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セッティングありのレースを企画してみたらいろいろと勉強になったお話
「MF ゴースト」みたいなレースがやりたいとセッティングありのレースを企画
最近、グランツーリスモ7で話題の漫画「MF ゴースト」みたいなレースができないかということであれこれ試行錯誤しておりまして。
「MF ゴースト」のキモであるグリップウェイトレシオの再現はかなりハードルが高そうなんですが、まずは、前段階としてセッティングありの現行86ワンメイクレースを企画したところです(その辺の経緯は下の記事をご覧ください)。
幸いにも親父杯でお世話になったGWS勢の皆様に参加の御協力をいただけ、29日に本番レースが実施できる見込みとなっております。
ただ、セッティングありという普段あまりないタイプのレースで、ハードルが高いところもあるので、23日にテストレースを実施しまして、好成績を収めた方にはセッティングを公開していただくことにしました。不慣れな方でもこれである程度ヒントにはなるかなと。
私もグランツーリスモのセッティングに関する知識はほぼゼロでして、後述しますが、今回の過程でいろいろ勉強させていただきました。セッティングに詳しい人が見れば失笑するような話ではあるのですが、非常にその過程がおもしろかったので、誰かの参考になればということで、今回はその私の勉強の過程とテストレースの結果について書いていきたいと思います。
1.まず一番最初に大事なのは…
今回の企画レースのレギュは、トヨタ86 GT ‘15ワンメイク。グランバレー10周を、スポーツミディアムタイヤ限定でタイヤ消耗20倍、燃料消耗1倍で走るというもの。
最低重量は購入時と同じ1230kg、チューニング、セッティングは基本無制限(ナイトロのみ不可)。もちろんエアロもホイールもワイド化もやり放題。
なお、しげの作品名物の公道独特のテクニックが使えるように、ショートカットペナは「なし」にしてあります。
さて、早速コースにあった車を作らなければいけないのですが、タイムアップのキモとなるのが大きいところで2箇所。
ひとつは1セクの、下りの高速S字からヘアピンへつながるところ。ここは車体がロールしがちで非常に車が振られやすいのですが、ここでがっつり踏めないとタイムに大きな差が出るところ。
![](https://assets.st-note.com/img/1682348060707-95eN9PdOEX.jpg?width=800)
もうひとつはトンネル内の高速で抜ける右の最終コーナー。ここはコーナーに向けてわずかに登っていて、頂点からは下りになるので、車によってはダウンフォースが抜けて姿勢が乱れがち。
このコーナーの後は、最高速が出るホームストレートなので、ここをベタ踏みで安定していけるようにしたいところ。
![](https://assets.st-note.com/img/1682348118710-sQMDC31ORJ.jpg?width=800)
最初、車を買って一通りのチューニングして走ってみたのですが、この2箇所がアクセル抜きまくらないと全然走れない。
ちょうどそのとき、2021年親父杯50代チャンプのBさんが様子を見に来てくれたんですが、ラップタイムがぜんぜん違うわけです。走りを観察すると上の2箇所のスピードがまるっきり違う。
そこでBさんが教えてくれたのがダウンフォースの大切さ。
吊るしの状態ではできないのですが、エアロを購入・装着することでダウンフォースの調整が可能に。上記2箇所をある程度速度を乗せて安定して踏めるようにダウンフォースを増やしていくと。
言うまでもなく、つけ過ぎれば最高速などスピードの乗りには当然マイナスですし、前後の付け方でハンドリングにも影響ありと。
ダウンフォースをつけてこの2箇所をスピードノセて踏めるようにするだけでタイムが数秒違う。セッティング素人の私には目からウロコでございました。
2.決めのパワーアップチューンを何にするか
車のレースと言えば、基本的には「パワーこそ全て」というのが実情で。今回のレギュが「MF ゴースト」を意識しているとはいえ、流石にパワーアップなしでは勝負になりません。
パワーを上げるチューニングは一通りする前提で、問題は決めのパワーアップチューンを何にするか。選択肢としては以下の5種類になります。
スーパーチャージャー 低回転・高回転
ターボ 低回転・中回転・高回転
当然、高回転ターボがピークパワーは一番出ます。じゃあ高回転ターボ一択かというとこれがそうでもなくて。
ここでもBさんにいろいろヒントを貰いながら、5種類のユニットを全部購入して走り比べて検討したんですが、コース特性やきつめの消耗、低速コーナーの処理を考えると、いろいろな選択肢がありそうだというのが結論。
今回レギュのようなコース、周回数、そしてきつめのタイヤ消耗倍率の組み合わせにすると、高回転ターボ一択とならないという事実は、ローパワー車でも活躍の余地がある「MF ゴースト」再現レギュを考える上で、個人的には、非常に大きなヒントとなりました。
3.電子制御(ドライビングアシスト)の使い方
リアルの車でも、いまは様々な電子制御が入っているのが当たり前で。グランツーリスモではトラコンやカウンターアシストなどのドライビングアシストということになります。
グランツーリスモでは通説として、一定の技量に達すればドライビングアシストを切ったほうが速いと言われているのはこれを読んでいる皆様ご承知のとおり。
今回もその常識で考えていたのですが、これもBさんからヒントを貰って、使ったほうが速くなるなら使った方がいい、と。
確かに、今回はタイヤ消耗が尋常じゃなくきつい、かなり特殊なレギュなわけです。先入観を捨てて、10周のレースを通じて安定して速く走る上でプラスかどうか。
いままでは何も考えずにオフにしていたドライビングアシストを、単体で、または重複して使うとどうなるか。この辺も走り比べてみて、研究しました。
N車での特殊なレギュというのはあるにしても、試走を通じてそれぞれのアシストの影響がどの程度あるのかについて自分なりのレベルにはなりますが改めて理解できたのも、貴重な経験でした。
4.Bさんのセッティングで乗ってみた
これ以外にも、バラストのセッティング(ステージ2まで軽量化をした上で1230kgまでバラストを積む前後位置を調整)やデフ、足回り、ギア比など調整の項目はふんだんにあって。
Bさんが何度も「セッティングは沼ですよ~」と言ってた意味が、勉強をはじめて一週間もすると徐々に実感できるように。
Bさんは、SNS上でのキャラからは想像できないと思いますが、上から目線でもなく、考えを押し付けることもなく、本当に優しく丁寧に、豊富な知識を惜しみもなく伝える形で教えてくださいました。
無知な私が、主催としてある程度はわかってないとまずいだろうという親心かと思いますが、本当に助かりました。
ある程度、一通り教えてもらった段階、要は個々の項目について最低限の知識がついたところで、見せていただいたのがBさんのセッティング情報。「一度、これで乗って自分のセッティングをどうするか考えてみるといいですよ」と。
で、乗って試しました。結論から言えば、完成度が段違い。自分のと比べれば断然乗りやすいですし、何より強調したいのはバランスが取れている。言い換えれば妥協点がちゃんと考えてあるんです。
一通り乗ってみて、細かいところで気になるところがあったので、自分なりにちょっと調整してみる。ところが期待していたほど良くならないんですね。いじってよくなった分、トレードオフで悪くなった部分があってそれで相殺されてしまっている。
結構あちこちいじってみたんですが、結局は元のセッティングのほうがよくて戻すということが何度もあって。「よくバランス取れているわー」というのが偽らざる実感でした。
じゃあ、テストレースにBさんのセットで臨んだかというと実は違いまして。自分なりに作らないと進歩がないというのもありますが、Bさんのセットだと私が乗りこなせないというのが一番の大きな理由で。
原因としてまずドライバーの腕が全然違う(汗) 自分で走った後、Bさんのリプレイも見たんですが、ベストのラインに載せられる確率が私と全然違うので、私より遥かに車を安定した挙動で走らせられる。
挙動が乱れたときもBさんは迅速に対応して修正できるけど、私だとコースアウトかクラッシュになってしまう。要は、私の場合は、もっと安全マージンの多い車にしないといけない。
それに加えて、タイヤの消耗コントロールの技量も違う。Bさんの技量なら10周もたせられるけど、私だとタイヤがもたないわけです。多少、速さを犠牲にしても、私の走りでタイヤが持つような車にしないと完走できない。
上の理由に比べれば付け足しになりますが、あとはやはり個人の好みの違いもあって。腕の差も影響していると思いますが、ややアンダー気味である程度踏んでパワーを出してタイムを出していく足になっていて。私だと技量不足でアクセルを開けられないのに加え、この検討過程で改めて実感したんですが自分はかなりオーバーステア傾向の車が好きらしいと。
よくプロドライバーがチームメイトとの比較で「あいつはアンダー(オーバー)傾向の車が好みだから…」とか言いますが、ちょっとだけその感覚がわかりました。
そういうわけで、テストレース前の一週間は、Bさんのセッティングのいいところはモロぱくりして、それ以外のところをちょこちょこいじって自分好みのセッティングにする作業をしていました。その結果は最後に御紹介。
5.テストレース実施!結果はどうなったかというと…
ということで23日にテストレースを開催したのですが、注目は何と言っても先日の親父杯で総合優勝されたVさん。29日の本番はご都合合わず欠場となりますが、テストレースのドライバーとして御協力いただきましたm(_ _)m
「セッティングは苦手~」とのことで、フリー走行では最初、3,4番手のタイムにとどまるも、親切にも敵に塩を送る方たち( ̄▽ ̄)のアドバイスで見る見るタイムを縮めていきます。
そして10分間の予選。ポールを奪ったのは流石のVさん。終盤に渾身のアタックで2'00.222を叩き出し蹴りをつけました。
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そして10周のテストレース本番は、フロントローのVさん、Bさんが抜け出しマッチレースに。5周目、前を走るVさんが挙動を乱したところをBさんがオーバーテイクに成功。
そのまま、2位に6秒差をつけてトップでゴール。まずは前哨戦のテストレースウィナーとなりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1682349035603-YuBUmqQj0m.jpg?width=800)
注目のVさんは8周目に最終コーナーで痛恨のスピンもあって後退して順位を下げる結果に。セッティングありのレースらしく、車の状態が結果に大きく影響する結果となりました。
テストレースウィナーとしてBさんに公開していただいたセッティングがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1682349430840-7IBphR071j.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1682349443788-Ebgj0BfnLv.jpg?width=800)
私ごときが論評できる立場ではないのですが、ひとつだけ触れておくと、決めのパワーアップチューンは中回転ターボになっています。何でもかんでもパワーを最大化すればいい、という結果にならなかったのは、主催としてかなり嬉しいところです。
テストレースを終えて、皆さん29日の本番に向けて、車の煮詰め方の方向性もはっきり掴めてきたと思われます。今回は、レース用語でよく言う「セッティングを外した」形となって苦戦された方たちも、情報が出てきたことでタイムアップは必至。
テストレースから勢力図が大きく変わるのか、それともテストレースで先行したメンバーがそのまま上位を占めるのか。レース展開が楽しみです。
6.おまけ(私のセッティング公開)
最後に、ニーズはないでしょうが、2週間頑張ってやってみた初心者の私のセッティングを公開( ̄▽ ̄) まあ先にも書いたとおりベースはBさんのなんですが…。
![](https://assets.st-note.com/img/1682350800970-tgPQ7QCqw2.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1682350814968-CH04FFF8L8.jpg?width=800)
以下は、セッティングをはじめてやった初心者の戯言ということで聞いていただければと思います。
1枚めから順に、まずサスペンション。
レースカーというと、ついつい固くしたくなるのですが、このレギュだと挙動が乱れることが多く、ヒヤッとしたときに立て直せるよう踏ん張ってほしいので、デフォルトからは大きくいじらず少しだけ固く。
デフは1ウェイ、2ウェイ、フルを比較したら1ウェイが一番タイムが出たのでそのまま採用。
ダウンフォースですが、前半で触れたポイントを踏んでいける条件は満たした上で、ストレートでの最高速が欲しくてちょっと抑えめにしました。スムースに行ければスタートフィニッシュラインで240km/hには何とか届く感じ。
バラストの位置はいろいろ試した結果、低速コーナーでノーズが軽く向く感じを求めつつ、アクセルオンでリアが出ないところを探したらこの位置に。
ギア比はちょっといじってます。最後の方で、かなり試行錯誤したんですが、なかなか上手くいかず。ここはまだ満足できていないところです。
写真変わって2枚め。ポイントは決めのパワーアップをスーパーチャージャー低回転にしたところ。乗り方の問題だと思うんですが、私の場合、ターボだとタイヤの消耗が激しくてミスの可能性が飛躍的に高くなるので、スーパーチャージャーをチョイス。
パワー的にはターボに比べると20psくらい低いのですが、これでもストレートで240km/h出るので何とか勝負にはなるだろうと。
ブレーキバランスはリアに+2。sportもそうでしたが、この辺は好みですよね。
写真に出ない部分を順次書いていくと、
・トラコンは1。他のアシストはオフ
・ホイールは1インチアップ、ワイド、ワイドで設定。
・エアロはフロントB、サイドA、リアB、ウイングは中。
・ワイドボディ加工済み。ロールゲージあり。
でした。やってみて車の変化を大きく感じたのは、ホイールとエアロ(特にウイング)、ワイドボディですね。
トラコンはタイム短縮よりもレースを走る上での安全装置的な観点で入れてました。
テストレースでのタイヤ摩耗はかなり抑えることができました。下の画像はテストレースでノーピットだった5名のゴール時のタイヤ状況を並べたもの。
ちなみに私は右から2番め。腕を考えると驚異的なほどタイヤが残っているのがおわかりいただけるかと。ただ、タイヤを使う走りとの使い分けができない( ̄▽ ̄)ので、うまく使い切るところまではいかず(トホホ)。その辺は本番に向けての課題です。
![](https://assets.st-note.com/img/1682353011075-h9a20ZaNIi.png?width=800)
ひょんな思いつきからはじまった今回の企画レースですが、協力くださる皆様のおかげもありまして、なかなか勉強になることが多く、個人的には非常に楽しんでおります。
テストと本番レースでどれくらい変化があるか。わくわくしながら走ってみたいと思います( ̄ー ̄)