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「切り絵で世界旅」ボルネオの市場(コタ・キナバル/マレーシア)太陽と市場があれば、国家はいらない

 どの国のどの都市に行こうが、時間が許せば必ず行くのが市場である。街の活気は市場を見ればある程度わかる。魚、野菜、果物、香辛料、惣菜、菓子などの商品と店が息が詰まるほどひしめきあい、人々が肩をぶつけながら品定めをし、店の人とやり取りしている姿を見るのは楽しい。市場の中がカオスであるほど私は目眩を覚えるほど困惑しながらアドレナリンを噴出させていた。


 コタ・キナバルには、南シナ海に面した2階建ての大きなセントラル・マーケットがある他、フィッシュ・マーケットやフィリピン・マーケットなどもあり、ぶらぶらと見るだけでも退屈しない。戸外ではテント張りの屋台に魚を並べ、声を張り上げて客を呼び込んでいた。威勢がよくていい。

 確か、藤原新也が『メメント・モリ』の中で、「太陽と市場があれば、国家はいらない」というようなことを言っていたことを思い出し、「その通りだな」と一人で合点を打った。


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