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「切り絵で世界旅」メコンデルタクルーズ(ミトー/ベトナム)手漕ぎ舟でジャングルの間をうねうねと

 最もベトナムらしい風景に出会いたくて、メコン川日帰りクルーズに参加した。クルーズの拠点の町、ミトーから島に渡るためにモーターボートに乗り込み、メコン川を進む。目の前に広がるのは、広大無辺に広がる蒼い空、さまざまな形で浮かび流れていく積乱雲、そして対岸ま2kmもある川幅に圧倒的な水量を湛え、椰子の葉や実、折れた茎などが流れていくメコン川だ。空と川の間には島の緑がかろうじて細長く横たわるばかりだった。

 この光景に最初ただ見とれ、やがてカメラのシャッターを何度も押した。雲の形が変わるので、何枚撮っても同じ風景はない。メコン川は熱帯的感動にどっぷりと浸してくれる。

狭い川で手漕ぎ舟がすれ違う

 ココナツ椰子の生い茂る島の支流では、川幅4、5mほどの間を手漕ぎ舟がうねうねと進んでいく。曲がりくねっているため、進むたびに現れる景色が変化するのも楽しい。途中、子どもたちが川で遊んでいたり、親子で川に潜って蟹を捕ったりしている。また、船に吊られたハンモックに寝ている人間も‥。嗚呼!とため息をつく。彼らは貧しいかもしれないが、とてつもなく豊穣の世界に暮らしているのではなかろうか。その幸せに嫉妬した。

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