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【高校情報1】デザインするための一連の進め方(学習10)教員研修用教材

◆◆はじめに◆◆

文部科学省:高等学校情報科「情報1」教員研修用教材  
第2章 コミュニケーションと情報デザイン
 学習10 デザインするための一連の進め方

高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編):文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416756.htm

冗長な部分を一部省略していますが、学習10の内容について特に追加・補正なく動画解説しています。

各手法はこれからの動画作成時にそれぞれ詳細解説する予定です。

◆◆動画解説◆◆


◆◆文字おこし◆◆

今日は、デザインするための一連の進め方について勉強していこう

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 デザインの対象を見つけるためには,身の回りにある情報伝達の仕組みについて,新たな視点から考える必要がある


ブレーンライティングについて説明するね。

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まず、 1 人に1 枚シートを配布する
そして、1 行目のマス目に5 分以内で3 つの意見,アイデアを記入する
時間が来たら左手のメンバーにシートを渡し,右手のメンバーからシートを受け取る
上の行のマス目に記入してある意見,アイデアを読んで,連想する意見,アイデアを5 分以内で3 つ記入する。このとき、連想するものがない場合,新たな意見,アイデアを記入する。
これを、自分が最初に書いたシートが戻ってくるまで繰り返す。
このとき、自由な発想から出すことを奨励し,他者の意見,アイデアの批判はしないようにすること。

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各種の発想法によりデザインの対象を見つけたら,そこにあるニーズについて情報を収集する。
このとき収集される情報には,大きく分けて,定量的な情報と,定性的な情報がある。
定量的な情報は,結果を数値で得られるため,量的な比較や検証をするのに向いている。
定性的な情報は,主に大きいとか小さいとか文字情報によって結果が得られるため,
新たな気付きを得たり,詳細な状況を探ったりするのに向いている。

定量的な情報を収集する手法の代表的なものにアンケート調査がある。
アンケート調査は,ニーズについての仮説を立てておき,その仮説を検証するための適切な質問を考えておく必要がある。

定性的な情報を収集する手法についてはインタビューがある。
インタビューには,個別に行うものと,グループに対して行うものとがある。
また,インタビューの内容も,あらかじめ質問を決めておく場合と,状況に応じて質問を変えていく場合とがある。

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その他に,情報を収集する手法としてフィールドワークがある。
これは,実際にデザインの対象となる場に行って,現地の様子を観察するやり方なんだ。
必要に応じて,現地でアンケート調査やインタビューを行えるため,より多面的な情報が手に入るけど,観察者の力量によって情報の質が変わってしまう場合もある。

ニーズについての情報が収集できたら,そのニーズに基づいて問題を解決できるように,デザインの要件を定義する。
デザインの要件を定義する上での重要なポイントは,「何をすれば問題が解決されるのか」である。
それを探るために,ペルソナ手法やシナリオ手法などがある。

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ペルソナは人物像のことなんだ。
だから、ペルソナ手法は,デザインされた情報の利用者の人物像(ペルソナ)を設定し,その人物に向けて,何が必要かを検討していくことで要件を定義する手法なんだ。
ペルソナを設定する際には,年齢,性別,職業,家族構成,趣味,スキルといった人物の基本的な情報だけでなく,
利用者の会社,学校,社会での役割(ユーザロール)や,利用者がどのようなことを達成したいのか(ユーザゴール),利用者の好みなども具体的に設定していく。

ペルソナの設定にあたっては,ニーズを探るために収集した情報を活用し,必要であれば,追加で情報を収集する。

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シナリオ手法は,デザインしたものが利用される場面を具体的に想定して,要件を定義する手法である。
 シナリオ手法の一種として,「構造化シナリオ法」がよく用いられる。これは,デザインされたものについて,
利用者にどのような価値をもたらすのかを記述した「バリューシナリオ」,利用者の活動の様子について記述した
「アクティビティシナリオ」,利用者の具体的な行動や操作について記述した「インタラクションシナリオ」の3つのシナリオから構成される。

教育委員会のWeb サイトのデザインを検討する際に,各校のカリキュラムで検索する機能を組み込むかを要件として定義するか検討する場合の例でみていこう。

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要件の定義ができたら,まずプロトタイプを作成してみる。プロトタイプは完成品の原型ではなく,あくまでデザインを検討していく過程で作成されるものなんだ。
そのため,デザインの可能性を追求するためには,完成品に近い1 個のプロトタイプを,時間をかけて作成するのではなく,簡単に作成できるものを多数作成する。
プロトタイプの作成にあたっては,できるだけ扱いが簡単なツールを使って作成するほうが良い
ポスターなどの印刷物であれば,グラフィックソフトで作成する前に,手書きでラフスケッチを描いてデザインを検討する。
 Web ページやアプリケーションのユーザインタフェースの検討であれば,ペーパープロトタイピングという手法が用いられる。これは,画面のレイアウトなどの見た目のデザインだけでなく,利用者の操作による画面遷移の様子も紙の上に再現し,利用者の操作を誘導するデザインが適切であるかを確認する手法なんだ。

 ペーパープロトタイピングは紙とペンだけでプロトタイプが作成できるから,非常に簡単に導入できる。
ただし,利用者の操作による画面遷移を再現するには,紙の差し替えなどを行うため,実際の操作感をイメージし難いところがある。
最近では,ペーパープロトタイピングで描いた画面レイアウトを取り込んで,画面遷移の様子は情報端末上で再現するようなプロトタイピングツールも利用されている。
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(5)評価,検証する

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 情報デザインの評価は,「利用者の視点で情報伝達の問題が解決されているか」がポイントになる。
評価に利用者の視点を組み込むには,作成途中でも,利用者に実際に見てもらったり,使ってもらったりして,評価を受ける手法がとられる。
 手軽に実施できる手法はインタビューやアンケートだが,評価を受ける側が,事前に想定できる問題についての質問を用意することになるため,新たな知見が得難いことがある。
インタビューの場合は,「一問一答式のクローズドクエスチョンではなく,回答者が多様な回答ができるオープンクエスチョンで行う」,アンケートの場合は,「自由意見に記入された内容に注目する」といった工夫をして,新たな知見が得られるようにする。

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つぎに改善と運用について。
デザインに対する評価を行うことで,はじめの目的であった,問題をどの程度解決できているかを確認することができる。
また,新たな問題が明らかになる場合もある。これらを改善点として整理し,次のデザイン案を考えていくという作業を繰り返すことで,最終的な問題の解決に至る。

ただ,評価によって明らかになった改善点を,一度に全て解決することは,現実的には不可能なことも多い。
最終的な問題の解決に向けて,どの程度の支障になるのかで,改善点の重要度をランク付けしたりする。
Web ページやアプリケーションといったインタラクティブなメディアのデザインであれば,どのくらいの頻度で支障が発生するのかを計測したりすることで,どの改善点から手を付けていくかを考えていく。
また,技術的,コスト的な問題で,改善するのが難しいときは,代替の手段を用意したり,場合によっては,問題の解決そのものをあきらめたりすることもある。
そして、問題の解決ができているデザインが完成したら,利用者に向けた運用を開始する。
ただ,実際に運用してみてから分かる新たな問題が浮上することもあるため,運用開始後も適宜改善をしていくことが必要になる。

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作成したものは,アーカイブとして保存しておく必要がある。
これは,次に似たようなデザイン案件が出てきたときに,一連のデザインプロセスを効率よく進められるようにする目的もある。
アーカイブする際には,必要な時にすぐに取り出せるように工夫する必要がある。
例えば、ファイルにタグを付けて保存したり,案件ごとや時系列でディレクトリを分けたりして保存したりといった手段がある。


今話したのがデザインの一連の流れになるからしっかり押さえておこう。


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