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シンデレラ、殺人事件の謎を解く 読書日記

 多くの人が子供の頃、一度は聞いたことがあるだろう童話『シンデレラ』
 継母と義姉たちにいじめられながら育ったシンデレラは、妖精の魔法使いの助けを借りて、綺麗なドレスを着てガラスの靴を履き、カボチャの馬車に乗ってお城の舞踏会に出席します。そこで王子様に見染められたシンデレラでしたが、魔法が解ける12時までに帰らなければならないという約束を果たすため、ガラスの靴を忘れて帰ってしまうのでした....…

 御伽噺の古典にしてお手本のような作品ですが、本作のシンデレラは一味違います。継母たちのいびりならぬ案外普通の要求を一級の嫌味と屁理屈で跳ね返し、舞踏会に行く家族を見送って、おうち時間を一人で満喫します。
 しかし、ひょんなことから、ガラスの靴を履きカボチャの馬車に乗り、舞踏会に出席せざるを得なくなったシンデレラは、例によって例の如く舞踏会で王子様に見染められてしまうのです。12時の鐘がなる間際、王子様の自室を訪れたシンデレラ、そこで彼女が目撃したのは王子様の無惨な死体でした。
 王子殺害の疑いから裁判にかけられるシンデレラ、彼女は絶体絶命の状況を得意の屁理屈で切り抜けることができるのか!?

 シンデレラのキャラクターが最高で、話の流れも童話×逆転裁判といった趣きで読みやすく面白い!不可解な密室殺人に二転三転する事実、幾度も窮地に立たさせるシンデレラがどうにかこうにか切り抜けていく姿は、重さを感じさせないお話と相まって、読む手を加速させてくれますね!
 作者の紺野天龍さんは既刊の『錬金術師の密室』『錬金術師の消失』を読んだことはあり、これも錬金術というファンタジー世界とミステリをうまく融合させ、シリーズものとしても次が気になるわくわく作品なのですが、本作は一作完結でとっつきやすく、話も皆が知っている童話からはじまるので、紺野天龍入門編としてもぴったりだなと思いました!
 最新作の『神薙虚無 最後の事件』もつんでいるのでたのしみにしてます!
 では、ひさびさに本読みVっぽい記事を書いた千早とわでした!ばいばーい!

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