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第19回東京蚤の市 つじあやのと君と僕

先週末の6/4(日)。前日まで続いていた雨が止んで、気持ちの良い晴れ間が広がる空の下。昭和記念公園で開催されていた東京蚤の市で、古道具やら古本やら古着やらに囲まれてのひととき。

そんな蚤の市の片隅にあるステージでつじあやのさんのライブがあるということで、ジブリ曲の『風になる』しか知らないのに30分前から待機。小4の息子と一緒に体育座りのまま、軽やかで伸びやかなウクレレの音色と歌声に酔いしれました。

つじあやのさんの歌声って音源で聴くと柔らかくて優しげな印象なのに、ライブで実際に聴くと柔らかさ以上に"強い"という印象。柔らかい表面の内側に強い芯があって真っ直ぐにこちらに届いてくる。

1曲目の『クローバー』と2曲目に山下達郎の『パレード』のカバーを経て、3曲目に、昨年出されたアルバム『HELLO WOMAN』収録の『明日きっと』という曲。

「一番最後にできた曲で、つじあやのらしい曲だと自分でも思います。最後の最後に自分の素が出たなと。」

と本人をして言わしめる特別な一曲。

この曲に合わせて、私の隣にいた年長さんぐらいの女の子が、ちょっと大きくなったののかちゃんですか!?ぐらいの可愛さでこの曲を一緒に歌ってる…。

…。

何このピースフルの極みな状況…。

完璧か…!?

あと、親御さん、めちゃくちゃ良い教育していらっしゃいますな、って…。

これに続いたのがなんとフィッシュマンズのカバー曲『頼りない天使』。まぁなんて素晴らしい。

物悲しいような、でもどこかちょっと嬉しくもなるようなセンチな歌詞とメロディが堪らない。

間奏に差し掛かると、原曲ではコルネットで演奏される部分を口笛吹いて演奏するつじあやのさん。口笛うまい。そして、この口笛の音色が自分でもびっくりするぐらいに深い奥の方まで届いてきちゃって…。

この気持ちはなんだろう…?

って、一瞬意識が彷徨って、ふと行き当たったのがFUJI ROCK FESTIVAL'07のGREEN STAGEで観たスカパラだった。

ライブの中盤、キーボードの沖さんが1人でアコーディオンを弾きながら口笛で演奏していたインストゥルメンタル『君と僕』。

当時これを聴いて衝撃だった。

口笛だけど、これはひとつの楽器だなって。生身の人の身体から鳴らされる音色。ちょっとノスタルジックで、ちょっと切なくて、ちょっと儚い。

夏の苗場で、口笛の音色を聴きながら泣きそうになってた素敵な記憶と、つじあやのさんの口笛の音色がシンクロしたのでした。

ちなみにフィッシュマンズは、いまもスカパラでドラム兼ボーカルを担当してる茂木さんが在籍しているバンド。

もうスカパラは絶対につじあやのさんボーカル曲をやるべき。当然間奏は口笛を吹く曲を。

16年前の夏の苗場から、だんだんと昭和記念公園のステージに意識が戻ってくると、私も息子も知ってる『風になる』が流れていた。

君(息子)と僕とで並んで音楽を聴いている2023年の初夏も素敵じゃないか。

ラストはスパイダースのカバー『なんとなくなんとなく』を、コロナ明けライブってことで、観客もコーラスに巻き込み(ちゃんと練習も何回かやって)盛り上がって終了。

つじあやのさんの強さに、時空を超えて色々持ってかれた40分間でした。

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