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左様なら今晩は(乃木坂46)

観たいなーなんて思ってたけど、地方の劇場では公開されてなさっぽかった(もしかするとロケ地の尾道では公開されてたかもしれんけど)久保ちゃん主演の「左様なら今晩は」がアマプラで配信されてると知って早速見てみました。

感想は「よかった」です。
ぜんぜん派手な映画じゃないし(上映時間も1時間40分くらいと短い)、いわゆるアイドル映画でもないし、それほど有名な俳優が出ているわけじゃないし、上映館数も少ないしでミニシアターで公開されがちな雰囲気な映画でした。

最近のちょっとおしゃれな作品にありがちな、タイトルはラストシーンのあとに出てきます。

で、よかったって何がよかったかって言えば、やっぱり久保ちゃんが良い。彼女のちょっとした仕草や、セリフの声の大きさとか強さとかの具合、ツンデレな態度の使い分けなど観てて彼女のステキさをたくさん感じ、さすが舞台で高く評価されただけあるなって思いました。

久保史緒里ちゃんてワシ的にはその時々で美少女に見えたりそうじゃなく見えたりするフシギなひとなんだけど、この映画で見せる彼女の表情や感情にはぐっと惹きつけられたし、それは乃木坂ファンじゃない、久保史緒里ってひとを知らないひとでもそう感じるんじゃないかな。

以下、ちょっとネタバレあり。

映画としてはいきなり幽霊が現れたのに、主人公男子のリアクションが薄すぎですぐに幽霊との同居を受け入れるとかちょっと理解しづらかったし、二人の関係性が深まってゆく様子はよくわかったんだけど、最初は触れようとしてもすり抜けてたのがある日突然直接触ることが出来るようになるとかどういう仕組なんだろうとかいう違和感もあったりしました。まあ最初幽霊が怒ってビンタしたときには当たってたから、感情が動くと触れるっていう設定なのかもしれないって納得したものの、それまで成仏できなかった彼女がなぜ「さよなら」を言うことになったのかってのがはっきりしないのに不満が残りました。もっともコミックの映画化だから、原作ではそのあたりがもっと丁寧に描かれているのかもしれません。

原作ではエッチなことをしたっていうエピソードがあるらしいから、そこら辺の変化については丁寧に描かれているんじゃないかな。

作品自体は「異種婚姻譚」的な、決して結ばれることがない恋を描いてちょっと泣けてくるラストなんだけど、全体的にはコミカルに描かれた映画で、主人公に迫る会社の同僚とか不動産屋の親父とか魅力的な登場人物が出てくるのがアクセントにはなってると思うんだけど、ちょっと違う感もあったりしましたね。

「決して結ばれることない恋」っていう意味では大林版、細田版の映画「時をかける少女」が思い出されました。ラストシーンから受ける印象は大林版「時かけ」に通じるものがあり、やっぱり映画では尾道を舞台にしたってのは大林宣彦監督の「尾道三部作」を意識してのことかもと思いました。コミカルな味付けは「転校生」っぽかったし。

特にこの映画のラストシーン(みんなで歌を歌うシーンではないですよ、もちろん)は、大林版「時かけ」ですね。

この映画のラストシーンは主人公が引っ越してから時間がたったあとの出来事で、それは主人公は久々に尾道を訪れ、あのときに二人で入れなかった映画館に初めて入ってみたということなんだろうけど、そこでたまたま近くの席に座ったひとが…、っていうシーンは設定は違うけど完全に大林版のオマージュでしょ。

そのシーンの主人公じゃない方の登場人物のビジュアルにはちょっと違和感も感じたけれども、それは大林版「時をかける少女」のラストでおとなになった芳山和子を演じる原田知世に感じたものと同じで、あえてそうしたのかもって妄想も広がります。

ということで、ちょっと唐突だったり説明不足だったり、ストーリーを前に進めるために無理やりな展開だと感じたりする部分もあったけれど、じんわりと泣けてくる切ない映画でした。

久保ちゃんの演技はステキです。セリフの方言もネイティブなワシにとってもなかなか上手いと感じたし。

この映画を観れば乃木坂ファンじゃなくても、久保ちゃんのことを知らなくても好きになるに違いない。

アマプラ会員の人は、見ましょう観ましょう。そうじゃない人もみましょうみましょう。

映画にも登場するシネマ尾道
映画の登場人物と同じような白いワンピースでニッコリ
かわいい

大林作品の聖地巡礼的なことはやったことあるけれど、今度はこの映画かな。

映画にも出てきた商店街のアーケード
こちらは「転校生」で和夫と和美が転がり落ちた神社の階段
こっちは大林版「時をかける少女」に出てくる階段
正面の建物が吾郎ちゃんの実家の醤油屋という設定の場所

上の写真の撮影場所は尾道市の隣の竹原市。映画では原田知世演じる芳山和子ら高校生の通学路として階段先の道路が使われてました。NHKドラマの「マッサン」の舞台にもなったところです。
映画では左側の建物が残っていたけど、この写真撮影時(2018年)には取り壊されてました。いまはどんな感じなんだろう

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