建築家の住宅論を読む<6>~隈研吾の『10宅論』~
隈研吾は、国内外で数多くの話題作を手がける、今や名実ともに日本を代表する建築家のひとりです。
建築家の住宅論を読む<6>は、初版当時(1986年)32歳の若き日の隈研吾による『10宅論』(ちくま文庫、1990年)を読んでみます。
卓抜な日本住宅論にして、日本文化論
本作はユニークな日本住宅論であると同時に、鋭い現代日本文化論でもあり、30年以上たった現在もその有効性を失っていません。
本書のあとがきで著者本人は、「この本は一種のでっちあげであり、いわばフィク