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読書感想2023#10 「スマホ脳」

はじめに

暑さのせいか本を読むのも億劫で1ヶ月ぶりの読書感想となってしまいました。今年10冊目の読書感想は「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン著(新潮新書・2020年発行)です。多分読んだの5回目くらい。改めて読んで感想を書こうということで。

こちらは本国のスウェーデンでも大ベストセラーとなったそうですが、日本でもベストセラーとなり、2021年に最も売れた本となったそうです。

え?ほんと?この本がベストセラー??
だってスマホってやばいよね、依存性高いから気をつけて使わないとね、っていうのがこの本の言いたいことなのに、2023年現在、電車を見渡してもカフェを見渡しても、面白いくらい誰もがスマホを覗き込んでいます。ほんとにこの本読まれてるの?と突っ込みたくなる光景がそこらじゅうで見れますよね。それだけスマホの誘因力は半端じゃないということ。

私もこの本を読む前は私生活が荒れていたこともあり1日のスクリーンタイムは4、5時間でした。それがこの本を読み、大幅な時間を割いていたSNSアプリと写真(一度眺めだすと止まらない)のスクリーン制限をかけ、平均2時間まで削減することができました。しかし最近は少し増えて3時間。。また工夫が必要と感じ、最近は夜21時以降はスマホの電源をOFFるようにしてます。

スマホって電源落としてみると急に周囲の世界が見えだすから不思議です。夢中になってスクリーンを見ていて気づかなかったけど、窓の外にはこんなにキレイな三日月が登っていたんだ、、とかね。超強力ドーパミン製造機に
気を取られて美しいものをたくさん見逃してきたように思います。

要約

この本の要約は自分的に「スマホあんま見んなよ」の一言でいいんですが、もう少し長めにまとめてみたいと思います。

人類は99%の時間を狩猟採集民として過ごしてきた。現代においても、脳はその頃と変わっていない。スマホは脳の原動力とも言えるドーパミンを出させることで人間の脳のシステムをハッキングした。それにより多くの人がスマホ依存に陥り、うつなどの弊害をもたらしている。スマホ依存に対抗するには運動が効果的である。

こんな感じですかね。

抜粋

以下は私的に印象に残った箇所の抜粋です。

不安は大事な計画を立て、集中するのを助けてくれる。

この本

不安に苛まれると嫌な気分になるけど、人に行動を取らせるためのシステムなんだと思えば冷静に不安な気持ちと向き合えるかも。

〜脳は不確かな結果のほうに多くのドーパミン報酬を与える〜

この本

確実に報酬がもらえると分かっている時より、不確実な方がドーパミンの量は増えるのだそう。(2回に1回の割合が一番増えるらしい。)
これはマーケティングや恋愛などに活用できそうだと思った。例えば、セックスの誘いは2回に1回は断るようにするなど。(ちょっと違うかな。)

集中する先を切り替えた後、再び元の作業に100%集中できるまでには何分も時間がかかる

この本

マルチタスクをすると作業と作業の間の切り替え時間が何分もかかってしまうからすごく効率が悪いんですね。でも気が散っちゃうし、一つのことに集中し続けるって、好きなことならいいけどそうじゃないと大変なんだよな。

最後に

今回この本を読んで最も考えさせられたのが「人間は幸せな生き物ではない」という章です。危険がいっぱいの環境で暮らしてきた祖先たちにとって幸せを感じることは生き残る上で必要ではなかった。一瞬の快楽は、満足せず行動し続けるために、もっともっと、という欲求にすぐにとって変えられた。
だから世の中には「幸せになるための方法」みたいな本やネット記事がそこらじゅうに転がっているけど、人類の進化の歴史や脳科学の観点から言えばそんな方法はないのだと言えます。私はこれを読んでなんだかとても安心しました。SNSやテレビで見かけるキラキラした人たちも、幸せを装っているだけで誰しもが本来幸せにはなれないのだし、私もああなるべきだと焦燥感に駆られる必要もないのだと。スマホとは関係のないところで何か悟りのようなものを感じました。

そしてスマホが人間にどんな影響を与えているかについて書かれたこの本を何度も読み、その度にスマホ対抗策を取ってきました。それなのに、いつの間にかドーパミンプールに溺れいることに気がつき、それでも手からスマホを手放すことができない。そんなことがここ数年で何度もあります。
でもそんな自分をなんて誘惑に弱いんだと責めたりはしません。人間とはそういうものであり、スマホは人間が夢中になるように作られているのですから。これからも私は気づいたらスマホを眺めていると思います。
でも大丈夫、この本を常に傍に置いておけば「スマホ退散お守り」として、誘惑の力を弱めてくれるでしょう。

お読みいただきありがとうございました。


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