地図委員会のこと

はじめに

こんにちは。JOAで地図委員会委員長をやってる中村憲と申します。
今日は私の誕生日で、32歳になりました。

思えば遠くへ来たもんだ。

悩み

JOAも昨今はコンプライアンス上の要請から、各委員会の委員の任期を最長でも10年までとしました。お堅い事情を抜きにしても、組織の健全性を考えれば新陳代謝をさせるべきだ、というのはもっともな話です。

ところが、地図委員会の構成メンバーは既にほとんどが10年以上やっていただいている状態です。よって、新しい人を入れるのが急務であるわけです。

しかし、新しい人をリクルートするにしても、どうすればいいんだろう?

誰に声をかけていいのかわからない

私はそんなにオリエンテーリング界で知り合いが多いわけではないし、人の顔と名前とプロフィールもなかなか覚えられない人間です。
今の20代のオリエンティアをあまり知らないのです。

同じ大学の後輩だって、誰が誰だか最近だんだんわからなくなってきている。まして他大学で自分より若い人だと、少し話したことあるくらいだと、全然分からない。

そんな中で、地図委員会に興味のありそうな人を探すというのはなかなか難しいところです。

あえて地図委員会に入ろうという人がいるだろうか?

たとえば、全日本大会や公認大会に課題があると思い、その変革をしたいと思う人がいたら、JOAの中に入ろうと思うのはありうる話だし、実際あったうえでの昨今の全日本大会であり公認大会改革です。

しかし、日本のO-MAPに何か思うところがあって、地図委員会に入ろうと思うだろうか?地図委員会に入らないとできないことってなんでしょう?セミナーなら自分で開けばいい、研究だって自分でやればいい、人の助けが必要ならコミュニティで聞けば地図委員会の委員もそこにいる。

結局、JOAという権威の中に入らないとできないこと、というのはあまり無い。

そんな中で、地図委員会としてボランティアで働く魅力って何なんだろう?これは考えないといけない。

っていうかそもそも地図委員会って要るのか?

なんてことも思ったりもしました。

前述のとおり、実際日本の地図を良くしようと思ったときに、それがJOAの委員会でないとできないこと、というのは少ないと思う。

今は競技規則上も、地図はJSOMではなく、ISOM/ISSprOMが正であり、JOAが定めたものはありません。究極的には、和訳を放棄して英語読んでね、欲しかったらほしい人がボランティアで作ってね、でも成り立つわけです。

いや、でも要るよな

まぁそうは言っても、和訳版がなきゃ不便だし、国内でオリエンテーリングを普及・発展させることがJOAの責任であるとすれば、地図についてもその規則、技術について啓発活動をしていかなきゃいけないんだろうなと。わりと専門性のあるところだから、競技委員や普及委員とも別であることにも確かに合理性があります。

そういう風に考えると、やっぱり要る。

O-MAPを作れる人がいて、O-MAPの製作ができる環境。これを維持、向上させる責任がJOAにはある。

一方、その実現手段という面では、必ずしもJOAという権威が必要なわけではない。JOAは何もしてないのに、結果的にはどこからともなく新技術を開発する人が出てきて、ノウハウをシェアする人がいて、地図の品質が向上していく。そういう状況だって十分ありうる。というか、現状はむしろそれに近い
ただ、本当に何もしていないと、ある世代が引退した後にどこにもノウハウが残ってないじゃん、今まで何やっとったんや、みたいなことだってありうる。

そんなこんなで、じゃあこれからどうしよう

日本のO-MAPの品質が維持・向上する環境を作る、という目的に対して、JOAの中に高い技術や知見を持った専門家を抱えて、O-MAP制作をリードしていく、というのは一つの考え方ではあるのだけれど、それ以外の形もあるんじゃないかなとも。

たぶん、O-MAP関係で一番知見とノウハウがあるのはプロの方々でいまは複数人いますね。彼らは既にオリエン界に多大な貢献をしているのに、その上さらに地図委員会でただ働きしてください、ってのはちょっと気が引ける。

地図に限らず、技術的なことについてはコミュニティが活発であること、が重要だと、私は思います。わからないことを聞ける、議論できる、そういうコミュティが活発な分野が成長していくと思っています。

であれば、なにも専門人材を地図委員会に引き込んで、クローズドな場で議論しなくたって、プロもアマチュアも含めたオープンなコミュニティを作ればいいのではないでしょうか?そういうコミュニティが活発であれば、地図委員会として特別頑張らなくても、それなりに地図を作れる環境は持続するのではないでしょうか?

であるとすれば、コミュニティを活性化させる、そのために定期的に薪をくべる、そういう役割に徹するという考え方もあるのではないだろうか?イメージとしては、学会に対してそれを運営する委員会があるような。だから、地図表記をどうするべきか?というような課題も、委員会が決めるのではなく、それをコミュニティで討論する、という形。
(ちなみに今年の8月にやったフォーラムもそういうコミュニティの形成に役立てたいという思いから)

「○○はどのように地図表記すべきか」というのは、時々聞かれるのですが、これは地図委員会が決めるべき話ではないと思います。「あなたはどう思いますか、一緒に考えていきましょう」なんです。それをこうだ、と決めれるほどの知見や権威を集めるのは現実的に難しい、というのもあるし、地図委員会がそう決めたからそう表記する、ではなく、どうしてそういう風に表記するのか、というのをケースバイケースで判断すべきだと思うからです。

ちなみに、同じ理由で「地図委員会で公認大会の地図評価をする」という時々あがる提案に対しても、私は否定的な考えを持っています。これには上記理由に加えて、評価される側にとって、頑張って作った地図に対するマイナスの評価が下されることの嫌な感じ、という点も懸念点です。

というところまでは考えたけれど

結局、当初の悩み「どうやって新しい人に入ってもらおう」、には答えは出ていない。

いろいろ書いていけばもう少し答えに近づけるかなと思ったけれど、現時点ではここまで。

これを見て、あ、私やってもいいよ、って人が来てくれると嬉しいな。(でも、そういう文章にはなってないよなぁ)

もたもたしてると、詰む

んですよ。こうしてどうしよう、と悩んでいる間にも、自分がオリエンテーリング界の深部から少しずつ遠ざかり、知っている人の割合が減ってくる。
オリエンテーリングに裂ける時間が減ってくる。体力・気力が減ってくる。いや、既婚の人、子持ちに比べたら全然あるでしょ、といわれりゃそうかもしれんけど。でもやっぱり、昔と同じリソースは出せない。

気が付けばもう、本務をこなす力だけではなく、バトンを誰かに渡すというせめて最後に果たさなければいけない責任を履する力もなくなってきている。

これはまぁ、自分の個人的な問題なのかもしれないけれど、しかし構造的にはクラブとかでも起こりうる話なのかもしれないですね。

なんかアドベントカレンダーなのに若干ネガティブな文章ですいませんね。ちょっと焦ってるんだけど、どうしたらいいか分からないんですよ。だれか知恵かしてー。

ちなみに、今回の投稿は以前に書いたもののリメイクのつもりだったけど、前に書いたものが冗長だったのもあって、割と別物に。

ではでは。




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