ドイツはサウナの先進国

昨日「富士サウナまつり」というイベントに参加してきた。会場はサウナ倶楽部という富士山近くにある施設だ。ドイツ式のサウナ・嗜み方を取り入れているらしい。

2022年3月7日にオープン。会員制、完全予約制でこういったイベントがないとサウナ好きであってもなかなか敷居が高い施設だ。

結論、ホスピタリティが高くものすごく良いイベントだった。満足度が高く、主催側のおもてなしの精神がふんだんに感じられた。BBQ、ビンゴ大会など含めまさにギブアンドギブ。

こちらが払った費用以上のものを返していただいて、マネタイズや利益云々ではなくコミュニティを醸成しようとして下さったんだと感じる。人が集まれる場を作れる人ってすごい。僕自身ももしイベントの開催をする機会があれば、この精神を取り入れたい。
#言うは易し行うは難し

やっぱり、どんなに良いサウナでも割高だったと感じた瞬間に次回の参加から足が遠のく。ただ、主催側にも取り分を設計しないと継続開催自体が苦しくなるので、相応の対価は払いたいと感じた。(この感覚も多くを与えてもらったから生まれた感情だと思う)

また開催されるならば是非とも参加したい。ホスピタリティというソフトウェアだけでなく、ハードウェア含めこのリピートしたい感覚はどこから生まれてくるのか、どのような設計や仕掛けがそこにあったのか、書きながら整理してみようと思う。

1.コミュニケーションのプラットフォームとしての機能

まず、サウナの主な価値を分解すると以下のような要素に分けられると考える。

・心身のリフレッシュ
・情報のアクセスからの解放
・家族や友人とのコミュニケーション

今回のイベントで主に設計されていた要素は「コミュニケーション」である。サウナに入ってるときにはスマホはいじれない。

つまり、目の前の人や自分自身に注意力のリソースをフルで投下できる。また、サウナという共通要素で篩にかけられているので、価値観も近い人が多い。

みんな笑顔で優しい。サウナを待ち合わせ場所にすると言い争いが生まれない平和な空間なのだ。

今回は3-4人ずつのグループに分かれ、4種類あるサウナを順番に堪能した。食事もそのグループで取り分け、「分かち合う」というテーマを設定してくれた。

「同じものや空間をシェアする」この設計が上手い。ここが主催側の設計の腕の見せ所であり、同じコンテンツでも設計や演出の仕方で受け取り方の振れ幅は大きくなる。

このテーマはおそらく現代人が求めている根源的欲求なんだろう。20年前より確実に共感者は多いはずだ。

スマホの登場により、個人の世界にいる機会も長い。オンラインが日常になりつつある。もちろん誰かと繋がるとしてもオンライン中心でその人の表情や声のトーンや感情の変化など画面からの取りこぼしは多々ある。

利便性と引き換えに人間関係が無機質というか、お互いを知るためにかける時間がもったいないなど淡白になりつつある効率重視のせっかち現代病。

このような時代において、スマホを使えない空間であるサウナは現代病に対する打ち手としても面白い。都内を中心に貸切でコミュニケーションの価値を提供してる施設も増えてきている。この流れの時代は加速するので、これからもますますこういった施設が増えていくと思う。

このようなイベントでは、会場に入った瞬間、スマホ没収でも良いかもしれないと感じた。(セキュリティの担保を提供者側にしっかり伝えた上で)

スマホがないと意識がその場にいない誰かではなく、自然とその場にいる人に向く。多くの人は手持ち無沙汰というか話してないことの周囲向けのエクスキューズとして、別にいま取る必要のない連絡や情報収集をしているのではないか。
(自戒を込めて)

今回堪能させていただいたサウナは以下の4種類。

1.ケロサウナ
2.メディテーションサウナ
3.マウンテンサウナ(高低差が大きい)
4.ミストサウナ

まずはケロサウナの贅沢さに度肝を抜かれた。ケロとは木の材質のことで、ログハウスがサウナになったようなイメージだ。

なんと言っても熱源が薪を燃やした火であり、ものすごーく贅沢な仕様になっている。サウナ室の扉を開けた瞬間に漂う香りで心を掴まれた。セルフロウリュもできるようになっており、ロウリュ用のストーンが置かれていた。しかも2箇所。

ここでの狙いは各ストーンに水をかける回数を減らすことで、サウナ室の温度を極力下げずにロウリュを楽しむために設計されたものと推測される。

メディテーションサウナは3-4人で入る瞑想サウナである。特徴は天井が凸凹としていて、材質が木なのである。このような仕様の天井は初めて見た。

スタッフに尋ねたところ、ドイツ式で現在はそのような天井を作っている会社は存在しないとのこと。なるほど。

ただ白状すると、その凸凹によるロウリュの違いは感じなかった。希少性というバイアスがかかっていたことでありがたみは感じたがそこまで大きな違いはないのかな。(個人の感想です)

マウンテンサウナはメディテーションサウナとは打って変わってプロジェクターによる焚き火の映像と音響設備にこだわったサウナだった。

その名の通り富士山をモチーフにしたサウナということで、高低差が大きい。覚えている限りでは4段はあったのではないか。

そうなるとロウリュやアウフグースの場所としてはすごく適している。今回は参加者の中で都内の某施設で仰がれている方が熱波を送ってくださった。

アロマの香りはシナモンとスモークサウナ。スモークサウナは初めて体験したけど、燻製というかすごく落ち着く香り。

驚いたのは水をサウナストーンにかけてから室内に蒸気が充満するまでの速さである。たいてい水をかけてから10秒くらいのタイムラグがあるものだが、ここではその半分くらいの時間だったと感じた。

ここも空間設計が蒸気の循環に最適化されているのだろう。オーナーのサウナへの愛とこだわりを感じた部分。恐れ入ります。

サウナストーブは見た目は1つだが、なんと内側は4つに分かれていて1つしか稼働させていないようだ。フル稼働したらどのような空間ができあがるか楽しみで仕方ない。

そのようなストーブがあることを初めて知ったし、やはり色んなものを見に行く経験は超大事だと感じた。

最後にミストサウナ。室内に入った瞬間にミストが全身を包み込む。白を基調とした室内はまさに貴族のお風呂場という感じた。

機能としては室内にボタンが何箇所かあって、お湯と水が上から降り注ぐ設計。ホースも設置されており、富士山の16℃の天然水をぶっかけることもできる。これがめちゃくちゃ気持ち良い。ドイツのクナイプ療法なんだとか。

サウナを堪能したあとに不感浴。不感浴とは人間の体温とほぼ同じ水温に保たれたお風呂である。熱くも冷たくも感じない不思議な感じ。

たまにサウナ施設で見かけるがいまいち使い方が分からないツールである。今回も気持ちよかったけれど、やっぱり水風呂の方が好きだなと感じた。これから使い方を身につけていきたいお風呂である。

2.ドイツ式のサウナの嗜み方

ドイツ式のサウナの入り方はバスタオルを自分で持ち込み、汗はその範囲内で垂らすというマナーらしい。すごく素敵なカルチャー。

知ってはいたものの、実際に自分で試すとなるといつもバスタオルを忘れて室内に入りそうになる。

ドイツ人の国民性は勤勉であり、ルールや規律も持つ日本人の国民性と似ていると良く言われるが、サウナでもそれが現れているところがあるらしい。

それは「外から何かを持ってきて、それを自分たち仕様にするのが上手い」国民性ということ。0→1よりも、1→10が得意な人種のようだ。

サウナの発祥の地はフィンランドと言われているが、日本もドイツも自分たち仕様にカスタマイズしている。

日本の昭和ストロングスタイルのドライサウナやテレビはフィンランドのサウナにはない文化らしいし、ドイツではサウナは混浴文化で老若男女問わずコミュニケーションのプラットフォームとして使われているそうだ。

日本と同じく、自動車をはじめ製造業もドイツは強いのでお風呂の設備の展示会等とあるらしい。是非とも行ってみたい。

これまでは「サウナと言えばフィンランドっしょ」と玄人ぶれたが、ドイツのサウナにもすごく興味が湧いた。

アウフグースもドイツ発祥だしね。アウフグースのトレーニングもドイツで受けてみたい。

ドイツはサウナの先進国だ。

3.競泳用水着の快適さ

今回のイベントは参加者が男女だったので、かつこの施設は男女一緒に使うので水着の着用が求められる。

これまでは海水パンツを履いていたが、競泳用の水着の方がサウナにおいては快適らしい。

ピッタリ肌にくっついているので、濡れてから貼りつく感覚がなかったり、水風呂入って出るときに水を吸って重くなって脱げそうになる(笑)こともなく、ストレスフリーなのだろう。

確かにこれまで水着着用の施設やサウナイベントに参加してきたが、どうにも水着の感覚が好きでなかった。

これは意外と盲点だった。今後のサウナイベントに向けて競泳用水着を買っておくことにする。

▼総括
「富士サウナまつり」は過去のサウナイベントでもかなり満足度が高いイベントだった。

募集要項を見たときにネタバレしてないものにお金を払うのを躊躇する人も多いと思う。

ただ、何が得られるか、どんな人に出会えるか分からないからこそ行ってみるべきで、悩んだ時点で琴線に触れているから絶対に得られるものがあると感じた。

主催してくれた皆さま、スタッフの皆さま、楽しい時間をありがとうございました。

サウナ倶楽部エンブレム
心を奪われたケロサウナ
施設内観
激ウマドリンク
贅沢な晩ごはん

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