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朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足。さて、これは何?

子供の頃に聞いた「なぞなぞ」だ。答えは人間。
生まれた時は手をついて歩くから4本。そして2本足で歩くようになり、老いて杖をつき3本足で歩く。
調べると元はギリシャ神話らしい。スフィンクスが出す問題が上記の「なぞなぞ」で、その問いにオイディプス王が答えを解いた。

母に買った「手押し車」を母も兄も使うことがなかったので「杖にすれば良かったかな」と実家の帰りに考えていた時に、その「なぞなぞ」をふと思い出した。

先日、スーパーに買い物へ出かけた時に年配の女性の方が、ビニールでパウチされたチーズケーキを手に取り、裏の成分表示やらが書かれているシールを確認していた。目が悪いのだろうか? 商品を顔の眼の前に近づけて確認をしている。確認をする時間の長さから、おそらく賞味期限を確認しているのだろうと推測したが、それをずっと繰り返している。奥の方の品物を取り出し何かを確認してから、商品を手前に置き、また奥に手を伸ばして別の商品を取り確認をする。それをずっと……。
同じ商品でも手前と奥の奥にある物は日付が違うことはよくあるが、奥にある商品は、ほぼ同じ賞味期限だろうと思うのだが、彼女はずっと何かを確認していた。今の御時世、他人が手を触れた物は……と思うと同時に「この人は何に囚われているのだろう?」と疑問に思った。

それからマヨネーズが欲しくて調味料やらが並ぶコーナーを覗くと、こちらでは初老の男性がソースを手に取り、裏の成分表示を見ていた。見ている時間からして、こちらは賞味期限を確認しているのではなく、成分表示を見ているのではないか? と推測。手に取ってずっと裏面を読んでいた。
「この人は今更、ソースの成分が知りたいのか? 囚われているのは健康なのか? 体に良くない成分が入っていないかを確認しているのだろうか?」

何かに囚われてしまうと周りが見えなくなるのだろうか。物に囚われ何も捨てられなくなった父を思い出した。

ギリシャ神話、ライオス王は「自分の子供に殺される」との予言を受け、生まれた子を追放する。その子供は他の国の王に拾われ「オイディプス」と名付けられ育てられるが、やがて「お前は、実の父を殺し、実の母との間に子供をもうける」との予言を受ける。オイディプスは育ての親が実の親だと思っているので「自分が父を殺すことになる」と思い、自ら国を離れ旅に出てしまう。道中、実の父親ライオス王とは知らずに一人の老人を殺してしまう。そして本来の国に戻ったオイディプスは、これまた実の母とは知らず亡きライオス王の妻と結婚をしてしまうのだ。
次の予言は「ライオス王を殺した犯人を追放しろ」ライオス王を殺したのは自分だという事を知らないオイディプスは真相を探る。真相に囚われ退くことをせず、父に捨てられ、自らの手でその父を殺し、実の母との間に子をもうけたという、変えられなかった呪われた運命を知り、絶望をして自ら両目を潰す。

ここ最近、マイナスな思考に囚われている。ちょっと外に出かけて心を開放しよう。


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