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年金計画は「非課税限度額」を意識しないと大損するかも

国民年金は満額で年間81.6万円に対して厚生年金の平均年間年金額は
 男子 196.7万円
 女子 125.9万円

男女格差がこんなにあるのは残念ですが、今回、この問題は無視して夫婦で年金生活をする場合の一番有利な「住民税非課税世帯」になる条件を考えてみます。

夫婦の収入が年金だけとして「厚生年金+国民年金」「厚生年金+厚生年金」「国民年金+国民年金」の3パターンを基準に計算してみます。

住民税非課税世帯の条件

住民税の非課税限度額は3地区に分類されます。

住民税非課税限度額の計算式

この3地区は以下のページで確認できます。

この計算式を使って金額を計算した結果に、65歳以上の年金の場合「公的年金等控除」の110万円を足した金額が以下の表です。

非課税のための年金受給限度額(単位は万円)

厚生年金の平均値を見ると女性の場合は非課税、男性の場合はギリギリ非課税になりそうです。つまり平均的な年金受給者は非課税世帯になります。

住民税非課税世帯のメリット

住民税を払わないと世帯にはどんなメリットがあるのか調べてみます。

①国民健康保険料が軽減される
②介護保険料が軽減される
③住民税の均等割りが4000円→0円(所得割りも勿論ゼロ)
  (2023年までは5000円)

さらに将来的に重要になってくる

④高額療養費制度の限度額が低くなる
⑤高額介護サービス費の限度額が低くなる

などがあります。社会保険料の税負担がこの限度額を境に6~7万円近く段階的に増えてしまいます。パートなどの「103万円の壁」と問題と同じです。

非課税世帯になる方法

現役時代、頑張って働いてこの限度額、例えば211万円を十分の超えている人にはあまり問題ではないかもしれませんが、ギリギリの人にとっては超える超えないで手取りが大幅に変わってしまいます。

一般に年金は一度受給を開始すると変更ができないのでボーダーライン上の人にとっては開始時の年金受給額は重要な意味を持ってきます。

年金の繰り上げ受給

例えば64歳で受給を開始すれば10万円前後、年金額を下げることができます。損得を計算すると

①将来的に年間10万円程度はマイナス
②64歳で年間約200万円を早く受給はプラス
③社会保険料で7万円程度はプラス

年金受給額を単純計算して比べてみると、200万÷(10万-7万)=66.7年なので損をすることはありません。

但し、気をつけなければいけないのは年金のマクロ経済スライドと言う制度です。今年は年金が2.5%上がりました。年金が上がることは嬉しいことですが、上がることによって211万円を超えてしまう人も出てきます。限度額も連動して引き上げてもらわないと損をする人も出てきてしまいそうですね。

確定申告で控除金額を積極的に増加

年金の場合、条件がそろえば会社員時代と同じように社会保険料等は「天引き」になります。収入が年金等だけで400万以下なら確定申告不用とアナウンスしています。

確定申告を個人でしたことがない人は金額も小さいし、忘れがちになりますが、非課税世帯ではない場合は「生命保険料」「火災保険料」「医療費控除」などを年金受給者でも申請して税金を返してもらうようにすると、ボーダーライン上の年金受給者は控除額の合計で211万円のボーダーラインをクリアできる状態になることがあるかもしれません。

但し「ふるさと納税」は税金の還付には相当しないので今回のスキームには有効ではありません。

計画的な年金計画

今まで公的年金で話をしていましたが、「年金」とは公的年金も個人的な確定拠出年金なども含まれます。つまり厚生年金200年、確定拠出年金50万円を受給した場合は年金額は250万円として計算され、211万円を超えてしまいます。

退職所得控除による税優遇制度

年金を貰う年齢になると最初の関門は退職金の取り扱い方法です。退職金は税優遇を上手く利用してなるべく税金を払わないようにしましょう。

退職所得の計算は
 退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

勤続年数 退職所得控除額
 20年以下 40万円×勤続年数(下限値は80万円)
 20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職所得控除の5年ルール

このルールとは退職金は受け取る前年以前4年内に他の支払い者から支払われた退職金がある場合は、それらの勤続年数の重複期間を含めずに退職所得控除を計算する。簡単に言うと5年以上、受け取る時期がズレていると勤続年数に調整が入らないため税制上有利になることがあると言うことらしいです。

と言ってもよくわからないので「確定拠出年金」と「退職一時金」の組合せで検証してみます。
①確定拠出年金を60歳、退職一時金を65歳
②確定拠出年金を65歳、退職一時金を65歳
③確定拠出年金を65歳、退職一時金を60歳

いろいろな条件があるので何とも言えませんが税金面で一番優遇されるのは①です。最初に退職一時金を貰う場合はこの5年ルールが適用されません。

一般的には60歳定年+再雇用、65歳で確定拠出年金の受け取り開始と言うことが多いかもしれないのであまり意味がないルールかもしれませんが...

確定拠出年金の受給方法

厚生年金だけなら211万円を超えない人でも確定拠出年金を年金で貰うと合計金額が211万円を超えてしまう人は結構いると思います。

確定拠出年金には受給方法として「年金」「一時金」「年金と一時金の組合せ」あるいは「年金」「一時金」があります。

なので、年間の年金支払額が厚生年金と合計で211万円を超えない範囲で年金支払いを受け、残りを一時金にすれば住民税の非課税世帯になります。

年金か一時金しかない場合は、一時金で貰い、自分で年金のように分割すればOKです。確定拠出年金の年金払いと同じように運用しながら現金化すればいいだけのことです。

但し、一時金の場合、退職金との合計が退職金優遇の金額を超えると税金がかかるのでどっちが得かはケースバイケースになります。

また、この一時金を自分で運用するときは年金のような分割払いとNISA運用を並行して行います。こうすることにより上手く運用すれば利回りも付いて確定拠出年金のように税金を払う可能性はありません。

もっとシンプルな方法は、確定拠出年金を積み立てる代わりに最初からNISAで積み立てて、年金受給時期に年金のように毎年切り崩していけば、税金を気にしないで良いことになります。

企業型確定拠出年金をゼロにできない場合は最低に設定して代わりにNISA積立を優先する方法が「非課税世帯」に近い方は一番得になりそうです・

つまり、厚生年金だけでは211万円を超えそうにない方はiDeCoで投資運用するよりNISAで同じような投資運用をした方が毎年受け取るような形態ではメリットが大きいと言うことになります。

また、NISAならiDeCoのように解約縛りがないので資金の流用性と言うことでもメリット大です。

厚生年金が211万円を楽に超えたり、個人年金も楽にNISA積立で1800万円を超えてしまう恵まれた方はあまり関係ないですが、厚生年金受給額が平均的な会社員等は個人年金の扱い方で税金が大きく変わる可能性があるので注意が必要です。

いつも思うのですが、なんで日本の税金って、いろいろな条件が合って、知らないと損ばかりする制度になっているのでしょうね~~




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