鉄風 天賦の資質VS努力の才能
小さい頃から、わたしは他人より恵まれていた。「とわちゃんはいいな」「とわちゃんと人生交換したい」「とわちゃんのような生活、不幸なんてなさそうだよね」そんな風に言われたことは1度や2度ではないし、わたしの幸せの大半がわたしの実力とは無関係のものから成立していることは、わたし自身がよく知っている。
それでも、わざわざ面と向かってこれらのセリフを投げつけられるたびに、「うるさい」と思ってしまうわたしがいる。「あなたの不幸とわたしの幸福には何の関係もないでしょう」と言い放ちたくなる。そんなわたしの負の部分にこの漫画はよく効いた。
あらすじ
石堂夏央は退屈していた。生まれながらにして、運動神経が良かった夏央は、努力をすることに飢えていた。そんな時、夏央は努力の天才馬渡ゆず子と出会う。楽しそうに努力を続けるゆず子の姿を見て、夏央は決意する。
「私は充実している人間を許さない!!」
感想
主人公石堂夏央の魅力が大爆発した作品だった。ただ夏央の性格が悪いだけでなく、夏央がこの信念を抱くに至った背景までしっかり見えてくるのが最高。ただ生きているだけなのに、一方的に羨まれて石を投げられ、疎外感を味わっている。屈折した性格の夏央が、周囲の圧力に鈍感でキラキラと何かに打ち込めるゆず子たちに憎悪を抱く。その複雑な感情と行動がわかってしまうからこそ、とてつもなく面白かった。
もちろん格闘漫画としても素敵作品だ。格闘シーンで画力を格段にあげてくるために、スピードを感じさせてくるのが凄まじく、技の応酬を眺めているだけで、大満足でした。
漫画『鉄風』全8巻と短いので、気軽におすすめとして投げていきたいです。勧めてくれた人ありがとうです
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