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小笠原の公園施設管理はいろいろある!今回はアオウミガメ救助を紹介します

 都レンジャーの業務の一つに公園施設の管理があります。父島母島において東京都が管理している公園施設は園地歩道を含めて18か所です。日々、巡視をしながら点検や補修といった作業が多いのですが、この時期はウミガメの救助連絡がたまに来ることがあります。

今回は、ウミガメの調査や研究をしている小笠原海洋センターが島民の方から「アオウミガメが木の根に絡まって動けなくなっている」と通報を受けたことがはじまりです。アオウミガメがいる場所はジョンビーチという東京都が管理する父島海岸線歩道の終点のビーチでしたので、小笠原海洋センターから都レンジャーにも連絡が来ました。

ウミガメは乾燥に弱いため、救助する場合は早急に向かわなければなりません。連絡を受けた時点でお昼を過ぎていたため、小笠原海洋センターの船でジョンビーチへ駆けつけました。

ジョンビーチは父島の中でも町から離れたビーチです。今回は船で行き、泳いで上陸しました。
テリハボクの根に絡まっていました

アオウミガメはまだ生きていました!日陰にいたことで直射日光を防げたようです。さっそく救助開始です!アオウミガメの成体は大きいものだと体重が100kgを超えるため、動けるならば自力歩行で海に戻ってもらうことが最善の方法です。アオウミガメに絡まった根を切る人、動き出すアオウミガメを誘導する人と役割分担をしてミッション開始です。

木の根を手ノコで切っているところ
動き出したアオウミガメを海へ誘導する海洋センターの職員
救出したアオウミガメに個体標識のタグを装着している様子です。バケツはアオウミガメが乾燥しないように水をかけています。いじめているわけではありませんよ!
同じ場所に再びウミガメが産卵に来て甲羅がはまってしまう場合があるため、根をカットしてスペースを確保しました

試行錯誤を繰り返し、なんとかウミガメを海まで誘導することができました。小笠原諸島は日本で最大のアオウミガメの繁殖海域です。5月~9月頃までたくさんのアオウミガメのメスが産卵のために陸に上がります。陸の移動が得意ではないウミガメは窪地や隙間にはまったり、道路にまで上がってくることも少なくありません。そのような場合は、小笠原海洋センターはじめ、島民の方々など様々な人が関わって救助を行っています。

無事にアオウミガメは海にたどり着きました

海に戻った後も、しばらく波打ち際にいました。まだ産卵していないだろうと海洋センターの方は言っていたため、今夜再び産卵のために上陸してくるかもしれません。次は無事に産卵できることを願いながら私たちはジョンビーチを後にしました。

小笠原諸島では人だけでなくウミガメなど様々な生きものが公園施設を利用しています。今後も利用者の方が気持ちよく利用できるように、都レンジャーたちも公園管理を頑張っていきます。