見出し画像

「切り絵で世界旅」ゴンドラレース(ベネチア/イタリア)年に一度の歴史的レガッタレースに遭遇

 コピーライター業をやっていると、取材先で思わぬ幸運に恵まれることがある。福岡での取材のときだった。早朝取材だったので、前日泊でホテルに予約電話をした。ホテルスタッフ氏が言う。
 「先ほどキャンセルが出たところです。明日は祇園博多山笠の追い山で、どこも満席です。ラッキーでしたね」
 追い山は、早朝5時頃から8台の神輿が櫛田神社に集まり、ふんどし姿の男たちが神輿を担いで街中を駆け抜ける。何と予約できたホテルは、櫛田神社の近くだった。中洲の居酒屋で朝まで飲んで、そのまま祭り見学へ出かけたものだ。


 さて、ベネチアである。ゴンドラで大運河へ出た時、なっ、なんと、毎年9月第一週の日曜日に開催される歴史的なレガッタレースに出くわしたのだ。
 正式な名称「レガッタ・ストーリカ」の起源は15世紀末にさかのぼる。前半がコルテーオ・ストーリコ(=中世の装飾で船の海上パレード)で、後半がレガッタ。コースはサンマルコ広場前を出発し、カナル・グランデのリアルト橋下を通る。レガッタは12歳以下、14歳以下などジュニアや女性のレースもあれば、6人乗りレースもある。最後に一番盛り上がるのが、2人立ち漕ぎの高速用ゴンドラ9艇によるレースだ。私たちが出会ったのは、最後のレースの真っ最中だった。
 屈強な男2人が必死に漕いでいた。年に一度の最高に盛り上がるレースに偶然出会えるとは。私は持っている男かもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?