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現場で感じた違和感が新しいイノベーションへと発展する



新たな印刷プロセスを確立してSDGsを推進。環境配慮への止まらぬ取り組みが業界の持続可能性を強固なものへ


★今日は共創の時代・・・サスティナビリティ(56)

<錦明印刷株式会社>
 1916年(大正5年)に創業。1947年に設立され、東京都千代田区に本社を置く印刷会社。パンフレット、チラシ、カタログ、ポスター、冊子などの商業印刷、食品、飲料、医薬品、化粧品などの製品のパッケージ印刷、小ロットや個別対応のデジタル印刷、オンデマンド印刷、デザインに関するコンサルティングなどを主としている。資本金1億円、従業員数150名の老舗の中堅企業だ。

創業時の社屋の入り口のモニュメント


現社長はかねてよりオフセット印刷技術に違和感を感じていた。オフセット輪転機の乾燥工程では、大量のガスを使用して熱風を発生させインクを乾かす。この過程で大量の電力と熱が発生し、さらに暑くなった工場内をエアコンで冷やすのにも大量の電力を消費するという環境負荷に疑問を持っていた。
 環境に優しい乾燥方法を模索し、ハイパワーのランプでインクを乾かすアイデアを思いつき、アメリカのランプメーカーの協力を得て実現し、2015年には世界初のLED-UVランプによる乾燥がオフセット輪転機で実現した。

従来のオフセット輪転機に必要だったガスの使用量を100%削減。電力の消費量も40%削減し、CO2の排出を大きく抑制。また、UVインキを使用することでVOC(発揮性有機化合物)を100%削減。この乾燥工程の開発により、環境に配慮した次世代印刷機の開発に貢献し、同社の創業100周年を迎える2016年にドイツで開催された業界最大の印刷機器展で注目を集めた。

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★ さらに同社は、刷版工程での現像機で用いる現像液や洗浄用水の廃棄による環境への負荷を、現像機での処理を行わない無処理版を全工場に導入し、現像液や洗浄用水の廃棄を100%削減し、その取り組みはコダック社の『KODAK SONORA Plate Green Leaf Award』に選出された。他にも、低コストでリサイクル性にも優れている、環境に優しい新たな表面加工である水性ニスコーティングなども導入採用。同社の環境負荷軽減への取り組みは止まること無く徹底している。

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◆ 2021年に導入したCO2ニュートラル認証を受けた次世代型の印刷機にはAIによる自動運転技術が搭載されており、従来のような体力や熟練のスキルが必要なオペレーションが不要となり、同社の工場では人材の多様性も考慮して、高齢者のオペレーターや外国人技能実習生などのさまざまな人材を受け入れる環境を整えている。

❤ 印刷業界はデジタル化の進展や人口減少などの影響を受け、厳しい状況に置かれている。ただ展望として、デジタル印刷の普及により印刷のコストが削減されることでの新たな市場開拓。また、コスト削減や人材の育成による競争力強化。さらに、省エネ化による印刷業界の環境負荷低減の取り組みで、地球環境への約束を果たすことが期待されている。 同社の取り組みは業界の置かれた環境と展望に沿ったロードマップを突き進んでいるように見える。

でもそれは、経営者の”違和感と疑問”から始まったんだよね・・・その実行及び実現力に脱帽!
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時代の変化を捉え
これからの生き方を
考えてみよう!

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◎錦明印刷株式会社 コーポレートサイト
https://www.kinmei.co.jp/
◎CO2ニュートラル認証を受けた次世代型の印刷機を導入(動画)
https://youtu.be/S0ayO6QU0VQ
◎KODAK SONORA Plate Green Leaf Award
https://www.kodak.com/en/print/page/sonora-plate-green-leaf-award-winners

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