独女の強がり
30歳を過ぎた女は結婚という言葉に
取り憑かれる。
自分で意識してる場合もあれば
周りが勝手に捲し立てることもある
語りたい時もあれば、
聞きたくない時だってある。
ここでは、
結婚に縁の無かった側の女の話を
させてもらう。
地元が人口より牛の数のほうが多い
田舎の街。
嫌いではなかったはずだが、
気がつけば遠く離れ、
その田舎の暮らしとは正反対の都会に
移り住んでいた。
保育園から中学校まで同じだった友達、
高校時代の友達、短大時代の友達、
気がつけばそのほとんどが
愛する人を見つけて、永遠を誓い、
家族になっていた。
子どもが生まれ、家を建てる、
幼稚園準備や、小学校のPTAの話。
なにより温かい家族のエピソード話。
全然ついていけない。
それは地元を離れて暮らしていたから。
一緒に過ごしていなかったから。
会う機会も少なかったから。
そんな、
都合の良い言い訳をあたまの中でしていた。
結婚はしていないけど、
自分の好きなように生きて、
好きなことばかりにお金を使って、
全力で自分の時間を楽しんでいる。
これが対抗する独女の武器だった。
これがいつまでも続くと思っていた。
でも幻だった。
自分が歳をとるのと同じく
やはり自分の両親も歳をとる。
思っていたより、年月が経っている。
それはそう、
孫がいてもおかしくない年齢なんだから。
そうなると、やはり放ってはおけない。
なんの縛りも枷もない独女は
いとも簡単に地元に帰ることができる。
親の面倒をみるために、
身一つで帰ることができるのだ。
そうなると、独女の武器だった
都会での自由な暮らしはなく
ただただ虚しく裸一貫で
幸せオーラ漂う家族達のそばに
放り込まれる。
今まで武器だと思い込んでたものは
自分を強く見せるための言い訳だったことに
気がつく。
なにも持ってはいなかったらしい。
幸せオーラのすぐ隣で、
なにも持たない独女はどうやって
強がったらいいのだろう。
これからの武器を探していくことにする。
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