳥獣人物戯画」である。平安後期から鎌倉前期半ば(12~13世紀?)頃に描かれた作品だ。この認識は現代日本人のみの話ではなく、江戸時代の人々の中にもあった。その作者である「鳥羽僧正」の名前を取って、戯画スタイルの絵のことを「鳥羽絵(とばえ)」と呼んだ。「漫画」という名前が登場してくるのは、もっと後の話である。  この「鳥羽絵」が歴史のなかで最初に登場するのは、大坂であった。林縫之助編『浮世絵年表』(大正9・1920年)によると、宝永7年(1710年)頃、京都

読書感想文 日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由/津堅信之

日本のアニメはいつ「アニメ」になったのか?  1963年1月1日、日本で最初の本格的テレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』が放送される。当時、すでに不動の人気漫画家として君臨していた手塚治虫が、自らアニメスタジオを設立し、生み出された作品であった。  『鉄腕アトム』は日本で最初のアニメシリーズというだけでも記念碑的な作品だったが、他にも重要のポイントがある。それは毎週火曜日18時15分から45分までの30分枠で放送されたことである。ここから「毎週1回、1話30分、連続放映」という

読書感想文 マンガ世界戦略/夏目房之助

 欧米の日本のイメージは、かつて「フジヤマ、ゲイシャ、ウタマロ」だった。19世紀以来の東洋趣味的な誤解が、戦後「トヨタ、ホンダ、ソニー」へと移り変わっていく。しかし欧米の人々の頭にはいまだに「フジヤマ、ゲイシャ」があり、その上にいきなりハイテク機器のイメージが出てきてしまう。すると混乱が生じる。日本のような伝統や仕来りを大切にする文化の上に、どうしていきなり現代のようなハイテク機器が生まれたのか、イメージができない。  80年代バブルの頃、日本は世界中を旅行し、西洋文化のも

読書感想文 荒木飛呂彦の漫画術/荒木飛呂彦

 漫画には「王道」すなわち「黄金の道」がある! それは荒木飛呂彦が漫画を描いていった中で発見していったものだが、しかし実は、その以前から、ずっと昔から創作の世界に「黄金の道」は存在していた!  漫画を描くのであれば、漫画の王道を知り、その「黄金の道」を歩もうという意識を持つべきである! なぜならその黄金の道を発見しない限り、漫画を描いて生きていくなんて、とてもじゃないができないからだ!  「黄金の道」は迷ったときに見るような地図のようなものかも知れない。未知の山を登るとき、人