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ミュージカル作品紹介vol.2/キンキーブーツ

前回の終わりに「次は二人の魔女の物語」と予告をしていたのだが、一昨日見たタイムリーな作品なので先に「キンキーブーツ」を紹介させてもらいます。気まぐれでスミマセン。

以前取ったアンケートでも第5位にランクイン。ミュージカルファンなら間違いなく見て損は無い作品です。

2005年にイギリスで映画が公開され、2013年にミュージカル化。2013年のトニー賞で13部門にノミネート。作品賞、主演男優賞、オリジナル楽曲賞、振付賞、編曲賞、音響デザイン賞の6部門受賞。

〈ストーリー〉ノーサンプトンという田舎町の靴工場の息子、チャーリー。工場を継いでほしい父の気持ちとは裏腹に婚約者であるニコラとロンドンへ仕事に出てしまう。しかし父が亡くなったという訃報が入り、止む無く工場を継ぐことに。社長に就任するやいなや、多くの在庫を抱えていることを知り、チャーリーは今後の経営に悩む。友人へ相談に行った帰り、ドラッグクィーンであるローラに出会う。工場で働くローレンの言葉から、これまでの紳士用の靴では無くドラッグクィーンの靴を製造することを思いつく。ローラにもデザイナーとして協力を仰ぎ、工場の立て直しを始める。ミラノの見本市で成功するために奮闘するが、従業員との軋轢や偏見で上手く進まない。このミラノのショーは上手くいくのか…

来日版を3回、ニューヨークで1回、そして一昨日の日本版を1回の計5回観劇している本作品。魅力や特徴を以下に書いていきますが、せっかくなら本場と日本の比較とか感想も一緒に書けたらなぁと思ってます。

レッツゴー!

①シンディ・ローパーの楽曲

……この企画2回目にして思うんですけどミュージカルにおいて楽曲紹介しないこと無いよな…と……(笑)

はい、さておき。

「Girls Just Want To Have Fun」や「Time After Time」で有名なシンディ・ローパーが作詞・作曲を担当している。

シンディ・ローパーって誰?っていう世代がいるかもしれないので、分かりやすいところでいくとマイケル・ジャクソンを始めとする数々のスターによるチャリティソング「We Are The World」で黄色と赤の髪のめちゃくちゃ声高い女性です。(こちらも名曲なので検索してみてください)

彼女ならではのポップな音楽が聴いていてとてもウキウキ、ワクワクします。

お気に入りは……と言うのがとっても難しいほど好きな曲が多いので紹介したい曲を2つだけ厳選します。

♪Take What You Got
在庫を抱えて困っていたチャーリーがディスカウントの靴屋で働く古くからの友人ハリーに会いに行き、現状を打ち明けた後にハリーが歌う曲。

初演を観た時に転職を決めたんだかどうしようか迷っている時だったかで、チャーリーの
"Never knew what I wanted before
Now I'm even more unsure"
という歌詞にめちゃくちゃ共感して、そしてその後のハリーが放つ
"You can't move on if you're still in the past"

という歌詞が自分に突き刺さり、号泣。
このシーンで泣く人たぶんあまりいないと思うんですけど、毎回泣いて、今はLINEのプロフィール音楽です。笑

過去ばっかり見ていては物事は何も進まないんだぞ、というメッセージが込められている曲なのでヘコんだり行動出来ない時に聴いてほしい曲です。

♪Just Be
どんな時に歌われる曲かは壮大なネタバレになってしまうので説明できないのですが、とってもポジティブな曲で大切なことを伝えてくれる曲でもあります。

歌詞の中で人生で大切なこと(幸せになるための)6箇条のようなものがあって、これが大好きなんです。

One: Pursue the truth
Two: Learn something new
Three: Accept yourself and you’ll accept others too!
Four: Let love shine
Five: Let pride be your guide
Six: Change the world when you change your mind!

それぞれを誰が言っているのかってのも舞台で確かめてみてほしいです。思い入れが異なってくるので!

②ローラの存在

ストーリーでさらっと紹介してしまったけれど、この作品において彼女(性別は男だし性自認も男だけど、敢えて彼女と呼びます)の存在はとてもとても重要になります。

セクマイコンテンツあるあるだと思っているけれど「自分らしく」とは何かってのが大きなテーマとして扱われていて、彼女を見ているとそれを考えさせられます。

けれど決して暗ーーいものではなく、彼女の天真爛漫さにすごく救われる。

来日版の3回とニューヨークでの1回はJ Harrison Gheeさん、日本版では三浦春馬さんで観劇。

三浦春馬さん、もちろん良かった。もちろん。けれど私の求めるローラ像にはどうしても辿り着かなかった。良かったんだけどね。

ローラはカッコ良く、強く、美しく、そして崇高。

「Hold Me in Your Heart」で観るものを魅了する力強く想いのこもった歌声。初めてこの作品を観た時、時が止まったかと思った。我を忘れて拍手してた。周りの皆さんも同じでショーストップも起きた。流石に日本版ではそこまでが起きなかった。上手だったんだけど、日本人がドラッグクィーン演じる時の限界というか、何というか、、。上手だったんだけどね!!!

とにかく、ローラは私にとって大きな勇気を与えてくれる存在であり、自分が自分らしくいて良いんだと認めさせてくれる存在。


ということで項目に分けての説明は以上。

けどせっかくなので日本版の感想を書いておきます。

まずこれは言っても仕方ないことだと分かりつつも首を傾げてしまったのは、日本語訳のカッコ悪さ。語感がとにかく悪い。

"The most beautiful thing in the world"が「いちーばんすてーきなもーの」になっていて、1曲目からこれはヤバイかもしれないと思いました。。

最も「(嘘でしょ……)」となったのは"What a man"という歌詞を何度も繰り返すところが「男」とだけ訳されていたこと。本当は「男とは」とか「男ってやつは」って意味だと思うんだけど、それが「男」とだけ。流石にこれは帰り道の会話で話題になるくらいアカンカッタ……

演技に関しては皆さんとても良かったです。特に小池徹平さんの怒り、焦りの感情の爆発が素晴らしかった。長台詞も飽きさせずに起伏を持って発していて、思わず感情移入。ソニンさんも本当に振り幅のある女優さん。コミカルな役も真面目な役もこなすスーパーウーマン。流石です。三浦春馬さんも難しい役どころを演じ切っていて素晴らしかったです。

ちなみに余談だけど、一昨日見終わった後真っ先に思ったことは「ロッキーホラーショーまたやんないかな」ということでした。(小池徹平さんとソニンさんが出てるので)

エンジェルスはもっと個性出して良かったのにな〜なんて。ブロードウェイで観た時にそれぞれの性格が演技だけじゃなくてダンスにも表現されていてとても良かったのです。日本版も皆さん美しかったけれどもね!

あとこれは反省も含めてミュージカルファンに考えてほしいことだなぁと思ってしまったんだけど、曲中の手拍子について。

今回、①Land of Lola②Sex Is In The Heel③Everybody Say Yeah④Raise You Up/Just Beの計4曲(5曲って言った方が良い?)で曲の始めから手拍子があったんだけど、いかんせん歌詞が聴こえない。

手拍子したくなる気持ちは分かるし、手拍子で役者たちを気持ち良くさせるのも分かるんだけど、初見の人一切無視だよねこの手法。

私は複数回観ていたから大体何言ってるか分かるけれど、でも本当はあの英語が日本語で何て表現されているのかってのを聴きたかった。

明らかに三浦春馬さんと小池徹平さんファンで溢れていて、何て言うか……黄色い声援?みたいなのも飛び交っていて異様だった。

正直私もキャッツのスキンブルシャンクスの曲の時とかガンガン手拍子する人だから、手拍子する人達の気持ちも分かる。からこそ、メリハリ付けなきゃいけないなと思った。

歌詞のところはなるべく小さめに拍手、繰り返しの歌詞になったら少し大きく、ダンスシーンは思い切り拍手。みんなが気持ち良く観れないとせっかくの観劇が台無しになるよなって改めて思いました。

Sex Is In The Heelのローラ+エンジェルスのモデル歩きからのポーズのところとか、「静」の時間を観客が作るからこそ引き立つと思うんだよなぁ。正解は無いのはわかりつつ。。

そう言えば皆さん歌も上手でした。YouTubeの映像しか観てなかったけど、小池徹平さん以前より断然歌が上手になってる印象でした。ソニンさんは年齢感じさせないから本当にすごい。。ドンはもう少し最後の高音ハッキリ出たらもっと素敵だったなぁとちょっと辛口。ドン好きなんですよわたし。。

あとチャーリー役のアダム・カプランの「Soul of a Man」は最高オブ最高なので聞いてみてほしいです。彼のことが好きすぎて、キンキーブーツだけでなく彼が参加すると決まったニューイヤーミュージカルコンサートは毎回行ってます。。

……とここまで書いてキンキーブーツの魅力を伝えられたかと言うと怪しいけれど、私のこの作品に対する熱量は伝わったのではないでしょうか。

カテコで三浦春馬さんと小池徹平さんが「ピピンも見てね〜!!」って言ってたのは笑いました(笑)城田優さんと仲良しですもんね(笑)

ちなみにピピンももちろん(?)観に行くので、来月もしかしたらそっちの紹介を先に書いてしまうかもしれません。

二人の魔女の物語、いつ紹介できるかしら………

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