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BFC 5『庭には』評

挨拶

 こんにちは、白髪くくること千早とわです。BFC というお祭りのジャッジになってます。そこで出てきた鳴骸さんの『庭には』がとても良かったので、担当ブロック外ですが点数付けの際に勝手に書いたジャッジ文を置いておきます。元作品読んでない方は、これ読む前に『庭には』読んでくださいな。

ジャッジ文

『庭には』5点★
 『庭には』からはじまる描写、そこに含まれている要素がこの世界を支配しています。後半、鰐が頭打ちになってから箱が出てきますが、これは『庭には池があり、鯉が一匹泳いでいる』もしくは、原稿三枚目の左側『がんばったので庭には四匹の鰐がいる』からはじまる描写に箱が一つあるからでしょう。後者にはニットベストも一つあります。
 その後、私の話(鯉かと思ったら一匹の鰐だった)を通じて鯉の存在が危うくなり、最終的に文章が『庭には池がある』へと置き換わります。この文章に箱はなく、鰐が一匹、がんばれば二匹います。最後、一匹の鰐と対峙した私も、がんばれば鰐になってしまったのでしょうか。
 『がんばれば』で鰐を増やしていく前半の愉快さ、後半の展開の背後に確固たる論理が通っていると気づいた時の衝撃、共に最高でした。
 重要なのは『庭には』文なので、現実世界の常識は容易く無視する様にも脳を揺さぶられます。私は時間軸を飛び越えて警察二人と会話できますし、種族差を超えて鰐とも喋れます。空間を飛び越えてミニチュアの椅子に座ることもできます。この自由さが素晴らしいです。
 本作品を読めて嬉しいです。勝ち抜けに選びます。

※『ジャッジをジャッジ』の考慮外に置いておいてください。

 本戦中「この作品の評を書かせて」と歯がみしてました。今回のBFC5、本作をはじめとして読んで楽しい作品に溢れていたので、まだ作品読めてない人は今からでも追ってくれると嬉しいです!

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