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ローカルマガジン「虎猫思想」のこと

虎猫思想?なんですか、それは?

noteでは初めましての「虎猫思想」。きっと、多くのひとが謎なことでしょう。そこで「虎猫思想」について、まずは紹介します。


「虎猫思想」(第一形態)が生まれるまで

虎猫思想がなんなのかという話をする前に、まず「しそう」について話をする必要があります。「しそう」といっても「思想」ではなく「宍粟」と書きます。

宍粟は、兵庫県の西、播州地域に位置するのどかな山間の市。兵庫県民にも謎エリアと言われるくらい、地味で目立たない、そして読みにくい。そんな宍粟市にわたしたちは2020年に引っ越してきました。地縁もなく、知人もいない、なんだったらこの年まで、どこにあるかはもちろん読み方すらわからなかった宍粟市に。

わたしたちの住む地域は、宍粟市の中でも北部にあります。市内の中心部からは車で30分ほど。岡山県と鳥取県との境にあるこの町に引っ越してきて以来、会うひとごとに「なんでわざわざ宍粟市なんかに」「どこがよかったの」と聞かれます。いまだに初めて会うひとには聞かれます。

そのたびに一生懸命説明するのですが、なかなか伝わりません。

そして次に言われるのが「こんななんにもないところに」。そうなんです、なにもないんです。でも、だからこそ素敵があるんです。

そう答えると多くのひとがキョトンとするのですが、すぐそばにあるものにはなかなか気づきにくいのは事実。それならば、よそ者の我々が素敵をすくいとって、そうして形にしようではないですか。そう思ったわけです。我々は、ちょうど「なにか」を形にするのが仕事ですしね。

ということでできあがったのが「虎猫思想」です。

小冊子というカタチを選んだ理由

当たり前すぎて気づかないけれど、たくさんの素敵なことやものがあることを、すぐそばにいる思いを持ったひとのこと。さて、どうやって伝えようか、とと考えた我々が、一番大切にしたかったのが情報にアクセスしてもらいやすいことでした。

最初からnoteで書くという方法をとることもできたと思います。実際、その当時から虎猫編集室のnoteアカウント(このアカウントとは別)は立ち上げてありましたし、編集室のインスタグラムやXもあります。
ですが考えれば考えるほど、この媒体は昔ながらのベタな手法で届けたい、と思うように。自分たちのビジネスであるクリエイティブの中でも、広報・プロモーションの王道として長くやってきた手法であり、そしてわたしたちは、長文での紙媒体が減っている時代であっても、やっぱり雑誌や冊子の魅力と可能性を信じている。何よりも年齢を問わず情報を積極的に取りにいくひとでなくても手に取りやすい。そんな理由から中綴じ16ページの小冊子という体裁になりました。
無料配布にした理由は、市役所や公共施設など、多くのひとの目にふれそうなところに置いてもらえるから。新たにこの市を選んでやってきたわたしたちのことを知っていただく、引っ越しにあたってのご挨拶のような気持ちでした。

虎猫思想 Vol.1〜6   この頃までは2−3カ月に一度の発行でした。

そしてそのまま、第一形態の虎猫思想は、Vol.9まで続きました。

「虎猫思想」、第二形態をめざす

2022年は、コロナ禍といういつもとは違う暮らしの中で、考える時間も制作する時間も十分に取ることができました。ところが2023年になり、日常が戻りつつある中で、次第に余裕がなくなりました。
「虎猫思想」をはじめた時に細々とでも10年は続けよう、と自分たちの中で決めていたこともあり、また少しずつ認知されるにつれ、応援してくださるひとも思いのほか増え、そのひとたちの期待に応えたいという気持ちもあり。ですが、とにかく時間がないので、納得できるものを作ろうとすると、どうしても間が空いてしまうようになりました。
さらには、紙媒体にこだわって続けていきたいと思うものの、印刷コストがじわじわと上がり続けていく中で、無料の小冊子というカタチを継続するのは難しいだろうとも思うようになりました。でも次の展開を考える時間的な余裕もないわたしたちは、そのままスタイルを変えずに続けてきました。

2024年になり、虎猫思想のあり方を見直したいという思いはいっそう強くなりました。ずいぶん前に気づいていて、それでも見ないふりをしてきた「でも、やらなきゃ」と思っている自分の気持ちの憂鬱さに、このままでは良くない、と思うようになったのです。

楽しみにしてくださっていることは喜ばしいことなのに、いつの間にか負担になっている。取り上げたい、ご紹介したいという欲は、引き続きあるのに、余裕がないことで、自分たちがベストと思える状態にまで昇華できていない。これは誰にとっても良くないこと。納期を間に合わせようと、辻褄を合わせようと、とりあえずを続けるよりも、今一度、なにをどうしたいのか、模索したほうがいい。 そんなところでしょうか。

Vol.10の取材はほぼ終えていたのですが、にもかかわらず、いったん延期、という道を選択したのは、この春のことです。

変わっていくことと変わらないこと

正直、もう少し早く答えを出したかったのですが、4月以降の虎猫編集室は息つく暇もないほどの忙しさで、第二形態をどうするかという議論は、いつもどこかで頓挫して、また棚上げすることが続きました。
ただ、どんな時も頭の片隅に「虎猫思想」第二形態は常にあって、仕事の合間にはさまざまな発信方法について考え、理想と思える手法をとっている方を訪ねることもありました。

そんな数カ月を経て、明確になったのは、私たちがつくりたいのは「B5サイズの16ページ小冊子」ではないということでした。大事なのは伝えたいことをどう表現していくかであって、重視すべきはコンテンツのクオリティや密度であって、体裁がいいとか、それっぽいとかそういう外面ではないのです。

いつの間にか、カタチをつくることにこだわってしまいすぎていたことを反省しつつ、みなさんの意見を聞くと、やっぱり紙媒体がいいなということもわかってきたので、WEBを活用するにしても紙媒体は残せるように、少し形態を変えることにしました。

現在、紙の魅力を活かして最大限にコスパ良く提供するため、誌面の見直しをしているところです。ですので、 次の「虎猫思想」の発行まではもう少し時間をかけようと思っています。
同時に小冊子という形ではなく、伝えたいことを届ける場としてnoteを活用することにしました。

Vol.9までの「虎猫思想」は、宍粟市内のひとやこと、ものに限定していましたが、これからは虎猫の思想、そう、わたしたち虎猫(虎猫編集室)がステキだと思うこと、伝えたいと思うこと、を厳選して伝えることに決めました。
とはいっても、宍粟市に定住して3年9カ月。この周辺で活動することが増えたので、宍粟市で出会ったひとやこと、もののことが多くなると思います。ただ、虎猫の活動範囲は広いので、虎猫が見てきた遠くのことやものも掲載する予定です。

これまでも、これからも、深く知りたいことを深く追求していくのが「虎猫思想」のあり方。これまでとカタチは変わるかと思いますが、これからもそれは変わりません。

Vol.10からは紙媒体と並行してnoteにコンテンツをアップしていく予定です。
Vol.10の発行は9月22日を予定しています。
次の虎猫思想の発行までは。Vol.1から掲載してきたコンテンツを順次、転載していきます。よろしければ読んでいただけると、大変嬉しく思います。


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