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妄想家

俺はめちゃくちゃな中にある秩序とカオスに飢えているのさ!!!

言ってることがわけわからん?矛盾言ってんじゃねーよ?
はいはい、ちょっと待ってね。今説明すっから。
はいはい、せかすなよ。
ったくも~お客さんったらせっかちさんねぇ。何、ご無沙汰なの?
ちょ、おまえ。リーゼントは別にいいじゃねえか?、かっこいいだろうがよ。
え、何?時代遅れだぁ?
分かっちゃいねぇなお兄さんもよ。これが今どきの流行ってやつよ
「警部、ダメです。こいつはさっきからずっとこんな調子で」
「くそ、ふざけやがって。もうネタは割れてるんだ。とっとと吐かせろ」
んー俺っち取調室なんて初めてだぜ~、のってるか~野郎ども。
なんだ、元気なさそうじゃんよ〜
「くっこいつ。八十年代のハードロッカーのつもりのようです」
「くそう埒が明かない。代われ!」

「ほらぁ。冤罪だったろ?」
「ねぇ、もうその話は分かったわよ。そんなことより、引き返しましょうよ」
男は、冷たい雨の中でオープンカーを走らせる。隣には、男よりはまともそうな女が乗っていた。
「おいハニー、話が違うぜ。今日は俺とデートって約束だっただろう?」
「でも、雨降ってるのにこんな車。意味わかんない」
「いいか?ベイビー。人生ってのは芋を畑から掘り出すのとおんなじなんだぜ。そう、いくら立派な蔓を巡らせてるからといって本当にそいつが大きな芋につながっているとは限らねぇ。」
「んー。で、それで?」
「そんでもよ、俺たちは無駄かもしれなくったって畑を掘り続けるんだ。なんたって俺たち人間は、ふかし芋ととろけたバターのマリアージュ!!それを知っちまってるからな」
「はぁ?何言ってるのよ。余計に意味が分からないわよ」
「要するにあれだ、俺たちの出会いはキリストさんがくれた最高の奇跡で、運命ってことだぜ」

女は車を降りた。

俺の名前は轟=ライアン=平太。ペンネームじゃないぜ、日本とアメリカのハーフさ。職業は賞金稼ぎ・・・だったらかっこいいんけど、そうじゃなくって妄想家だ。しがない貧乏人じゃあるが、いい時代になったもんだぜ、こんなにかっちょいいオープンカーだってレンタルできるんだからよ。なに、お宅。妄想家を知らないのかい?
それならちょっとした俺の日常を紹介してやるよ。

まずはクライアントだ!!
世の中ってのは人様の役に立たねぇ奴にはお金が行かねぇようになってんの、そういうもんだぜ〜世知辛えよなぁ!!!

女は涙ながらに訴えた。
「ダンナの帰りが遅くって。昨日なんかコートのポケットに口紅が入ってたのよ!しかもなんだか高そうなやつ。きっと浮気してるんだわ、私に隠れて他の女とヨロシクやってんのよ」
そうかそうか、わかるぜ奥様。あんたは今、とっても寂しい思いをしちまってんだ、可哀想になぁああああ。
男はその女よりも泣いた。
だがよう、そりゃきっとダンナさんも同じなんだろうぜ?だってそうだろう、あんたがこんなに心を痛めちまってるんだ、旦那さんだって同じはずだぜ。
だからダンナさんは、あんたにプレゼントしたかったのかもなぁ。そりゃこんなにべっぴんな奥様なんだ。キスマークが欲しくって、つい買っちまったんだろうよ!!かっー、いい旦那さんじゃねぇか!
「そ、そんなわけ無いわ。きっと仕事ばっかりで私に愛想つかしちゃったのよ」
おいおい奥様、尻が滅裂になっちまってるぜ?そんなに不安なんだったら、直接ダンナさんに聞いてみろよ。
そしたらきっとこういうぜ、よっぽど疲れているんだねハニーってな!!
はーーはっはっはっは!!!


「おぉ、君がライアン君か!妻がお世話になったみたいだね、ありがとう。今度食事でもどうだね」

男はこれを生業としている。

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