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読書日記『湖底のまつり』

 久々に泡坂妻夫を読んだ。なんというか...…こう...…身も蓋もない感想を述べると、泡坂妻夫作品ってエロかったなあ......

 舞台はダム近くの山間の村。傷ついた心を癒すために村を訪れた香島紀子。増水した川の流れに呑まれそうになった紀子は間一髪のところを埴田晃二に救われ、一夜の逢瀬を重ねる。しかし、次の日、紀子は埴田晃二という人物がもう一ヶ月前に変死していたことを知る。自らを晃二と名乗った人物は一体誰なのか。そして変死事件の真相とは。

 章ごとに視点人物を変えつつ、摩訶不思議な現象の真相に至っていくさまはミステリとしても面白く、また作品に散りばめられた情愛な話がとてもエロチックなのに下世話感ないのがいいよね。わたしは泡坂作品だと、実はヨキ•ガンジーシリーズが一番好き(偏愛気味)で、そっちではミステリやアダルティな感じも勿論ありつつ、それ以上の『本という情報媒体で遊び尽くしてやるぜ、いえいいえい!』みたいな感じが最の高なのだけど、真面目な作品もやっぱまともに面白いわーなどと再確認。世にも奇妙な物語みたいな謎による惹きつけが大好物なこともあり、満足の一冊でした。

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