見出し画像

覚えのないいじめの主犯にされた話

読むにあたって

この話は実話ですが、相手を責めるためのものではないということをご理解ください。またかなり前のことなので担任の発言等は一言一句正確なわけではありません。

いじめの主犯格にされるまで

小学校3年生の時、クラスメイトにAくんという男の子がいた。その子はいかにも気が弱そうでなよっとした物静かな子だった。自分はその子とは所属しているグループが違ったのであまり話すことはなかったが、当時の自分はいろんな人に絡むタイプだったのでたまに話を振ったりして一緒に笑ったりもした。その時は普通のクラスメイトだと思っていた。

二学期にさしかかって少し経った頃だった。Aくんが突然学校に来なくなった。先生は確かお腹の調子がよくないとかそんな説明をしていたと思う。Aくんの欠席は当初は気にもとめていなかったが、欠席期間が長くなるにつれ、もしかしてガンになって手術でもしているのかなと子供ながらに考えていた。

2週間くらい経ったころ、総合(ホームルーム)の時間に突然担任から自習が命じられ、自分だけ廊下の端にあった非常階段に呼び出された。もうわかる、よくない話だ。担任から「なんで呼び出されたか分かるか?」と聞かれた。正直この時自分は公園で立ちションをしたとか授業中に騒いでいたとかそのレベルのことを想像していたし、当時自分が責められることなんてそれくらいしかなかった。担任にわからないですと答えると予想外の返答が返ってきた。

「お前、なんでAくんが学校に来ていないかわかるか?」

この時自分は一瞬で察した。誰かがAくんをいじめていて、それで不登校になってしまったからクラスメイト一人ひとりに何か知っていることがないか聞いているのだと。でも自分にはまったく心当たりがなかったのでわからないと答えた。すると担任から衝撃の答えが返ってきた。

「あのな、Aくんお前のせいで学校にこれへん言うてるねん」

衝撃だった。ほとんど関わりもないのにどういうことだ?必死に考えたけどわからなかった。パニックになった。

担任から伝えられたA君の話はこんな感じだった。
〇給食当番で食器を返し終わったあと、階段下のスペースに腕をむりやりつかんで連れ込まれ、死ねと言われた
〇靴を隠された
〇本当はもっと早く言いたかったけど、言ったらBくん(筆者本人)が怒られるんじゃないかと思って言えなかった

意味が分からなかった。Aくんの言っている階段下に連れ込みなんて全くしていないし、第一その階段下というのは全クラスの給食当番がすぐ横を通るのでいじめなんてできる環境ではなかった。靴かくしも、雨で外で遊べない昼休みに僕が仲のいい友達とお互いにやりあう宝探しゲームのようなものしかやったことがなかった。何を言っているんだという気持ちだったし、嘘をついているくせに自分への配慮を見せるAくんには心底腹が立った。

今の自分なら徹底的に相手のおかしなところを突いて抗戦したと思う。でも当時は小学生だったしパニックになっていて早く話を終わらせたかった。だからこう言ってしまった。

「やってないけど認めてAくんが学校に来るのならそれでもういいです」

本当にバカな選択をしたと思う。でも当時の自分にはそう言うことしかでき
なかった。僕の返答を聞いた担任は分かったとだけ言い返してそこでその話は終わった。

家に帰ると担任から親に事情説明の電話がかかってきていた。僕は必死になにもやっていないと言った。親は信じてくれた。でも、とりあえず自分を落ちつかせるために信じたふりをしたのか、本当に信じてくれたのかはわからない。当時の自分は何も信じられなくなっていた。

後日改めて担任との話し合いがされた。その時に担任からはいじめたということは認めるんだな?という内容のことを言われた。自分がいや、やってないけどそれで来るなら認めるだけですと返すと、いやいや一回認めたよね?と強い口調で返された。なんで全面的に認めたことになっているんだと担任に激しい怒りを覚えたが、なにも言えなかった。もうなんでもいいから早く終わらせたかった。こうして自分は晴れてクラスメイトをいじめて不登校にさせた人間ということになってしまった。

なぜAくんが嘘をついたのか。

当時の自分はこの事件を早く忘れたかった。だから覚えてないけどいじめをしたんだろうと自分の心に嘘をつき続けた。でも今確実に言える、自分は相手から言われた行為は断じてひとつもやっていないし、いじめようだなんて思ったこともない。けどなんでAくんは嘘をついたんだろうか。自分は必死に考えて2つ結論を導き出した。

一つ目 自分の普段の絡み方が不快だった
小学校3年生の時の僕は人と話すのが大好きで正直かなりグイグイ行くタイプだった。Aくんはそれが嫌で不登校になったが、正直客観的に見てその程度で休むのかという内容だったからとりあえずいじめの内容をでっちあげた。

二つ目 当時の自分がクソガキだったから
当時の自分は授業中に騒いだり、友達とよくケンカしたりとよく言えばクソガキ、悪く言えば問題児だった。Aくんはなにか別の理由で学校に行きたくなくなったが、自分にいじめられたという理由にしておけば周りも納得するだろうと思っていじめの内容をでっちあげた。

正直一つ目の理由はないと思う。なぜなら当時の自分とAくんが話す機会なんていうのは本当に少なかった。もしこれで不登校になっているのなら正直今までなんで2年間まともに来れていたんだというレベルだと思う。
正確な答えなんて本人にしか分からない、でも今の自分はこれを思い出すたびに2つ目の結論で納得していいことをしたなと思うようにようにしている。そうしないとAくんへのとてつもない怒りや、当時話を早く終わらせたいがために徹底抗戦せずに認めた自分の情けなさとかいろんな感情が噴き出してきてなにも手がつかなくなってしまうからだ。

なぜ書こうと思ったのか

正直この文章を書くということは自分の人生の中で最も辛かった過去を思い出すことになるのでしたくなかった。冒頭でも書いたようにAくんの嘘を糾弾するようなことは自分も望んでない。ではなぜか。自分と同じような境遇に陥ってしまった人や、息子や娘が同じ境遇に陥ってしまった親などに元気を与えたかったからだ。いじめの被害者が嘘をつく、正直一般的に考えてありえないことだと思う。でも実際にありえるし自分のまわりに起きてしまった。

自分と同じような境遇に陥ってしまった人へ 
君だけじゃない、仲間はいるよ

息子や娘が同じ境遇に陥ってしまった親へ
にわかには信じがたい話かもしれない。でも信じてあげてほしい。

これを伝えたい。

最後に

これを読んでいる人も、この先の人生不条理なことを言われることがたくさんあると思う。その時どうするかは君の自由だ。でもこれだけは自分の意見として言いたい、絶対に後から後悔しない方法だ。

自分の主張に自信をもって、
自分が納得するまでそれを相手にぶつけよう

最後までお読みいただきありがとうございます。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?