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1945年から今日まで、10人の「在日朝鮮人作家」の作品と人生、その歴史背景を、文芸評論家の林浩治さんにミニ評伝で紹介していただきます。
(本文の著作権は、著者にあります。ブログ…
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2023年1月の記事一覧
林浩治「在日朝鮮人作家列伝」04 鄭承博(チョン・スンバク)(その1)
鄭承博──差別を跳ね返し淡路島の文化人として生きた歴史の証人(その1)林浩治
鄭承博(チョンスンバク)は在日1世の作家だ。金石範とはほぼ同世代だが、京都大学卒の知識人で愛想のない金石範に比して、鄭承博は学歴は殆ど持たず、農業、旋盤工、鍛冶、電気通信技術、新聞配達などの仕事を経験し、料理も得意だった。営業スマイルで周囲を取り込み、戦前戦後には闇米や物資の調達販売なども行った。スナックのマスターと
林浩治「在日朝鮮人作家列伝」04 鄭承博(チョン・スンバク)(その2)
鄭承博──差別を跳ね返し淡路島の文化人として生きた歴史の証人(その2)林浩治
→(その1)からのつづき
2)植民地朝鮮に生まれて
鄭承博(チョン・スンバク)の出身地は、韓国慶尚北道安東郡臥龍面、朝鮮半島の中心を南北に流れる洛東江の上流に位置する山村だ。
家族は農業を中心とした自給自足に近い山村生活を送っていた。先祖である両班の清州鄭氏は儒学者の李退溪(イ・テェゲ)を招いて安東市陶山面土渓里に