ニュージーランドの医療費が無料というのは調べるとそうでもないという話をします

こんにちは、とのっちょです。

ニュージーランドの特徴の一つとして、医療費が完全に無料である、というのがあります。と言ってもプライベートにかかればお金はかかりますし、無料のせいで公的医療だとやたらと順番が回ってこないとか、どんな状況で行ってもとりあえず痛み止め処方されるとかわけのわからないポイントもあります。

今回はちょっとてんかんについて調べていたところ、意外と無料というところに罠があるなと言うことに気づいたので、まとめることにしました。

今回は、Petitionを作成したこともあって、署名や拡散などの協力をお願いしたいという気持ちもあります。ペティションへのリンクは↓です。


てんかんってそもそも何?

てんかんという病気は名前自体は結構ポピュラーなんですが、実際にどういうものかを知らない人は結構いるかもしれません。体中が痙攣してしまうとか、運転中に意識を失うという話は聞いたことがあるかもしれませんね。

てんかんは脳の電気信号の伝達に異常をきたしてしまう病気です。脳は電気信号を送って動いているんですが、この電気信号が何らかの形で脳全体に広がってしまうことがあり、それによって症状が出ます。

てんかんは英語だとepilepsyといい、てんかん発作は英語でseisureといいます。

てんかんが起きる原因は、脳が何らかのダメージを受けてしまった場合と、原因不明に分かれるようです。後者はかなりきついみたいですね。

てんかん発作が起きている間は患者はどうなっているの?

てんかん発作が起きたときにどのような症状が出るかは患者に寄って違います。全身が痙攣してしまう人もいれば、突然フラフラとどこかに行ってしまう人もいるようです。

ただ、共通しているのは発作が起きている間意識がない、という点です。この間は起こそうとしても起きません。発作が起きるまでは基本的には観察をするのが正しい対処です。

嘔吐などで起動がふさがってしまったような場合は体位を変えるなどします。

また、呼吸なども普通に行われていますので、入浴中に発作が起きると溺れてしまうこともありえます。

てんかん発作は突然起きて数分で収まり、その後段々と意識がリブートしていく感じになりますから、発作が収まって一見なんともないように見えても意識が全くはっきりしていないこともあります。

抗てんかん薬について

そんなてんかんについては、抗てんかん薬というものがあります。これは、先程書いた脳の電気信号に異常をきたすことを抑える薬で、飲んでいる間は基本的には発作は起きないと考えていいと思いますが、この薬には種類があります。

てんかん患者は、この薬を試しつつ自分にあったものを探し、自分にあった薬が見つかったらそれを飲み続けます。

ただし、その薬が一生効き続けるかというとそれは確実ではないようです。というのも、ダメージを受けた脳の状況が変わることで合う薬の種類も変わってくるからです。

手術で治るの?

他にも開頭手術で対策をするということもありますが、脳に手を入れるためかなりリスクがあると思います。

年初にこの記事がありました。

ラグビー選手の方が開頭手術をされたという話ですが、これも完全に治るかは私はわかりません。

薬を変えることは安全?

抗てんかん薬を変える、というのはどういうことかというと、発作のリスクを一時的に受け入れる、ということでもあります。

そのため、薬を変える、ということは重たい決断になりますし、薬によっては副作用もあるため、今効いている薬を飲んでいるなら、限界ギリギリまで飲み続けたい、と思うのではないでしょうか?

今効いている薬があるのに聞くかどうかわからない薬に変える、というのは非常に重たい決断になってきます。

ニュージーランドの薬の処方における問題

そういうわけで話が戻りますが、ニュージーランドは医療費は無料である、とはいっても、実は条件があります。もっというと実は無料ではなく、政府が支払っている、が正しい理解で、これをGovernment Fundedといいます。

つまり、Government Fundedではない薬は、自費で購入する必要があります。

https://schedule.pharmac.govt.nz/2024/01/01/Schedule.pdf

こちらはニュージーランドでの薬に関する情報です。これにはビムパットについて以下のように記載されています。

SA2267 Special Authority for Subsidy
Initial application from any relevant practitioner. Approvals valid for 15 months for applications meeting the following criteria:
Both:
1 Patient has focal epilepsy; and
2 Seizures are not adequately controlled by, or patient has experienced unacceptable side effects from, optimal treatment
with all of the following: sodium valproate, topiramate, levetiracetam and any two of carbamazepine, lamotrigine and
phenytoin sodium (see Note).

Pharmaceutical Schedule | Edition: January 2024 | Published: 2024-01-01

focal epilepsyは焦点てんかんと呼ばれるタイプのてんかんです。これは脳の特定部位に寄って引き起こされるてんかんで、どこで起きているかわからないてんかんは全般てんかんといいます。

つまり、focal epilepsyではないてんかん患者は、たとえこの薬が効いていたとしてもニュージーランドで手に入れるには自費購入するしか無いことになりますし、ファーマシーで確認したところ月に$200くらいかかるようです。

ビムパットは全般てんかんにも使っていいの?

私は医師ではありませんからいいも悪いも言うことはできないんですが、こちらの記事では全般てんかんにも効果が認められたと書いてあるようです。

なので、一つの選択肢として挙げられて然るべきなのだと思っています。

 ビムパットを使っている患者は、ニュージーランドに来たら再発のリスクを受け入れて新しい薬を使い始めるか、高い金を払って薬を買い続けるしかなくなる状況はフェアとは言えないのではないでしょうか?

また、ビムパットは副作用や他の薬との飲み合わせ、内臓への負担も少ないなど、これでいいならこれがいいという人も多そうな薬なので、患者にはぜひともGovernment Fundedで提供してもいいと思っています。

ペティションにご協力いただければと思います

そういうわけなので、ペティションを作りました。これは薬がてんかんに効くのに提供しないのはおかしい、という話ではなく、効いている人がいた場合に経済的に諦めざるを得ないというのはおかしいのではないか、という論点になります。


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