新旧サウナの考察

大垣サウナと新岐阜サウナを同じ日に訪問した。評価軸の中で真逆に位置するものを選ぶことで、振れ幅が大きくなりギャップの解像度を高めるのも良い。

意味機能×高価安価の2軸のマトリックスにざっくりプロットすると、大垣サウナは意味×中価格、新岐阜サウナは機能×中価格に位置する。ここでのギャップは意味機能の軸となる。

意味売りはリピーターの比率が高い。サウナそのものよりも歴史や働くスタッフに意味を感じて訪問する人が多い。コミュニケーション量の多さも意味売り施設の方が圧倒的に多い。

僕は初訪問なのに「大垣駅から来たんですか!?帰りのバスはこの時間帯にありますよ」と気にかけて下さった。

顧客というよりファン(固定客)によって支えられている。実際、スタッフと雑談をしていたりお客さん同士で久しぶり!的なやり取りをしている人たちが多かった。

月極めの荷物置き場もあるし、しっかりファンと顧客を差別している。(もちろん良い意味で) 非効率な部分も残しつつ、その非効率さが醍醐味に昇華されている。

年齢層は意味売り施設は昔から通っている人が多いので高め。この人たちは近くに高機能サウナ施設があっても大垣サウナに通い続ける。だって機能目的で来ているわけではないから。比較対象がいない域に達している。

新規のお客さんでも"意味がある施設"という前提がインプットされているので、評価する上でもバイアスはかかっている。ただ、意味は数値化できないので横比較はできず、自分の中の期待度との比較となる。

一方、機能売りは新規の比率が高い。歴史は浅くスタッフとのコミュニケーションも最低限なので、機能を目的に訪問する人が多い。

施設によっては無人対応で完了するところさえある。お客さんの年齢層は若めな傾向がある。

機能は数値化されるので、横比較がされる。他店との比較が容易である。当然、安くて機能が良い場所が選ばれていく。

機能売りはさらに機能が高い施設が現れるとゴッソリお客さんを持っていかれるリスクはある。だから人数制限などにより混雑度を高めない、あらかじめロケーションで優位性を確保しておく、水質にこだわった場所で模倣可能性を下げておくなどの設計が必要となる。

今からサウナ経営をするとなれば、歴史の長さも成分の多くを占める意味を作るのは至難の業ではある。歴史の長さはお金では買えないし時短もできない。やはり時間をかけて少しずつ歴史を紡いでいくしかない。お台場のガンダムは京都の清水寺には勝てない。

多くの人の本音としては「意味売りサウナを作りたいが、時間がかかるので、サウナ好きに満足してもらえるような良いサウナ作ります!」的な建前で機能売りに向かっているような感じだろう。

ただ、飛騨高山ウルトラマラソンで100キロ走った身体を癒すには機能が大事ではある。回復度であったら新岐阜サウナの方が高かったかもしれない。ただ、人に話すのであれば大垣サウナの方が先に出てくる。

利用者側としてサ旅としては意味売りサウナを優先的に訪問し、マラソン後の極度に疲労した身体を回復させるには機能売りサウナを選んでいくような使い分けはしていこうとは思う。

ただ、やはり意味売りサウナは強い。大垣サウナが1,700円、新岐阜サウナが1,800円であり、豚ロース生姜焼き定食1,400円で計3,100円を大垣サウナに落とした。

どうしても豚ロース生姜焼き定食が食べたかったわけではなく、せっかく来たのだから食べていこうとなった。大垣サウナで豚ロース生姜焼き定食を食べるという行為自体に意味を感じたから食べたのだ。

その分野に詳しい人ならば誰もが知っているような、質問に挙がって来るようなことをやっておきたい、話のネタを作っておきたい的な欲求だ。コミュニケーションネタとしてやっておくということ。

ここら辺の購買心理は今後も深掘りして、解像度を高めていきたい。とにもかくにも大垣サウナと新岐阜サウナの新旧サウナにはそれぞれの良さがあった。

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