名前を変えないブランディング

飛騨高山ウルトラマラソンへの道中に田辺温熱保養所に立ち寄った。

巨大樽の中で蒸されているときに「リブランディングしないことで逆にブランディングできることってあるよなぁ」と思ったことを忘れないうちに書いておく。

「田辺温熱保養所」の名前は今どきとは一線を画している。サウナに限ったことではないが、横文字の名前でクールさを出す商品やサービス、施設は多い。

ただ、僕の中でのクールさの定義は少し違っていて、周知を気にせず自分の道を突き進んでいる生き様がクールさ。つまり海外風にお化粧することではない。

例えば、みんなが電車でスマホをいじってるときに紙の本を読んでいる人はクールに映る。僕も中二病をこじらせており、あえてスマホいじらずに紙の本を読むこともある。

周りの人たちが時代の時計の針を折っている中でドンと構えていると、今度は時計の針が自分を追ってくる感覚。

田辺温熱保養所は1946年創業なので、その当時の名前を変えずに来ているのだろう。それが時代の波で横文字のネーミングが増えているのから相対的に自然とクールさが高まっている。

ネーミングの余談だが、僕は自宅でインスタントコーヒーを作る際、奥さんから手抜きコーヒーとよく茶化される。そのたびに「これは手抜きではなく10 Sec Coffeeだよ」と返す掛け合いがある。

手抜きなのだが、名前を変えるだけでクールさは演出できる。(自分の中のクールさの定義とはかけ離れている前提で)

こういう横文字の名前の付け方をする商品やサービスが多いので、田辺温熱保養所は名前を変えないことで自然とブランディングされている。

僕が初めて田辺温熱保養所の名前を知ったのはTwitterか何かだったと思うが、他のサウナ施設の名前はスルーしても田辺温熱保養所だけは引っかかった。

その名前から調べずとも歴史が長い施設だと容易に推察ができる。あくまで相対性の話をしていて、横文字の名前が増えているから田辺温熱保養所の名前が映えているのであり、昔は横文字の名前を付けることが映えるための打ち手だったのだと思う。

だがみんなが横文字の名前を付けると相対値が作れなくなるので埋もれる。今度は変えなかった非横文字が映えるようになる。

いまだにアパートやマンションもフレンチ風な名前を付けたがる人が多いが、◯◯荘な感じでネーミングした方が逆に興味を引けるのではないか。(自分で言っていてもたぶんこれはない)

僕の中では田辺温熱保養所のクールさが高まっていたのでMOKUタオル買ってしまった。ネーミングとブランディングって深いなぁ。

▼今回の気づき
1.ブランディングは相対値を作る作業
2.田辺温熱保養所の場合は周囲が横文字化したから自然と相対値が作られた
3.変化が激しい時代だからこそ、変化しないことでブランディングできることもある

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