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わたしが30代で突然“セキセイインコ・ラバー”になった理由

朝7:00。Oちゃんをカゴから出し、手に乗せ、香ばしいその匂いを嗅ぐことから、わたしの1日ははじまる。

Oちゃんはセキセイインコである。

セキセイインコを飼っているというと、同世代の友人知人は「子どもの頃に飼ってた」「懐かしい!」などと口々言い、一瞬胸が熱くなるようだが、一方で10歳以上も下の人たちは大抵、無反応。反応があっても、気を使って「わぁ、そうなんですね!」とか言ってくれている(気がする)。

昭和中期~後期、ペットとして一世を風靡したセキセイインコではあるが、実はわたし自身が出会ったのは、そのずぅーっと後のこと。10年前に友人のペット・トトちゃんを預かったことから、わたしのセキセイインコ・ラバー生活が始まった。

「3日ほど留守にするけど、水・餌をたんまり入れておいてやれば、放置しても大丈夫だからさ」

えーっ、マジで!?それって本当なの??ひとりぼっちでかわいそうじゃない?!?!・・・彼女の何気なく言ったその一言に、過剰に反応したわたし。それまで、まともに動物を飼ったことがなかったので、逆に3日も小鳥を放置して大丈夫なのか、想像すらできなかったのだ。

「それなら、わたしが預かるッ!」と鼻息荒く立候補してから、1週間後。友人に連れられ、トトちゃんが我が家にやってきた。ほとんど予備知識もなく、というか、もちろん友人から餌のやり方、彼との遊び方についてレクチャーは受けたのだが、実体験を通じて感じる驚き・喜びが想像以上にとても多かった。
その中でも、もっとも衝撃を受けたポイントは

体重が30g(つまりパスタ30本分)しかないのに、とても感情が豊かである

ことである。

それまでわたしは「小さな生き物は、ただ飯を食う・寝るなど、基本的な生理行動しかせず、そこに感情などない」と思い込んでいた。しかし、セキセイインコのトトちゃんは「何、今日めっちゃ機嫌いい?」という日があったり、「そこを触られるととたんに機嫌が悪くなるのね」という地雷があったり。
そして何より、それに日々振り回される体重55,000g(※当時)の自分に驚かされた。お別れの日の前日は、名残惜しさのあまり、21:00まで寝かせなかった(本当は18:00に就寝)どころか、キッチンの蛇口をひねり、水浴びまでさせてしまった。

あれから早10年。事情があってなかなかすぐには飼えなかったものの、4年前にようやく1羽のセキセイインコを迎え入れた。が、ほんの1年半で亡くなってしまった。すでに枯れ果て何も出ないと思っていた自分の目から、推定5リットル、4日分の涙が放出された。
現在は黄色のOちゃん、水色のUちゃんを飼っている。Oは手乗りになったが、Uは肩にしか乗ってくれない。Oは臆病だが、Uは気が強く好奇心も旺盛。Oは食いしん坊だが、Uは食に興味なし・・・・・・こうした個体差があるのも面白いが、一番興味深いのは、年下のUが、年上のO至上主義であること。常に、Oの後をUがストーカーのごとくついていく。これって幼い兄弟もそうだよね、と、その様子をいつもニヤニヤしながら眺めている。


ホント幸せ!

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