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「切り絵で世界旅」鎮波亭(ハノイ/ベトナム)あずま屋で中国将棋を楽しむ老人たち


真剣な眼差しで将棋盤を見つめる

 ハノイの旧市街地にあるホアンキエム湖には、玉山祠と亀の塔の2つの小島が浮かんでいる。赤い橋をわたってそのうちの一つ、玉山祠を見学し、近くをブラブラしていると鎮波亭と書かれたあずま屋が建っていた。そこで老人たちが囲碁のようなゲームをやっている。覗くと、丸い駒の上には「士」「馬」「兵」といった文字。どうやら将棋の類らしい。

 帰国後に調べてみると、このゲーム、シャンチーと呼ばれる中国やベトナムでの伝統的な将棋で、古代インドのチャトランガが起源らしい。各7種類16個の駒で競うが、日本の将棋と違って、相手から取った駒は使えない。だから勝負は30分ほどで着くらしい。それを考えれば、駒の種類も多く、取った駒を自分の駒として使える日本の将棋は、シャンチーの進化した形なのかも知れない。

 日本でもかつては夏の夜は近所のおじさんたちが縁台将棋を楽しんでいたものだ。アジア旅行の楽しみは、路上や広場が、遊びの場になっていることだ。何も囲碁センターなどに行かなくても、青空の下で無料で馴染みの仲間たちと時間を忘れて遊ぶことができる。懐かしくも羨ましい風景であった。

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